
朝ドラ『あんぱん』第20週第97話「見上げてごらん夜の星を」が放送され、SNSでは登美子(松嶋菜々子)の「あの日に帰る」発言と涙を隠すパラソルの演出に視聴者が号泣。嵩とのぶのすれ違いや鉄子の解雇理由など、深い人間ドラマが展開されました。
朝ドラ『あんぱん』第20週第96話 あらすじ
今回のエピソードでは、嵩(北村匠海)が仕事のない現実を隠して「忙しい」と嘘をつく一方、のぶ(今田美桜)は鉄子(戸田恵子)から秘書を解雇されたことを嵩に言えずにいるという、お互いを想うがゆえのすれ違いが描かれます。鉄子は「のぶさんみたいに清らかな人には、この仕事は務まらない」と語り、八木(妻夫木聡)からは「あんたの方が怖くなったんじゃないのか」と鋭い指摘を受けます。一方、のぶが登美子を訪ね、自分の夢について「嵩さんと一緒に探しものがある。2人だったらきっと見つけることができる」と語ると、登美子は「私の夢はあの日に帰ること」と答え、亡き夫・清への想いを吐露。このシーンでパラソルを回しながら涙を隠す登美子の演技が視聴者の心を打ち、SNSでは「真ヒロインの風格が凄い」「松嶋菜々子の演技力に感動」といった声が相次ぎました。
松嶋菜々子の神演技!「あの日に帰る」に込められた登美子の想い
朝ドラ『あんぱん』第97話で最も視聴者の心を打ったのは、間違いなく登美子(松嶋菜々子)の
「私の夢はあの日に帰ること」
という台詞でした。のぶ(今田美桜)から
「お母さんの夢は何ですか」
と問われた登美子が、静かに語ったこの言葉には、夫を失った女性の深い悲しみと愛情が込められています。
「あの日に帰ること。千尋も嵩もまだ小さくて、清さんがいて、みんなでやっていて、夢見るように暮らしていたわ。短い間だったけど、幸せだった」
と続けた登美子の表情は、過去への憧憬と現在への諦めが入り混じった複雑なものでした。
涙を隠すパラソルの仕草が視聴者の心を鷲掴み
このシーンで特に印象的だったのが、登美子がパラソルをくるくると回しながら涙を隠す仕草です。言葉では強がっているものの、内心では深い悲しみを抱えている母親の心情が、この繊細な演出によって見事に表現されました。松嶋菜々子の演技力が光る瞬間で、視聴者からも「涙を隠すパラソル」「真ヒロインの風格が凄い」といった称賛の声が相次いでいます。
「あの人がいなくなってから、空洞ができて風が吹き抜けていくのよ」
という台詞も、夫を失った女性の心の空虚感を詩的に表現した秀逸な脚本でした。戦後間もない時代、多くの女性が同じような体験をしていたであろうことを考えると、登美子の言葉は個人的な体験を超えた普遍的な痛みを表現していたと言えるでしょう。
「真ヒロインの風格」とSNSで絶賛の声
SNSでは松嶋菜々子の演技について、「真ヒロインの風格が凄い」という投稿が話題になりました。確かに今回の登美子は、単なる嵩の母親という枠を超えて、戦後を生き抜く女性の代表のような存在感を放っていました。特に嵩の前とのぶの前での声のトーンの違いなど、細かな演技の変化も視聴者に見抜かれており、「嵩の前と声のトーンが違う登美子さん」という投稿もありました。
また、
「あの子は優しすぎるのよ。清さんによく似てる」
「あの子に清さんを重ねてしまう」
という台詞からは、登美子が嵩に亡き夫の面影を重ねている複雑な心情も読み取れます。母親として息子を愛しながらも、同時に夫への想いが蘇ってしまう切なさが、松嶋菜々子の表情から伝わってきました。
嵩とのぶの切ないすれ違い|お互いを想うがゆえの優しい嘘
今回のエピソードでもう一つの見どころとなったのが、嵩(北村匠海)とのぶ(今田美桜)のすれ違いでした。嵩は仕事がないことを隠して「今日は打ち合わせ」と嘘をつき、のぶは鉄子から解雇されたことを嵩に言えずにいます。この状況について、視聴者からは「お互いを想い合うゆえの嘘がもどかしくて優しい」という声が上がっています。
