
連続テレビ小説「あんぱん」第23週第113話では、嵩(北村匠海)の創作への苦悩と突破が描かれ、視聴者の心を揺さぶる神回となりました。
朝ドラ『あんぱん』第23週第113話 あらすじ
週刊誌の漫画コンクールに挑戦することになった嵩は、何日も仕事部屋にこもって必死に作品を制作します。しかし思うようにいかず、丸められた紙が部屋に散乱する状況が続きました。のぶ(今田美桜)は「もっと楽しんで描いてみたら」と優しく声をかけますが、嵩は「一応プロだし、選ばれないとみっともない」とプライドを見せ、「これでダメだったら漫画家をやめる」と決意表明をします。
そんな中、雄太郎の帽子をかぶって掃除機をかけるのぶの姿を見た嵩に突然閃きが訪れます。「僕が頭の中に思い浮かんでいるのは、正体がわからない男なんだよ」「僕は誰なんだろう?」という印象的なセリフとともに、後のアンパンマンの原型となる「ボオ氏」のアイデアが生まれました。一方、手塚治虫をモデルとした手島治虫からの仕事依頼の電話をイタズラと勘違いして切ってしまうコミカルなシーンも話題となり、SNSでは感動と爆笑の声が溢れています。
嵩の創作への苦悩「一応プライドはあるんだ」
連続テレビ小説「あんぱん」第23週第113話は、嵩(北村匠海)の漫画家としての転機を描いた感動的な回となりました。週刊誌の漫画コンクールへの挑戦を決めた嵩の姿には、多くの視聴者が心を揺さぶられたことでしょう。
物語は蘭子(河合優実)がマンションの下の階に引っ越してきたシーンから始まります。のぶ(今田美桜)が
「お姉ちゃん入って!片付けで大変やろう」
と優しくロールパンを持参する姿からも、彼女の温かな人柄が伝わってきました。そんな中、嵩は週刊誌で見つけた漫画コンクールのページに目を止めます。
プロとしての重圧と葛藤
のぶに勧められてコンクールへの応募を検討する嵩でしたが、その表情には複雑な思いが浮かんでいました。
「嵩さんはテレビの漫画先生と、そういうのに挑戦する側、これから名前を売りたい人やろう」
「落ちたら物笑いの種ですよ」
という羽田子と嵩のセリフからは、プロとしてのプライドと不安が入り混じった心境が読み取れます。
しかし、のぶの
「いいごっそうになれ」
という寛先生の物まねが場を和ませました。この瞬間の今田美桜の演技は絶妙で、嵩の緊張をほぐそうとする妻の愛情が伝わってきます。視聴者からも「たねいや、似てる。似てないっちゃ似てない」という嵩の反応に笑いの声が上がりました。
のぶの優しさと嵩の意地
創作に取り組み始めた嵩でしたが、思うようにいかず
「そんなんじゃダメだ、こんなんじゃダメだ」
と声を荒げる場面が続きます。仕事部屋から聞こえる嵩の苦悩の声を心配する羽田子(江口のりこ)に、嵩は
「順調ですので、ご心配なく」
と答えますが、その表情には焦りと不安が隠せません。
のぶが
「もっと楽しんで書いてみたら」
と提案すると、嵩は
「そりゃあそうできたらいいけど、一応プロだし、漫画家歴だけはベテランだから、懸賞を出すからには選ばれないとみっともないだろう」
と返答します。ここで重要なのが続く
「こんな僕にでも、一応プライドはあるんだ」
というセリフです。
このセリフには、これまで思うような成果を上げられずにいた嵩の複雑な心境が込められています。プロとしての矜持を保ちたい気持ちと、現実の厳しさに直面している苦しさ。北村匠海の演技からは、そんな嵩の内面の葛藤が痛いほど伝わってきました。
のぶの
「私は結果より嵩さんが描きたい漫画を描くことに意味があると思う」
という言葉は、妻としての深い愛情と理解を示すものでした。しかし嵩は
