NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第3週第12話が放送され、雨清水家の状況が一気に暗転しました。景気悪化で機織り工場が資金難に陥り、社長の傳(堤真一)が金策に奔走する中、三男の三之丞(板垣李光人)が急遽社長代理に。長男の氏松がいない中で突然の責任を背負わされた三之丞の苦悩、金策に失敗して倒れる傳、そして米を焦がすタエの姿に、SNSでは「もう地獄」「不穏すぎる」と騒然。一方、松野家では銀二郎(寛一郎)への跡取り教育が過熱し、こちらも息苦しい展開に。誰も悪くないのに状況が悪化していく「怪談」のような展開を、セリフと演出から徹底解説します。
ばけばけ第3週第12話 あらすじ
トキ(髙石あかり)が働く機織り工場が景気悪化で資金難に。社長の傳(堤真一)が金策に走り、その間、三男の三之丞(板垣李光人)が社長代理を任される。女工たちは「まばたきもしない」三之丞に戸惑いつつ、工場の先行きに不安を募らせる。一方、松野家では勘右衛門(小日向文世)が銀二郎(寛一郎)に「格の高い武士の振る舞い」を厳しく指導。トキと会う時も距離を置かされる銀二郎の表情は苦しげだ。そんな中、金策に失敗した傳が倒れてしまう。トキが様子を見に行くと、タエが粥を作ろうとして米を焦がしており、雨清水家の混乱が露わに。三之丞は「どうすればいいんだよ」と叫び、状況は深刻さを増していく。
雨清水家の長男はどこに?三之丞が突然の社長代理で苦悩
「お前にわしの代わりを頼みたい」傳の突然の依頼
第12話の冒頭、トキが工場に出社すると、そこには見慣れぬ姿が。三之丞が工場にいるのです。女工たちが
「あれだけ工場に来るな、言われちゃったのにね」
と囁く中、傳は三之丞に重大な依頼をします。
「お前にわしの代わりを頼みたい。経営が厳しいと分かったが、わしは金策に走らねばならぬ。わしの代わりに、ここに座る人間が必要じゃ。心配は無用」
この言葉には、傳の必死さと同時に、息子への信頼が込められています。しかし三之丞の反応は複雑です。
「あまりに久々に父親とお話ししたので、私の名前覚えていただいていたのですね」
というセリフが、この父子関係の距離感を物語っています。長男の氏松が家業を継ぐはずだったのでしょう。三之丞は「蚊帳の外」だったと自分でも言っているように、工場経営に関わってこなかった人物なのです。
「三男の俺に頼むしかないだろう」家族構造が明らかに
そんな三之丞の戸惑いに対し、傳はこう言い放ちます。
「よろしいも何も氏松は出奔、竹松がこの世にいない、三男のお前に頼むほかないだろう。頼んだぞ」
このセリフで雨清水家の家族構造が明らかになります。長男・氏松は既に出奔、次男・竹松も「この世にいない」つまり亡くなっています。三男の三之丞しか頼れる息子がいないという、雨清水家の厳しい現実が浮き彫りになるのです。
「私の名前、覚えていただいていたのですね」
という三之丞の言葉は、コミカルなようでいて実は悲痛です。三男として家業から遠ざけられ、父親との会話も久々という三之丞。彼にとって、この「社長代理」という役割は、突然降ってきた重い十字架なのです。
SNSでは「三之丞の辛さよ」「様子を見に行ったおトキの表情と声色が素晴らしくて涙」という声が上がりました。板垣李光人さんの繊細な演技が、三之丞の内面の葛藤を見事に表現していたのです。
金策に奔走する傳の姿が痛々しい…そして倒れる衝撃
「手前どもには分に過ぎた」断られ続ける傳
三之丞を工場に残し、傳は金策に走り出します。画面に映る傳の姿は、頭を下げ続ける痛々しいものでした。
「いや、雨清水様にお金を御用立てするなど、手前どもには分に過ぎたお話でございまして」
「ご長男様にも申し上げましたとおり、手前どもの懐も昨今の不景気で厳しく、雨清水様のお力にはとてもとても」
借金を断られる傳。
「ご長男様にも申し上げました」
というセリフから、長男の氏松も以前に金策に走っていたことが分かります。雨清水家の経営難は、実は今に始まったことではないのです。氏松はこの重圧をずっと一人で背負っていたのでしょう。
堤真一さんの演技が、元武家としてのプライドと、家族を守らなければならない責任感の間で揺れる傳の心情を、背中だけで表現していました。
女工たちの不安「私たちもいつまでおられるか」
工場に残された女工たちの間にも、不穏な空気が流れます。
「まさかこげいなことになるなんて。」
「何の話?」
「社長さんとこの女中さん、お給金払えなくなってみんなおいとまを出されたって。私たちもいつまでここにおられるかね?」
噂話のような軽いトーンながら、その内容は深刻です。雨清水家の女中たちが既に解雇されているという事実。これは視聴者にとっても衝撃的な情報でした。タエが後に粥を作ろうとする場面に繋がる重要な伏線になっています。
