
大河ドラマ「べらぼう」第22話「小生、酒上不埒にて」(6月8日放送)では、筆を折ると宣言していた恋川春町(岡山天音)の復活劇が描かれ、視聴者の心を掴みました。春町が生み出した「屁」をテーマにした創作文字「廓ばかむら費字盡」は、江戸のユーモア文化を象徴する作品として話題に。一方、誰袖(福原遥)が田沼意知(宮沢氷魚)に蝦夷地の密貿易を持ちかけるシーンでは、緊張感あふれる駆け引きが展開されました。
蔦重(横浜流星)の耕書堂で開かれた忘年会では、平賀源内の言葉を思い出した蔦重が涙を浮かべる感動的なシーンも。雪の中で田沼意知と再会した蔦重が「三年か」と呟く謎めいたセリフは、今後の展開への期待を高めています。春町の人間味あふれる復活劇と、各キャラクターの複雑な思惑が絡み合う第22話は、笑いと感動、そして緊張感が見事にバランスされた名回として視聴者から絶賛されています。
恋川春町復活の軌跡|筆を折った天才作家の再起
大河ドラマ「べらぼう」第22話「小生、酒上不埒にて」は、恋川春町(倉橋格)の復活劇を軸に展開された感動的なエピソードでした。前回の酒席での騒動から10日が経過し、春町は「これにて筆を折る」と宣言したまま、創作活動から遠ざかっていました。
春町の創作への迷いと仲間たちの支え
物語は、春町の元を訪れた歌麿(染谷将太)とまささん(尾美としのり)のシーンから始まります。春町は蔦重(横浜流星)からの絵付けの依頼を断固として拒否。
春町:「戯けるものに向いておらん」
この一言には、自身の作品が北尾政演(古川雄大)に模倣されたことへの複雑な心境が込められています。SNSでは「春町先生のナイーブな作家精神が心配」といった声が多数上がりました。
しかし、歌麿の優しい言葉が春町の心を動かします。
歌麿:「でも俺は春町先生の絵、好きですよ。どこか童の絵のような味が残っていて、上手い下手じゃなく、好きです」
このセリフは視聴者の心を掴み、「歌麿の優しさに泣いた」という感想がTwitterで拡散されました。歌麿の言葉には、同じ創作者として春町を理解し、支えたいという気持ちが溢れていました。
春町は自身の才能への不安を吐露します。
春町:「己のうちから出てくる色ってあんまりいいものになる気もしないんですよね」
この弱音に対し、まささんは温かく励まします。創作者の内面的な葛藤を丁寧に描いたこのシーンは、多くの視聴者の共感を呼びました。
歌麿の優しさが春町の心を動かした瞬間
南畝先生(桐谷健太)の言葉も春町の復活に大きな影響を与えました。
南畝:「春町先生には物事を皮肉る才があるんじゃないか」
「皮肉」というキーワードが春町の新たな創作への扉を開きます。蔦重もこの言葉に「そうきたか!」と膝を打ち、春町の持つ独特の才能を再認識しました。
折れた筆を手渡される場面では、蔦重の心からの願いが込められています。
蔦重:「もう一度、うちで書いてください」
このシンプルな言葉に、版元として、そして友人としての蔦重の想いが凝縮されています。春町が描いた「屁」の文字を見て大爆笑する蔦重の表情は、春町の才能への純粋な喜びを表現していました。
話題沸騰!春町が生み出した「屁文字」の真意
「廓ばかむら費字盡」に込められた江戸のユーモア
春町の復活作品となった「廓ばかむら費字盡(さとのばかむらむだじづくし)」は、江戸のユーモア文化を象徴する傑作として描かれました。この作品の核となるのが、春町が考案した独特の「屁文字」です。
春町:「失うと書いて未練って読むんだってさ。川を失う枯れるだろう。春を失うは萎む。街を失う不人気。恋川春町とはそういう男だ」
この自虐的でありながら機知に富んだ文字遊びは、春町の内面的な成長を表現しています。彼は自分の弱さを受け入れながらも、それをユーモアに昇華させる才能を発揮しました。
吉原を舞台にした設定についても、春町は次々とアイデアを展開します。「罵り歌うときのような」「本問屋」「調子が良くて本帯や」など、江戸の庶民文化に根ざした表現が散りばめられています。
皮肉屋・春町の新境地をSNSが絶賛
この「屁文字」創作シーンは、SNSで大きな話題となりました。
「未だかつてここまで大河で屁の音を聞くことがあっただろうか?」
といった驚きの声から、
「春町先生、一発芸とかやり慣れてないからデカい声を出そうとすると声が揺れるの、陰キャの解像度が高い」
という細かい演技への称賛まで、多様な反応が寄せられました。
特に注目されたのが、北尾政演(古川雄大)の
「そうかもしんねえし、そうじゃねえかもしんねえですねえ」
というセリフ。視聴者からは「村上春樹みたいなこと言ってた」というユニークな感想も飛び出し、江戸時代と現代を結ぶ普遍的なユーモアとして受け取られました。
春町の屁の音を口で「ぷっぷっ~」と表現するシーンでは、
「大河ドラマでここまで笑わせてくれたのは鎌倉殿以来」
という声も上がり、コメディとしての完成度の高さが評価されています。
誰袖の策略|田沼意知への危険な提案
身請けを条件にした蝦夷地密貿易の申し出
第22話のもう一つの重要な展開が、誰袖(福原遥)と田沼意知(宮沢氷魚)の密談シーンでした。誰袖は巧妙に田沼意知に近づき、蝦夷地での密貿易(抜け荷)への協力を申し出ます。
誰袖:「松前の弟君に抜け荷とやらをやらせてはいかがでしょう」