嵩の「エア出勤」が映す戦後青年の不安とプライド
朝一番から
「こんなに多きい打ち合わせと締め切りが大変やね」
と演技をする嵩の姿は、仕事がない現実を受け入れられない青年の心境を表現していました。
「今日は打ち合わせってことにしてるんだ。でも行くところなくて」
という台詞からは、プライドと現実のギャップに苦しむ嵩の心情が伝わってきます。
「こんなことしてても、いつかばれるよね」という嵩の呟きは、嘘を続けることへの不安と、それでも嘘をつき続けてしまう自分への歯がゆさを表現していました。戦後の混乱期において、夢を追いかける若者たちが直面していた現実の厳しさが、この「エア出勤」というエピソードによって巧妙に描かれています。
のぶが解雇を言えない理由と夫への気遣い
一方、のぶも鉄子から解雇されたことを嵩に言えずにいます。
「実は私、クビになったことまだ嵩さんに言ってないんです。嵩さん、独立してから仕事がたくさん入って忙しくて、余計な心配かけたくないんです」
という登美子への告白からは、夫を支えたいという妻の気持ちと、夫に負担をかけたくないという優しさが表れています。
しかし登美子は鋭く見抜いていました。
「忙しい?それ本当かしら。つまらない見栄張って、のぶさんに嘘ついてるんじゃない」
という指摘は、母親としての洞察力の鋭さを示すものでした。お互いを想うがゆえに本音を言えずにいる夫婦の関係性が、現代の視聴者にも通じる普遍的なテーマとして描かれています。
「嵩はそういう見栄っ張りなところあるのよ。大丈夫よ、きっと。早く嵩に話しちゃいなさい」
という登美子のアドバイスは、長年息子を見守ってきた母親ならではの温かさと的確さがありました。
鉄子の解雇宣告の真相|「清らかな人には務まらない」の意味
今回のエピソードで大きな転換点となったのが、鉄子(戸田恵子)によるのぶの解雇でした。
「あなたは私の秘書にふさわしくないと判断しました」
という冷たい宣告から始まった解雇の場面ですが、その理由として鉄子が語った
「のぶさんみたいに清らかな人には、この仕事は務まらない」
という言葉には深い意味が込められていました。
鉄子は表面上は親切に次の仕事も紹介し、
「お互いのためにこれが一番いい方法なのよ」
と説明していましたが、その真意は複雑です。
「ここにいても、あなたの探してるものは見つからないわ」
という言葉からは、鉄子なりののぶへの配慮も感じられます。
八木の「あんたの方が怖くなったのでは?」が的確すぎる
この鉄子の変化を的確に指摘したのが、八木(妻夫木聡)の
「あんたの方が怖くなったんじゃないのか」
という発言でした。八木は続けて
「彼女を見ると自分の清らかな部分を思い出して、泥水飲めなくなりそうで」
と分析し、鉄子の心理を見事に言い当てています。
この八木の発言について、SNSでは「八木さん痛いところ直球」という投稿があり、視聴者も八木の鋭い洞察力を評価していることがわかります。鉄子が戦後の混乱期を生き抜くために身につけた強さや計算高さが、のぶの純粋さによって揺らいでしまうことへの恐れが、解雇の真の理由だったのかもしれません。
戦後を生き抜く女性たちの複雑な立場
鉄子の「泥水飲めなくなりそうで」という表現は、戦後の混乱期において女性が社会で生きていくために必要だった現実的な判断や妥協を表現したものです。一方、のぶのような「清らかな」存在は、そうした現実的な選択を迫られる環境では逆に弱さとなってしまう可能性があります。