「ごめんなさい。いらんこと言うて」
と謝るのぶに対し、
「よし、もう少しもがいてみる」
と決意を新たにします。
運命の閃き「僕は誰なんだろう?」ボオ氏誕生の瞬間
物語のクライマックスは、嵩に突然訪れた閃きの瞬間でした。この場面は多くの視聴者に鳥肌を立たせ、SNSでも大きな話題となりました。
雄太郎の帽子がもたらした奇跡
締切が迫る中、嵩は
「帽子が掃除機を」
と呟きながらのぶの姿を見つめます。雄太郎の帽子をかぶって掃除機をかけるのぶを見た嵩の表情が一変する瞬間は、まさに創作の神が降りた瞬間でした。
のぶは
「うち、いつもお父ちゃんに願掛けしてきた気。恥ずかしい気、みないで」
と説明しますが、嵩にとってはその姿こそが求めていたインスピレーションの源だったのです。
アンパンマン原型となる重要なセリフ
そして運命的な閃きとともに、嵩は重要なセリフを口にします。
「ずっと主人公の顔がわからなかったんだよ。こう書こうとすると、ぼんやりしてわからなくなる。いやでも、それでいいのかもしれない。こう、僕が頭の中に思い浮かんでいるのは、正体がわからない男なんだよ」
「顔だってなくていいし、名前だってなく、国籍だってなくていい。独りぼっちでいいんだ」
「僕は誰なんだろう?いや、誰か分からない。でもそれでいいのかもしれない。名前は?名前は、何がし何がしもう。帽子だ。帽子だ」
この一連のセリフは、後にアンパンマンとなるキャラクターの原型「ボオ氏」誕生の瞬間を表現したものです。やなせたかし氏の実際の創作過程を基にしたこの場面は、視聴者に深い感動を与えました。
「正体がわからない男」「独りぼっちでいい」というフレーズは、やなせたかし氏が戦争体験を経て抱いた「誰のためでもない正義」という思想の萌芽を感じさせます。SNSでは
「朝ドラあんぱん のぶとたかしは決して揺れぬ正義を探す やっと、、アンパンマンのかたちが現れた!」
という投稿も見られ、視聴者がこの場面の重要性を理解していることがわかります。
手塚治虫イタ電扱い事件で視聴者爆笑
113話のもう一つの見どころは、手塚治虫をモデルとした手島治虫からの電話をイタズラと勘違いして切ってしまうコミカルなシーンでした。
「こういうことはもうやめたまえ」の衝撃
創作に集中していた嵩のもとに突然電話が鳴ります。相手は
「手島治虫です。突然電話してすいません。あなたに仕事をお願いしたくて」
と名乗りますが、嵩は
「こういうことはもうやめたまえ」
と言って電話を切ってしまいます。
この場面の演出が絶妙で、視聴者は嵩の反応に爆笑すると同時に、相手が本当に手塚治虫本人だったことを知って二度驚くことになりました。実際に手島治虫は「火の鳥」を描いている最中で、嵩への仕事依頼は本気だったのです。
SNSでは「主人公の夫・柳井崇氏が「君、こういうことは もうやめたまえ」と手嶌治虫氏に 少しイラついた様子で言った」という投稿が話題となり、多くの視聴者がこの場面を楽しんだことがわかります。
史実を基にしたコミカルな演出
この電話のエピソードは、実際にやなせたかし氏と手塚治虫氏の間にあった逸話を基にしているとされています。まだ無名だった漫画家のもとに突然大御所から連絡が来るという状況のリアリティと、それを信じられずに切ってしまう人間臭さが視聴者の共感を呼びました。
「#朝ドラ #あんぱん 手嶌治虫、この前は「どろろ」を描いてて、今日は「火の鳥」(たぶん『COM』版)か。仕事の依頼はおそらくあれですかね」
という投稿からは、手塚作品のファンも楽しんでいることがうかがえます。
のぶと羽田子の温かな支え