この提案は、松前廣年の経済的困窮を利用した計算された策略でした。誰袖の
「できれば身請けをしてくださるなら、この話を進めてもよろしゅうございますが」
という条件提示は、彼女の狡猾さを表現しています。
田沼意知は当初、
「吉原を出たいというなら、土山にねだった方がよほど早い」
と冷静に返しますが、誰袖の次の言葉が彼の心を動かします。
誰袖:「あたくしは吉原一の二枚目好みにございまして、旦那様を一目お見かけし、すぐにわかりました」
福原遥の妖艶な演技に視聴者釘付け
この場面での福原遥の演技は、視聴者から絶賛されました。それまでの可愛らしい花魁から一転、計算高く妖艶な女性としての一面を見せた誰袖。
「誰袖花魁の福原遥の妖艶な演技が素晴らしかった」
「可愛らしい花魁だったのが妖艶な小悪魔な花魁だったとは」
といった驚きの声がSNSに溢れました。
特に印象的だったのが、誰袖の
「ここは日々が戦、騙し合い、かけ引き、修羅場の日々」
という言葉。吉原という世界の厳しさと、その中で生き抜く女性の強さを表現したこのセリフは、多くの視聴者の心に残りました。
田沼意知の
「良し。田沼意知。見事抜け荷仕立てられた暁には、誰袖を身請けいたそう」
という決断は、物語に新たな緊張感をもたらしました。
蔦重の涙と平賀源内への想い
耕書堂忘年会で見せた感動の表情
第22話のクライマックスは、蔦重の耕書堂で開かれた忘年会のシーンでした。戯作者や絵師、職人たちが集まるこの場面は、江戸の出版文化の豊かさを象徴する温かなシーンとして描かれました。
春町と政演の和解も見どころの一つでした。
春町:「盗人呼ばわりしてすまなかった」
政演:「あの日のことを覚えていない」
政演の優しいとぼけ方に、
「これ、覚えてなかった訳じゃなくて、そんな事あったっけ?って優しくとぼけてくれたんだろうなって。こういう返しも粋だよねぇ」
という感想がSNSで話題になりました。
そして、春町がパンツ一丁で現れる「酒上不埒」なシーンでは、彼の人間味あふれる一面が描かれ、視聴者の笑いを誘いました。
「三年か」発言に隠された意味とは
最も印象的だったのが、蔦重が外に出て雪を見ながら呟いた「三年か」という言葉でした。このセリフの前に、蔦重は平賀源内の言葉を思い出し、涙を浮かべていました。
蔦重:「三年か」
この謎めいた発言は、視聴者の間で様々な憶測を呼んでいます。平賀源内の獄死の知らせとの関連性や、蔦重の今後の計画への示唆など、多くの考察がSNSで交わされています。
涙を浮かべる蔦重の表情からは、師とも友ともいえる存在だった源内への深い想いが伝わってきました。
「蔦重の涙と平賀源内を思い出し、涙を浮かべる蔦重の熱さと喜びに泣きました」
という感想も多く見られました。
田沼意知との再会|物語の新展開への布石
雪の中での運命的な出会い
雪の降る中、蔦重と田沼意知が再会するシーンは、物語の新たな展開を予感させる重要な場面でした。
蔦重:「以前、田沼様のお屋敷でお会いしませんでしたか?」
この何気ない挨拶から始まる会話は、徐々に緊張感を増していきます。田沼意知の正体が明かされると、蔦重の表情にも変化が見られました。
蝦夷地開発計画への誘いの真意
田沼意知の真の目的は、蔦重を蝦夷地開発計画に引き込むことでした。
田沼意知:「実は我らは今、蝦夷地を開いて、国を開き、鉱山を開き、幕府の御金蔵を立て直す。どうだ、そなたも一つ仲間に加わらぬか」
このセリフは、田沼政権の改革路線と蝦夷地開発への野心を表現しています。歴史的にも、田沼意次は商業重視の政策を推進し、蝦夷地開発にも関心を示していました。
横浜流星と宮沢氷魚の演技の対比も見事でした。自由な商人・蔦重と、政治家の息子・意知という対照的な立場の二人の緊張感あふれるやり取りが、今後の展開への期待を高めています。
最後に意知が述べた「日本橋に店を出させてやろう」という提案は、蔦重にとって大きな誘惑であり、同時に危険な罠でもあることを示唆しています。
第22話は、恋川春町の復活という明るい話題から、政治的陰謀の萌芽まで、多層的な展開を見せた秀作でした。各キャラクターの人間味あふれる描写と、今後の展開への巧妙な布石が散りばめられた回として、視聴者から高い評価を受けています。
第22話まとめ|次回への期待が高まるポイント
第22話「小生、酒上不埒にて」は、笑いと感動、そして緊張感が見事にバランスされた名回でした。今後の展開を左右する重要なポイントをまとめます。
- 恋川春町の創作魂復活: 「屁文字」という独創的なアイデアで見事な復活を遂げ、皮肉屋としての新境地を開拓
- 誰袖の本格始動: 可愛らしい花魁から策略家へと変貌し、田沼意知を巧みに籠絡して蝦夷地密貿易計画に参入
- 蔦重の「三年」発言の謎: 平賀源内を思い出しながら涙を流した後の意味深な呟きが、今後の重要な伏線となる可能性
- 田沼意知の政治的野心: 蔦重を蝦夷地開発計画に引き込もうとする提案で、物語は新たな政治的局面へ
- 創作者同士の絆の深化: 歌麿と春町、春町と政演の和解など、同じ創作に携わる者同士の理解と友情が際立った回
- SNSでの反響の大きさ: 「屁文字」からクールポコ出演まで、視聴者参加型の盛り上がりが大河ドラマの新しい楽しみ方を提示
次回予告で示唆された新展開とともに、第23話への期待がますます高まります。