そして傳が工場に戻ってきた時、異変が起きます。金策の失敗によるストレス、そして身体の限界。
「大丈夫でございますか。」
「少々歩きすぎた」
と強がる傳でしたが、その直後に倒れてしまうのです。
SNSでは「元武家の没落ぶりが笑えないレベルになってきた」「堤真一は胃潰瘍間違いなし」という声が相次ぎました。
「まばたき1つせん」三之丞の緊張感が工場に漂う
女工たちの軽妙なやりとりに救われる
重苦しい展開の中で、女工たちの会話は一服の清涼剤となります。
「今まで蚊帳の外だったけん、何してか分からんのだない」
「なんでもまばたき1つせんねん。」
「いや、まばたきはしちるでしょう。」
「いやしちゃうんよしちゃって」
三之丞が緊張のあまり「まばたきをしているのかしていないのか」を巡って盛り上がる女工たち。チヨ(倉沢杏菜)、せん(安達木乃)をはじめとする女工たちの方言交じりの会話が、シリアスな展開に息継ぎを与えてくれます。
この軽妙なやりとりが、逆に三之丞の緊張感を際立たせる効果を生んでいます。三之丞本人は「何も」としか答えられず、その硬直した様子が女工たちの話題になっているのです。
平井の提案「一人一日一旦」の意味
そんな中、工場長の平井が三之丞に提案をします。
「三之丞様1つよろしいでしょうか?僭越ながら、私なりに工場の債権索を考えまして、実は、よその工場では、女工たちに1人、一日一旦おらせております。この状況から数人うちもそうせんと、ますます厳しいかと」
「一人一日一旦」つまり、女工たちの勤務時間や負担を減らすという提案です。これは人件費削減の一環でもあり、経営難の現実的な対応策です。しかし三之丞の返答は意外なものでした。
「何も。平井がそういうなら」
「大丈夫です」
この一言には、三之丞の人柄が表れています。工場経営の経験がないからこそ、現場を知る平井を信頼する。しかし同時に、この判断が正しいのかどうか、自分では分からないという不安も滲んでいます。平井が三之丞を支えようとする姿勢も印象的でした。
トキは後に
「もう駄目。もう無理もうできん。もう死ぬが1人一日いったんはえらいな」
と疲労を口にしますが、これは「一旦(休憩)」があることで逆に疲れが実感されるという皮肉な状況を示しています。
銀二郎の苦悩が深まる…「格の低さが染みついちゃう」
おじじ様の厳しい指導「格の高い武士の振る舞いをせい」
一方、松野家では銀二郎への「跡取り教育」が過熱していました。勘右衛門(おじじ様)による指導は、愛情からくるものであることは間違いありませんが、銀二郎にとっては重圧以外の何物でもありません。
「それでは憎き異人を倒せん。ペリーにやられる」
「やめぇ!核の低さが染みついちゃる、そげな腕では、松野の跡取りは務まらんぞ」
剣の素振りをする銀二郎に対し、勘右衛門は容赦なく指摘します。「格の低さが染みついちゃう」という言葉は、銀二郎の出自を否定するような響きがあります。
「じゃあ、お主は、松戸の当主になると、全てにおいて格の高い武士としての振る舞いをせい、よいな」
この言葉に対し、銀二郎は「はい」としか答えられません。
トキとの距離「少し離れていただけませんか」の切なさ
そこへトキがやってきます。お互い顔を見ると笑顔になり、二人の仲の良さが分かります。しかし、銀二郎はトキにこう言うのです。
「だけどその前に、少し離れて」
「近すぎると格が」
「はい、いかがでしょうか?」
「もう少し、もう少し」
トキが近づくと、銀二郎は距離を取るように頼みます。その理由は「格が下がる」から。おじじ様から教え込まれた「格の高い武士の振る舞い」を実践しようとする銀二郎の姿は、切なさを通り越して痛々しいものがあります。
「あっ、これぐらいでしたら、すみません。」
「いえ、よき跡取りになるためでしたら」
愛し合う二人が物理的に距離を取らなければならない状況。トキは貧しい長屋の娘として育ち、一人娘として可愛がられてきました。だからこそ、婿入りした銀二郎が味わっている「格の違い」というプレッシャーを、まだ理解できていないのです。
SNSでは「銀次郎さん遠慮しながら婚家で働きづめ、今日は格の低さまで言われてて哀しい」「トキは貧乏長屋暮らしだけど1人娘で可愛がられて育ってて、親とおじじ様が世の憎い舅姑と同じだってわかんないんだ」という声が上がりました。視聴者は、銀二郎の苦悩とトキの無自覚さの両方を見抜いているのです。
タエが米を焦がす不穏なシーン「看病は無理でございます」
「このにおい」トキが見た雨清水家の混乱
傳が倒れたと聞き、トキは雨清水家を訪れます。そこで彼女が目にしたのは、衝撃的な光景でした。
「遅くに申し訳ございません。失礼いたします」
トキが家に入ると、焦げた匂いが漂っています。タエが粥を作ろうとして、米を焦がしてしまったのです。
「すみません。」
