
朝ドラ『あんぱん』第22週第106話 あらすじ
昭和39年10月、東京オリンピックで沸く日本を背景に描かれた朝ドラ「あんぱん」第106話「愛するカタチ」。今回は嵩(北村匠海)がのぶ(今田美桜)の誕生日に自費出版した「まんが詩集」をプレゼントするシーンが大きな話題となりました。
一方で、嵩が考案した「あんパンを配る太ったおじさん」のヒーローは出版社でけちょんけちょんに言われ、アンパンマン誕生への道のりの険しさも描かれています。メイコ(原菜乃華)が嵩との秘密の出会いを漏らしてしまい、のぶが動揺する場面も視聴者の注目を集めました。「メイコちゃん」がトレンドワードとなるなど、SNSでも大きな反響を呼んでいます。心のこもった手作りのプレゼントと、創作活動の苦悩、そして複雑な人間関係が絡み合う感動的なエピソードとなりました。
嵩の「まんが詩集」プレゼントに感動の嵐!視聴者が涙した愛のカタチ
朝ドラ「あんぱん」第106話で最も話題となったのは、嵩(北村匠海)がのぶ(今田美桜)の誕生日に自費出版した「まんが詩集」をプレゼントするシーンでした。蘭子(河合優実)とメイコ(原菜乃華)がハット帽子を贈った後、嵩が
「お誕生日おめでとう!僕の漫画詩集」
と差し出したのは、彼が密かに準備していた特別な贈り物でした。
「僕の周りの大事な人たちと…」込められた想いの深さ
嵩がこの詩集について語った言葉が印象的でした。
「僕の周りの大事な人たちと、いつもそばにいてくれるのぶちゃんのことを思って」
書いたという説明に、のぶだけでなく視聴者も心を打たれました。物質的な価値では測れない、心のこもった贈り物の素晴らしさが描かれています。
実際のやなせたかし氏も詩人として活動していた経歴があり、この「まんが詩集」は実在の人物の創作活動を丁寧に反映した設定といえるでしょう。嵩の「漫画を描いてる気持ちで紡いだ言葉だから」という表現からは、彼の創作に対する真摯な姿勢が伝わってきます。
Xでは「お金で買えないプレゼントって素敵」「この詩集がまた発展するのかな?」といった投稿が見られ、視聴者が嵩の純粋な想いに感動している様子が伝わります。手作りの贈り物が持つ特別な価値を改めて実感させるエピソードとなりました。
自費出版という選択に込められた真心
注目すべきは、嵩が自費出版を選択した点です。出版社に認められていない状況でありながら、大切な人に自分の想いを伝えるために行動に移した積極性が描かれています。蘭子が編集者を紹介してくれたという設定も、周囲の人々に支えられながら創作活動を続ける嵩の姿を象徴的に表現しています。
のぶが
「最高の贈り物や、1つ1つ大切に読ませてもらうき」
と答えた場面では、受け取る側の気持ちも丁寧に描写されており、贈り物を通じた心の交流の美しさが際立っています。大したものをプレゼントできなくてごめんと謝る嵩に対して、のぶが示した純粋な喜びは、真の愛情の表現として多くの視聴者の心に響きました。
アンパンマン原型「太ったおじさん」が不評!創作活動の苦悩を描く
一方で、今回のエピソードでは嵩の創作活動の厳しい現実も描かれました。彼が考案した
「おなかをすかせた人にあんパンを配って回る」
太ったおじさんのヒーローは、出版社で
「けちょんけちょんに言われた」
という結果に終わりました。
「これはヒーローじゃなかやろう」出版社の厳しい現実
健太郎(高橋文哉)といせたくや(大森元貴)との会話シーンでは、嵩のヒーローに対する率直な意見が交わされます。
「これはヒーローじゃなかやろう、このおじさん」
「カッコ悪いかよ」
といった厳しい評価に、嵩自身も落ち込んでしまいます。
特に印象的だったのは、健太郎たちが「僕の漫画の代表作行ってみてよ」と言われて答えられないシーンです。この掛け合いはユーモアを交えながらも、創作者として認められていない嵩の現実を浮き彫りにしています。
現在のアンパンマンを知る視聴者にとっては、この「太ったおじさん」が後の国民的キャラクターの原型であることは明らかです。Xでは「そりゃそうだよね どこでアンパンマンになるのかな」といった投稿があり、視聴者が今後の展開に期待を寄せている様子が伺えます。