この構図は、戦後間もない時期における女性の社会進出の困難さを象徴的に表現していると言えるでしょう。理想と現実のギャップの中で、女性たちがどのような選択をしなければならなかったのか、そしてその選択がもたらす心の葛藤が、鉄子とのぶという対照的なキャラクターによって描かれています。
登美子と嵩の深い絆|見抜かれた息子の嘘と母の愛
今回のエピソードでは、登美子の母親としての深い洞察力も印象的でした。嵩の嘘を完全に見抜いていた登美子が、それでも息子を責めることなく温かく見守る姿勢は、多くの視聴者の心を打ちました。
「あの日きっと泣いてた」嵩が語る母への想い
特に感動的だったのが、嵩が語った母への想いでした。
「あの日、お母さんは泣いてたんじゃないかって。だから一度も振り向かなかったんだと思う。白いパラソルくるくるしながら、僕らに言ってた気がするんだ。自分はあなたたちの前からいなくなるけど、元気出して生きていきなさいって」
この台詞は、過去の登美子の行動を嵩なりに理解しようとする息子の愛情と、母親への深い理解を示すものでした。嵩にとって、母親のパラソルは強さの象徴であると同時に、隠された悲しみの象徴でもあったのです。
「あの日だけじゃなくて、僕に背を向けて去っていった母さんは、いつも泣いてた気がするんだ」
という言葉からは、母親の心情を敏感に察知していた息子の優しさが伝わってきます。
清さんに重ねてしまう登美子の心情
登美子が嵩に清を重ねてしまう複雑な心境も、今回のエピソードで詳しく描かれました。
「あの子は優しすぎるのよ。清さんによく似てる」
「あの子に清さんを重ねてしまう」
という告白は、母親としての愛情と、失った夫への想いが交錯する複雑な感情を表現していました。
「清さんの代わりに、嵩が私を幸せにしてくれるんじゃないかって」
という言葉には、息子に対する期待と、同時にその期待が重荷になってしまう可能性への不安が込められています。戦争で夫を失った女性が、息子に何を求め、何を託そうとするのか、その心の動きが繊細に描かれています。
「もう2度と来ないのに、あの人はいないのに」
という呟きからは、過去への執着と現実への諦めが入り混じった複雑な感情が読み取れます。このような心情を抱えながらも、息子を支え続ける母親の強さが、松嶋菜々子の演技によって説得力を持って表現されていました。
今回の見どころと次週への期待|伏線と考察まとめ
第97話は、登美子の内面の深掘り、嵩とのぶのすれ違い、鉄子の変化など、多層的な人間ドラマが展開された充実のエピソードでした。特に「あの日に帰る」という登美子の言葉は、戦後を生きる女性たちの心境を象徴する重要な台詞として記憶に残ります。
次週以降、嵩とのぶがお互いの現状を正直に打ち明ける日は来るのでしょうか。また、のぶが語った「高橋さんと一緒に探しものがある」という夢がどのような形で実現するのかも注目されます。そして登美子の「あの日に帰る」という願いが、物語の中でどのような意味を持ち続けるのか、今後の展開に期待が高まります。
まとめ
今回の『あんぱん』第97話の見どころと伏線
- 登美子の「あの日に帰る」発言:夫を失った女性の心境を表現した重要な台詞で、今後の物語の軸となる可能性
- 涙を隠すパラソルの演出:松嶋菜々子の演技力が光る名シーンで、過去と現在をつなぐ象徴的な小道具として機能
- 嵩とのぶの優しい嘘:お互いを想うがゆえのすれ違いが描かれ、夫婦の絆の深さと同時に課題も浮き彫りに
- 鉄子の解雇理由の真相:「清らかな人には務まらない」という言葉に込められた戦後女性の複雑な立場
- 八木の鋭い指摘:「あんたの方が怖くなったのでは?」という発言が鉄子の心理を的確に分析
- 嵩の母への深い理解:「あの日きっと泣いてた」という想いが示す息子から母への愛情と洞察力