NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第27話では、ヘブン先生の女中探しを巡る騒動が描かれました。花田旅館を出ると決めたヘブン先生のために、錦織が奔走する中で明らかになったのは、明治時代の”当たり前”の残酷さ。県知事が放った「どっちもできる女中がいいわね」という一言は、遊女と家事労働の両立を当然視する時代背景を象徴し、SNSでも大きな話題となりました。一方、遊女のなみが勇気を振り絞って名乗り出るも、最終的に錦織がトキに依頼する展開に。そして松野家では、しじみ汁にしじみの身が一つも入っていないという衝撃の貧困描写が…。今回は笑いと涙、そして考察が入り混じる濃密な15分でした。
「ばけばけ」第6週第27回|あらすじと物語の流れ
トキとフミがしじみを売りに花田旅館を訪れると、ヘブン先生と平太がケンカ中だと知ります。ヘブン先生は旅館を出ると決意し、錦織に家探しと女中探しを依頼。県知事からは「どっちもできる女中」を見つけるよう指示されます。遊女のなみが「私の出番」と覚悟を決めて名乗り出て、ヘブン先生に手作り弁当を振る舞いますが、結果は不明のまま。一方、松野家では夕食のしじみ汁にしじみの身が一つも入っておらず、トキが「一つ残らず売らないと暮らしていけない」と涙の告白。その夜、錦織が松野家を訪れ、トキに「ヘブン先生の女中になってほしい」と依頼します。なみはどうなったのか、トキは引き受けるのか…波乱の展開が予感される回でした。
ヘブン先生、花田旅館を出る決意…平太との確執が表面化
「しじみさん」と呼ばれたトキの朝
第27話の冒頭、トキとフミは花田旅館にしじみを売りに訪れます。つよから快く買ってもらい、ホッとした表情を浮かべる親子。そこへ登校してきたヘブン先生がトキに向かって声をかけます。
「しじみさん」
思わず驚くトキ。「初めて呼ばれた」と戸惑いながらも、ヘブン先生の優しい笑顔に安心した様子です。さらにヘブン先生はフミにも丁寧に挨拶し、握手まで求めます。
「ママさん、おはようございます」
この「ママさん」という呼び方について、ヘブン先生は「向こうの言葉で母親のこと」と説明します。英語では”Mom”や”Mother”を指しますが、ヘブン先生の片言の日本語での説明が微笑ましいシーンでした。
ヘブン先生が学校を楽しみにしている様子を見て、トキは
「早くに学校嫌がっていらしたのに、楽しくなってきたんですかね」
と嬉しそうに話します。しかし、このほのぼのとした朝の空気は、実は嵐の前の静けさだったのです。
英語でバカにされていると感じるヘブン先生
ヘブン先生が出て行った後、平太が「行ったか」とタイミングを見計らったかのように現れます。このシーンから、二人の間に大きな溝があることが分かります。平太の説明によると、ケンカの原因は「ウメを医者に連れて行かなかったから」という言い合いでした。
「前にも一度、地獄地獄って大げさなんだ。その割には出された飯は残さず食うんだから」
平太のこの言葉には、ヘブン先生への複雑な感情が滲んでいます。地獄だと言いながらも旅館の食事はしっかり食べている矛盾を指摘しつつ、どこか愛情も感じられる台詞です。
一方、学校に到着したヘブン先生は、錦織に英語で不満を漏らします。
“He thinks he can ignore me because I don’t understand him.”
「彼(平太)は俺が理解できないからって無視していると思っている」という意味です。さらに続けて、
ヘブン先生の「寮から出る」という決断は、単なる喧嘩だけでなく、言葉の壁によるすれ違いや、外国人として扱われることへの疲れが積み重なった結果だと分かります。錦織が小声で
「あんたが勝手に決めたんだろう」
とぼやくと、ヘブン先生は鋭く「何?」と反応。日本語が分からないふりをしていても、雰囲気は察知しているようです。
このシーンでの錦織の困った表情と、ヘブン先生の譲らない態度のコントラストが、これから始まる女中探しの難航を予感させます。
「どっちもできる女中がいいわね」県知事の衝撃発言と明治の残酷な”当たり前”
割子そばを食べながらの軽い口調が余計に…
錦織はヘブン先生の希望を江藤県知事に報告します。県知事は割子そばを美味しそうに食べながら、こう答えます。
「いいんじゃないか、別に。どこかで一人で暮らそうが、きちんと英語を教え、島根を一流の県にしてくれさえすれば問題ないわね」
一見理解のある上司のようですが、続く言葉が衝撃的でした。
「先生ご自身も、身の回りの世話をしてくれる人間が一人は欲しいと。日本での生活ですから」
錦織が
「女中ですか?」
と確認すると、県知事はさらに踏み込みます。
「東京で何人もの外国人と付き合ってきた君が分からんかね。どっちもできる女中がいいわね」
この「どっちも」という言葉の意味を、錦織は一瞬理解できず
「どっちもと言いますと?」
と聞き返します。しかし県知事の表情から、それが「家事労働」と「夜の相手(ラシャメン)」の両方を指すことを悟り、錦織の顔がクローズアップされます。