のぶの励ましが支えとなった嵩の心境
落ち込む嵩を支えたのは、やはりのぶでした。
「出版社の人が認めてくれなくても、嵩さんが書きたいと思うものを書き続ければ、いつか日の目を見るかもしれんやんか」
という励ましの言葉は、創作活動を続ける上での重要な支えとなっています。
「誰が何と言おうと、私はそのおっちゃん好きっちや。嵩さんらしくて」
というのぶの言葉からは、作品の商業的価値とは別の、創作者の個性や想いを大切にする視点が示されています。この場面は、やなせたかし氏が実際に長い間無名時代を過ごしながらも創作を続けた実話を反映しており、諦めない心の重要性を伝えています。
メイコの口止め暴露でのぶに動揺!トレンド入りした三角関係の行方
今回のエピソードでもう一つ話題となったのは、メイコが嵩から口止めされていた内容を漏らしてしまった場面です。「メイコちゃん」がトレンドワードとなるほど、この展開に注目が集まりました。
銀座カフェでの秘密の打ち合わせの真相
物語の中で明かされたのは、嵩がまんが詩集の編集者と打ち合わせをしていたのをメイコに口止めしていたことです。メイコが
「隆さんに、口止めされたけんだ。こないだみたやき。お昼過ぎに喫茶店で女の人とこそこそないしょ話し言うところ」
と暴露した場面では、のぶの表情に微細な変化が見られました。
しかし、この秘密の正体は誕生日のプレゼントの準備だったことが後に判明します。嵩が
「メイコちゃんこの間はあの打ち合わせしてるって言えなくてごめん」
と謝罪し、メイコも
「いえ、うち恥ずかしいっちゃ変なこと勘繰ってしもうて」
と応じる場面では、誤解が解けてホッとした雰囲気が漂いました。
誕生日パーティーでの気まずい空気
興味深いのは、メイコがこの秘密を漏らしてしまった瞬間ののぶの反応です。嵩が現れた時の「間に合ってよかった」という言葉や、その後の謝罪シーンから、一時的に気まずい空気が流れました。
この展開により、のぶと嵩の関係性に新たな深みが加わりました。信頼関係の中にも、まだ言葉にできない複雑な感情があることが示唆されており、今後の二人の関係がどのように発展していくのか注目されます。
「僕は愛する。あなたを君を。とんかつを」日付のない日記に込められた想い
今回のエピソードで特に印象的だったのは、嵩が書いている「日付のない日記」の存在です。
「僕は愛する。あなたを、君を、トンカツを」
という独特な表現は、嵩の内面世界を表現する重要な要素となっています。
詩的な表現に隠された嵩の心情
この「日付のない日記」について、嵩は
「人に読ませるためのものじゃないんだ」
と説明しています。純粋に自分の気持ちを表現するための手段として位置づけられており、後の詩集作成にもつながる重要な創作活動といえるでしょう。
「あなたを君を」という表現の曖昧さは、嵩の心の中にある複数の想いを表現しているようにも読み取れます。のぶへの感情なのか、それとも創作に対する愛なのか、あるいは生活への愛おしさなのか。この多義的な表現が、視聴者の想像力を刺激しています。
「とんかつを」という突然の日常的な対象の登場は、嵩のユニークな感性を表現すると同時に、彼の作品が持つ親しみやすさの源泉を示しているとも考えられます。やなせたかし氏の作品に共通する、日常の中にある美しさや愛おしさを見つける感性が表現されています。
やなせたかしの詩人としての一面を反映
実在のやなせたかし氏は漫画家として有名ですが、詩人としても多くの作品を発表していました。この「日付のない日記」の設定は、そうした詩人としての側面を丁寧に反映したものといえるでしょう。
八木さんが嵩の詩について
「すべての人の心に響く叙情詩だ」
と評価する場面も、やなせ氏の実際の詩作品が持っていた普遍性を表現しています。
「美しいものを美しいと思う心、悲しみに寄り添う心」
という八木さんの言葉は、アンパンマンの精神性にも通じる重要な要素を示しています。
八木さんの新事業構想!嵩の才能を見抜く慧眼
今回のエピソードでは、八木さん(妻夫木聡)が嵩の才能をいち早く見抜き、新たなビジネスチャンスを見出す場面も描かれました。
グリーティングカードからビーチサンダルまで