113話では、嵩の創作活動を支える家族の絆も丁寧に描かれました。
蘭子への恋愛アドバイス
蘭子が同じマンションに引っ越してきたことで、のぶは彼女への気遣いを見せます。
「豪ちゃんのはてんやけんど、もし、蘭子に好きな人がおるがやったら、臆病にならんといてほしいとうちは思う」
というのぶの言葉からは、想い人を亡くした蘭子への深い共感が感じられました。
雄太郎の帽子をかぶって「似合う?」と茶目っ気を見せる羽田子の姿は、重い話題の中にも温かなユーモアを添えています。そして
「自分の気持ちに正直に生きなさい」
と蘭子に帽子を被せる場面は、母性的な愛情に満ちていました。
家族の絆と理解
食事の場面で嵩が
「もしこれでダメだったら、僕は漫画家をやめる」
と宣言した時、羽田子は驚きますが、のぶは冷静に
「大丈夫。うちは嵩さんの才能を信じてき」
と答えます。この対照的な反応が、それぞれの嵩への思いを表現していました。
のぶの変わらぬ信頼と支援は、嵩にとって何よりの支えとなっているでしょう。今田美桜の演技からは、不安を抱えながらも夫を支え続ける妻の強さが伝わってきました。
締切日の緊迫感と決意
漫画家生命をかけた作品
「更に数日が過ぎ、とうとう、締め切りの日が迫ってきました」
というナレーションとともに、物語は最終段階に入ります。嵩の
「今日、締め切りだから届けてくる。朝ごはんは食べると眠くなっちゃうから先行ってくる」
というセリフからは、徹夜で作品を完成させた疲労と、それでも諦めない執念が感じられました。
徹夜で完成させた執念
朝日が昇り始める中で作品を完成させた嵩の姿は、まさに創作者の執念を体現したものでした。
「嵩が漫画家生命をかけた応募作品です」
というナレーションが、この作品にかける嵩の思いを代弁しています。
SNSでは
「今朝のNHK朝ドラ『あんぱん』では、漫画家の嵩が投稿作品を描くのに四苦八苦する姿が描かれました。アイデアが出ない漫画家が、描きかけの紙をクシャクシャに丸めてはほうり投げるのはテレビの定番ですが、本当に丸めて投げる漫画家はいるんでしょうかね?」
という投稿もあり、創作過程のリアリティについて視聴者なりに考察する姿も見られました。
また、
「朝ドラあんぱん観て、やなせたかしって漫画家だったんだと思った。ずっと絵本作家のイメージが強かったから」
という声もあり、このドラマを通してやなせたかし氏の新たな一面を知った視聴者も多かったようです。
113話は嵩の創作者としての転機を描いた重要な回となりました。プライドと現実の間で苦悩しながらも、最終的に真の創作への閃きを得る嵩の姿は、多くのクリエイターの共感を呼んだことでしょう。そして何より、のぶや羽田子という温かな家族に支えられながら、自分らしい作品を生み出していく過程が美しく描かれた回でもありました。
まとめ
あんぱん第23週第113話の見どころと伏線をまとめると以下の通りです:
- 嵩の「僕は誰なんだろう?」というセリフでアンパンマン原型「ボオ氏」が誕生した重要な転機回
- 手塚治虫をイタズラ電話扱いするコミカルなシーンで史実を基にした演出の妙を披露
- のぶの雄太郎の帽子姿が創作のきっかけとなる運命的な閃きのシーン
- 「これでダメだったら漫画家をやめる」という嵩の覚悟と決意表明
- 蘭子への恋愛アドバイスを通して描かれる羽田子の母性的な愛情
- プロとしてのプライドと創作への純粋な思いの間で揺れる嵩の心境変化
次回以降、嵩の応募作品がどのような評価を受けるのか、そして手塚治虫からの仕事依頼の内容など、注目すべき展開が待っています。