最終週の幕開けが、こんなにも重い15分になるとは思っていませんでした。
第25週のタイトルは「ウラメシ、ケド、スバラシ。」——このタイトルだけで覚悟を決めて観始めたのですが、第123話はその「ウラメシ」の部分をまるごと叩きつけてくるような回でした。遠くアメリカから来日したイライザ。丈が通訳を買って出る中で次々と明かされていく真実。そして「I’m sorry」とだけ繰り返すトキ——気づけば画面から目が離せなくなっていました。
「ばけばけ」第25週第123話 あらすじ
ヘブンの死を知り来日したイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)が、トキ(髙石あかり)のもとを訪れます。丈(杉田雷麟)の通訳を介した対話の中で、衝撃の事実が明かされます。ヘブンが「ベストセラーだ」と伝えていた「KWAIDAN」は、アメリカではまったく売れておらず、評判も皆無。さらに、その本を書くきっかけが「トキが読める本をお願いした」からだと知ったイライザは、感情を爆発させます。しかし怒りの嵐が去った後、イライザはトキに対してある依頼を残していくのでした。ヘブンの「優しい嘘」が二人の女性を引き裂き、同時に「思い出の記」執筆へとつながる——最終週らしい衝撃の一話です。
ヘブンの嘘が暴かれた——「怪談はベストセラーじゃなかった」衝撃の事実
丈の通訳が引き出した残酷な真実
この回で最初に息を呑んだのは、「ベストセラー」という言葉が起点になったシーンでした。
ヘブンが亡くなった書斎で、イライザと対面したトキ。夫が愛した書斎を見せながら、「最後にベストセラーが書けて、東京にもいい思い出が残せたと思います」と誇らしげに語るトキ。でも、その言葉がイライザの顔色を変えます。
「One what? I’m sorry. What do you mean by bestseller?」
信じられないという表情で聞き返すイライザ。トキは「ベストセラーなんですよね、アメリカで」と繰り返しますが、丈の通訳を通じて届いた事実は、残酷なものでした。
「残念だけど、売れてないし、評判も全く。怪談はそもそも西洋人には読み方がわからないそうで、誰も手に取らないと。」
ヘブンは手紙でイライザに「KWAIDANは売れていない」という事実を知らされていた。それでもトキには「大層評判が良く、イライザさんも面白いと」と伝えていた——つまり、ヘブンはずっとトキに嘘をついていたのです。それも、傷つけないための「優しい嘘」として。
さらにイライザの怒りは続きます。「Why? Why at the very end of his career, would he write something so childish as, as Kwaidan?」——丈の通訳はここでも容赦ありません。「最後にどうして先生は怪談なんて書いたのかと。もう少し高尚なものを期待していたと。どうして怪談を、子供でも読める民話集を書いたのかと。」
この言葉が本当に痛かった。ヘブンとトキが積み上げてきたすべてが、「子供でも読める民話集」の一言で切り捨てられたように聞こえて。でもそれが、文学の世界からヘブンへ寄せていたイライザの期待の裏返しでもある——そう考えると、単純に怒れない自分もいました。
「私のせいなんです」——トキの告白でイライザが爆発した理由
ばけばけ シャーロット vs 髙石あかり、「激情」対「静」の演技対決
この回で最も胸に刺さったのは、トキが静かに口を開いた瞬間でした。
「I’m sorry.」
場の空気が沈む中、英語で謝罪するトキ。丈が「Did you say sorry?」と聞き返すと、トキはゆっくりと言葉を絞り出します。
「私のせいなんです。」
「私が夫に。私が読める本をお願いして。それで怪談ができました。」
丈の通訳がその言葉をイライザに届けた瞬間、何かが弾けました。
「Why? Why would you do that? Why? No. When he was, he was so close. So close to another bestseller. When he was so close to silencing the naysayers. Why would you do that?」
「No, no. This. Is is too much. Too much. It’s ruined. Do you understand? Everything is ruined.」
シャーロット・ケイト・フォックスが演じるイライザの激情は、圧倒的でした。積み重なった失望、愛情、後悔——すべてが混じり合ったような咆哮。SNSでは「朝ドラヒロイン激突」「強烈な画角の連続!」と絶賛する声が相次ぎ、「憎まれ役」でありながらもその演技の凄みで視聴者を引き込む難役を、見事に体現していました。
そして対照的に、トキはただ「I’m sorry. I’m sorry.」と繰り返すだけ。嵐のような怒りの中で、ひと言も言い返さず、静かにそこにいる。その「静」の凄まじさは、どんな激情よりも重くのしかかってくるようで——髙石あかりの表現力に、改めて唸らされました。
視聴者のひとりが「髙石あかりの『静』は、どんな激情よりも烈しい」と表現していましたが、まさにその通りだと思います。怒鳴り合いよりも、沈黙の方が時に残酷です。
「Everything is ruined」——それでもイライザがトキに託したもの
「おトキさんにしか書けないもの」という言葉の重み
嵐が去った後、まさかの展開が待っていました。
丈がイライザを追いかけ、「It’s not Otoki san’s fault. I believe Sensei always wanted to write ghost stories.」とトキを庇おうとすると、イライザは突然向きを変えます。