八木さんは嵩の報酬を支払いながら、
「グリーティングカードもそうだが、ちょっとした優しさの表現が、お前のイラストだ。おかげで、ビーチサンダルの売り上げも好調だ」
と評価しています。商品に込められた「優しさの表現」という視点は、後のアンパンマンが持つことになる「困っている人を助ける」精神性につながる重要な要素です。
この場面からは、嵩の作品が商業的にも徐々に評価され始めていることが伺えます。出版社では認められなかった作品でも、別の分野では価値を見出されているという現実は、創作活動の多様性を示しています。
「湯飲みの工房」計画で広がる可能性
さらに八木さんは
「お前の詩と絵を入れるんだ。今度は、湯飲みの工房を作ろうと思う」
という新たな構想を披露します。この湯飲み事業の計画は、嵩の作品がより多くの人々の日常に浸透していく可能性を示唆しています。
「お前はもっと詩をかけ」
「お前は何も考えないで、とにかく詩をかけ」
という八木さんの発言は、嵩に創作に専念することを促すメッセージとして受け取れます。ビジネス面は自分が担当するから、純粋に創作活動に打ち込んでほしいという八木さんの想いが表現されています。
東京オリンピックと戦争への想い「昨日まで普通やったのが突然始まる」
今回のエピソードの冒頭では、昭和39年10月の東京オリンピックの話題から始まりました。この時代背景は、物語に深い意味を与えています。
蘭子の戦争体験から生まれた平和への願い
蘭子の
「昨日まで普通やったのが突然始まる、それが戦争やき」
という発言は、戦争体験者ならではの重みを持った言葉です。東京オリンピックという平和の象徴的なイベントを見ながら、戦争の記憶を思い起こす蘭子の心情が描かれています。
「以前まで戦ってた国の人たちが」
「ずっと続くといいな」
という希望的な発言と、戦争への警戒感が同居する複雑な心境は、当時の日本人の心情を代表しているといえるでしょう。この平和への願いは、後にアンパンマンが体現することになる「争いのない世界」への想いにつながる重要な要素です。
時代背景が物語に与える深み
1964年の東京オリンピックは日本の戦後復興を象徴する出来事でした。この時代に嵩の創作活動を描くことで、平和な時代だからこそ生まれる創作の価値が浮き彫りになります。
戦争の記憶がまだ生々しい中で、「おなかをすかせた人にあんパンを配って回る」ヒーローを考案する嵩の発想は、平和な時代の価値観を反映しています。武力ではなく、食べ物を通じて人を助けるという発想は、戦後日本の平和主義的な価値観と深く結びついているのです。
登美子の心境変化と家族の絆
今回のエピソードでは、登美子(松嶋菜々子)の様子にも変化が見られました。
登美子が
「いつになったら手島修先生みたいな売れる漫画を描くのかしら」
と心配する場面では、親として息子の成功を願う気持ちと、現実への不安が入り混じった複雑な心境が描かれています。他の漫画家たちの活躍と比較して、嵩の状況を案じる母親の心情は、多くの視聴者にとって共感しやすいものでしょう。
のぶが
「詩のようなものは、毎日書いてるみたいです」
と嵩をフォローする場面では、恋人として、また理解者としてのぶが果たしている役割の重要性が示されています。家族以外にも嵩を支える存在がいることが、彼の創作活動を支える重要な要素となっているのです。
まとめ
今回の見どころや伏線
- 嵩の「まんが詩集」が今後のアンパンマン誕生に与える影響 – 自費出版した詩集が、後の創作活動にどのような発展をもたらすのか注目
- 「太ったおじさん」からアンパンマンへの進化過程 – 現在は不評だが、今後どのような変化を遂げて国民的キャラクターになるのか
- 八木さんの湯飲み工房計画 – 嵩の作品がより多くの人々の日常に浸透していく可能性を示唆する重要な展開
- メイコとのぶ、嵩の三角関係の今後 – 誤解は解けたものの、三人の関係性がどのように変化していくのか
- 嵩の「日付のない日記」の意味 – 詩的な表現に込められた想いが、今後の創作活動にどう影響するか
- 戦後復興期の時代背景とアンパンマンの精神性 – 平和への願いが込められたヒーロー像が、どのように具現化されていくか