「何をするのです?」
「すいませんですが、このままでは火事に」
「せっかくのかゆが」
トキが水をかけて火を消そうとすると、タエに怒られます。
「看病の邪魔ですよ。早くお帰りなさい」
この時のタエの様子について、視聴者が「見てはいけないものを見てしまった」と感じたこのシーン。北川景子さんの演技が、タエのプライドと混乱を絶妙に表現していました。
「どうすればいいんだよ」三之丞の悲痛な叫び
追い出されたトキは、外で三之丞に会います。
「このにおい」
三之丞も焦げた匂いに気づきます。トキは事情を説明します。
「お母様が粥を作るといって、米を焦がしておりました」
ここで明かされるのは、雨清水家の女中たちが解雇されたという事実です。三之丞は
「信じられないかもしれないけど、女中がいなくなり、今朝初めて、襖を1人で開けたと言っていた」
と、状況を説明します。
そしてトキは心配そうに言います。
「女中さんたちがいなくなったと伺ったので。失礼を承知でご様子を」
「こげなこと言ったら、失礼かもしれませんが、おば様に看病は無理でございます」
タエには看病は無理だとトキは率直に伝えます。しかし三之丞は答えます。
「ならどうすればいいんだよ。どうすればいいの?何でもかんでも押しつけないでくれ」
この叫びは、三之丞の限界を示しています。社長代理を任され、父は倒れ、母は看病もままならない。長男の氏松がいれば、次男の竹松がいれば、こんなことにはならなかったかもしれない。三男として「蚊帳の外」だった三之丞が、突然すべての責任を背負わされた苦しみが、この一言に凝縮されているのです。
SNSでは
という考察が話題になりました。
SNSの反応「誰も悪くないのに怖い」地獄への道
第12話を見た視聴者からは、様々な反応がSNSに寄せられました。
この投稿が示すように、視聴者は「ばけばけ」というドラマが、実は主人公トキの語る「怪談」であることを思い出したのです。明るく始まったドラマが、徐々に不穏な空気に包まれていく。それは、誰も悪意を持っていないのに、状況が悪化していくという意味で、まさに「怪談」なのです。
視聴者は脚本の巧みさを高く評価しています。1週目、2週目では微笑ましく描かれていた勘右衛門の武士道精神やタエの気位の高さが、3週目になって「重圧」「無理解」として機能し始める。この展開の妙が、視聴者を惹きつけているのです。
トキもまた、完璧なヒロインではありません。銀二郎の苦しみを理解しきれていない、三之丞の重圧を軽く見ている、そういった「見えていないもの」があります。そして勘右衛門も、タエも、傳も、それぞれが「見えていないもの」を抱えています。
明治という時代の変化に、武家としての価値観を守ろうとする人々。その「変わらない人」と「変わる環境」のギャップが、登場人物たちを追い詰めていく。誰も悪くないのに、状況は悪化する一方。これこそが「愛と信念で舗装された地獄への道」なのです。
この鋭い指摘が、すべてを物語っています。「ばけばけ」は、トキが怪談を語る物語ではなく、トキたちの人生そのものが怪談なのです。
📌【まとめ】第12話の見どころと伏線
第12話は、「ばけばけ」の物語が大きく転換する重要な回でした。明るく始まったドラマが、誰も悪くないのに状況が悪化していくという「怪談」の本質を見せ始めたのです。
- 雨清水家の長男・氏松の不在と次男・竹松が「この世にいない」という事実:三男の三之丞が突然すべての責任を背負うことになった背景。氏松がこれまで一人で背負っていた「毒」が、三之丞に引き継がれた
- 傳の金策失敗と倒れるシーン:「ご長男様にも申し上げました」というセリフから、氏松も金策に奔走していたことが判明。雨清水家の経営難は深刻で、今後さらに悪化する可能性
- タエが粥を作ろうとして米を焦がす不穏な演出:女中が解雇され、タエ一人で家事をこなそうとする無理が表面化。「見てはいけないものを見てしまった」というSNSの声が示す通り、雨清水家の崩壊の予兆
- 銀二郎の「格」を巡る苦悩とトキとの距離:勘右衛門の「愛情」が銀二郎を追い詰める構図。トキが銀二郎の苦しみを理解できていない点も、今後の火種に
- 三之丞の「どうすればいいんだよ」という叫び:誰にも助けを求められず、すべてを一人で背負わされる三男の絶望。板垣李光人さんの熱演が光る
- 「変わらない人」と「変わる環境」のギャップ:明治という時代の変化に、武家の価値観を守ろうとする人々の苦悩。誰も悪くないのに状況が悪化する「地獄への道」の恐怖
第13話以降、雨清水家はどうなるのか。銀二郎は松野家でどこまで耐えられるのか。そしてトキは、この「怪談」のような現実にどう向き合っていくのか。目が離せない展開が続きます。
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