「Stop. Why don’t you persuade Otoki san to write something instead?」
「A novel. A memoir. His memoir. And you’ll help.」
「You will be like your brother and you will be her literary assistant。There are some stories that only Otoki san can tell。」
怪談を「子供の民話集」と切り捨てた人が、今度はトキの固有の経験に価値を見出す。「ヘブンのそばで生き、愛し、支えた時間はトキにしかない」——そう言っているように聞こえました。怒りの裏に、ヘブンへの深い愛情がある。だからこそイライザの怒りは「嫉妬」じゃなくて「喪失」なんだと、この場面でようやく腑に落ちた気がします。
丈が「It’s… I don’t think she can」と戸惑うと、イライザは「For Lefkada? I will be waiting」とだけ残して去っていきます。このひと言の重さ。怒鳴り続けたイライザが最後に残した言葉が、「ヘブンのために」だったというのが——涙腺にきました。
家に戻ったトキを、家族が心配そうに囲みます。丈が「おトキさんにしか書けないものがあるはずだからと」と伝えると、司之介はあれこれ提案しようとして「おトキ、どけじゃ。化け物やら何やらの絵で一つ手ぇ打ついうのは」と言い出す始末。でもトキの答えはただひとつ。
「描けん。描けんわ描けるわけ。というか、頭ん中が今ぐちゃぐちゃだけん。」
そして最後に「ごめんなさい。パパさん。」
この「パパさん」の一言が刺さりました。強がれない。答えが出ない。泣くことすら今はできなくて、ただ謝ることしかできないトキの、剥き出しの本音がここにあると思いました。
「怪談はええ本じゃぞ」——司之介の一言が静かに救った夜
フミの全力疾走塩まきと、松野家の温かさ
この重苦しい回の中で、司之介のひと言が静かに光りました。
「怪談はええ本じゃぞ。」
え、読んだんですか?と驚くトキに「わしもじゃ。功と勘太とな」と答え、さらに続けます。
「雪女の話はあれ、わしの父上が松江で雪女と会った話をヘブンにしちょったのが元になっちょるけん、わしにとっても父上にとってもほんに宝物じゃ。松野家の宝物じゃぞ、おトキ。」
イライザが「子供でも読める民話集」と言い切ったその本が、司之介の家族にとってはかけがえのない「宝物」だった——この対比が、胸に沁みます。ヘブンが書いたものの価値は、売上部数でも批評家の評価でも測れない。愛する人たちの記憶の中に生き続けている。司之介のこの一言が、崩れそうなトキの足元をそっと支えているように感じました。
そして、この回のもうひとつの名場面といえば——フミの全力疾走塩まきです。「おトキ。とりあえず、とりあえず塩まいとこと。」と言い残してイライザのいる方向へ走っていくフミ。SNSでも「おフミさんの全力疾走で塩まき。とにかく最高。」と大絶賛されていましたが、あの全力疾走に、笑いながら泣きそうになりました。重い空気の中で、お母さんのこういう行動がどれほどの救いになるか——松野家らしい、最高の場面でした。
丈の成長と兄・友一の面影——この回で一番「立派だった」存在
この回で丈(杉田雷麟)の存在感は格別でした。激しい対立の場で通訳を担いながら、時にトキを庇い(「It’s not Otoki san’s fault.」)、時にイライザを追いかける。「おトキさんにしか書けないものがあるはずだからと」と家族に説明するときの丁寧さも含めて、全編通じてこの場にいることの重さを引き受けていました。
「ただ丈はやっぱり弟だった全部訳すなw」とSNSで笑いを誘いつつも、「かつての錦織さんのようでもあったし、立派だった」という声が多く上がっていたのも納得です。イライザの「You will be like your brother and you will be her literary assistant」というひと言が、ただの依頼ではなく丈への信頼として響いてくる——亡き兄・友一がここにいたら、と思わずにはいられませんでした。
残り2話。「ウラメシ、ケド、スバラシ。」——「ウラメシ」の部分をこれほどまでに叩きつけられた後、トキはどうやって「スバラシ」を手にするのか。第123話を観終わった後、そのことだけを考えています。
まとめ|今回の見どころ・伏線
- ヘブンが「KWAIDANはベストセラーだ」とトキに伝えていたのは嘘であり、実際はアメリカで全く売れておらず評判も皆無だったという事実が発覚
- トキ自身の「私が読める本をお願いしたから怪談ができた」という告白がイライザの怒りに火をつけ、「Everything is ruined」の爆発へつながる
- シャーロット・ケイト・フォックスの激情と髙石あかりの「静」の対比が圧巻——「朝ドラ史上稀な女性同士の激突」として話題を集める
- 怒りの後、イライザが「For Lefkada? I will be waiting」とトキに回顧録執筆を依頼——最終2話に向けた「思い出の記」への重大な伏線
- 司之介の「怪談はええ本じゃぞ」「宝物じゃぞ、おトキ」が、イライザの批判に傷ついたトキの心を静かに支える救いの場面
- フミの全力疾走塩まきが重苦しい回に唯一の笑いをもたらし、丈の成長ぶりが亡き兄・錦織友一の面影と重なる感動の回
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