錦織の複雑な表情が物語るもの
このシーンで注目すべきは、佐野史郎さん演じる県知事の食事シーンです。割子そばを本当に美味しそうに食べながら、まるで天気の話をするかのように軽い口調で「どっちもできる女中」を要求する姿は、明治時代の権力者の無神経さを象徴しています。
「どっちもだわ」
この一言が、SNSで大きな話題となりました。現代の感覚では到底受け入れられない発言ですが、明治時代には遊女(ラシャメン)と家事労働を兼ねることは珍しくなかったという時代背景があります。県知事にとっては「効率的」な提案でしかなく、そこに女性の人権や尊厳への配慮は全くありません。
錦織の表情は複雑です。東京での経験から外国人対応には慣れているはずですが、この要求には明らかに戸惑いと嫌悪が入り混じっています。吉沢亮さんの繊細な演技が光るシーンで、声には出さないものの「これは間違っている」という思いが表情から伝わってきました。
SNSでは「今だったら大問題」「明治の”当たり前”が怖すぎる」といった声が多数上がり、ドラマが描く歴史の重さを改めて感じさせる場面となりました。一方で「佐野史郎さんのそばが美味しそう」「お腹空いてきた」という声もあり、シリアスな内容の中にユーモアを感じさせる演出も見事でした。
なみさんの覚悟と「石投げんでね」に込められた切実な願い
「私の出番」と決意する遊女の境遇
女中探しの噂を聞きつけたのは、遊女のなみ(さとうほなみ)でした。記者にお金を渡しながら、なみは決意を語ります。
「私の出番だ」
遊郭で働くなみにとって、ヘブン先生の女中になることは、この場所から抜け出す唯一のチャンスでした。なみはトキと記者を前に、自分の生い立ちを語り始めます。
「できるったらできる。お客や芸者衆に聞いたんだけど、ラシャメンってそれはつらい思いをするらしいけん」
ラシャメンとは、明治時代に外国人相手をする遊女のことです。日本人客とは違う文化や言葉の壁、そして偏見に晒される過酷な仕事でした。なみはそのつらさを知りながらも、覚悟を決めます。
「のめかけ、太夫だけでなく人間だって言われて、石投げられて、剥がされて木に縛りつけられて…」
この台詞には、遊女として生きることの壮絶な現実が凝縮されています。「人間扱いされない」「石を投げられる」「木に縛りつけられる」…想像を絶する虐待や差別を受けてきたなみの過去が、一言一言に重みとなって乗っています。
そして、なみは続けます。
「挙げ句の果てに、私は…かもしれんけど、その時がようやく来たけん」
「その時」とは、遊郭から抜け出せる機会のことです。家族のために身売りされたなみにとって、ヘブン先生の女中になることは、人間らしい生活を取り戻すチャンスだったのです。
手作り弁当に込めた温かさ…百姓育ち8人兄弟の長女
夜の遊郭で、錦織となみ、そしてヘブン先生が面談します。錦織が花田旅館の女中には断られたことを伝えると、ヘブン先生は少し気落ちした様子。そこでなみの家事能力について確認します。
「いわゆる家事はできるのかと」
錦織が通訳してヘブン先生に伝えると、なみは自信を持って答えます。
「料理も掃除も洗濯もイエスです」
さらに、なみは持参した手作りの弁当をヘブン先生に差し出します。
「よかったら食べてごしなさい」
ヘブン先生が弁当を開けると、美味しそうな料理が並んでいます。一口食べたヘブン先生は「おいしい」と満足そうな表情。なみは続けて自分の経歴を説明します。
「実は私、百姓の娘で8人兄弟の長女でして、掃除も洗濯も小さいころからやらされてきましたけど、もう染み付いちゃって」
百姓の家に生まれ、8人兄弟の長女として幼い頃から家事全般を担ってきたなみ。その経験は、単なる家事能力だけでなく、面倒見の良さや責任感の強さも物語っています。
錦織も「助かる」と安堵の表情を見せ、ヘブン先生も満足そう。このまま決まりかと思われたのですが…このシーンで終わり、次のシーンでは錦織が松野家を訪れています。
なみさんはどうなったのか?
視聴者の多くがこの疑問を抱きました。SNSでは「なみさん幸せになってほしい」「なぜ選ばれなかったの?」という声が溢れ、さとうほなみさんの演技への称賛と共に、なみの行方を心配する投稿が相次ぎました。
しじみ汁にしじみが入らない…松野家が体現する”本当のジゴク”
「一つ残らず売っちょるから」トキの涙の告白
場面は変わって松野家の夕食シーン。久しぶりに家族全員が揃った食卓です。司之介と勘右衛門が味噌汁を一口飲んで、何かに気づきます。
「しじみ汁と言いながら、しじみの実がないか」
二人が驚いて椀を覗き込むと、確かにしじみの身が一つも入っていません。トキとフミが箸を置き、トキが理由を説明します。
「一つ残らず売っちょるからでございます。一つ残らず売らないと暮らしていけぬからでございます」
この台詞には、松野家の貧困の深刻さが凝縮されています。しじみを採ってきても、自分たちが食べるためではなく、すべて売らなければ生活できない状況。しじみ汁という名前だけで、肝心の身は一つも入っていない…この描写は、ヘブン先生が「ジゴク(地獄)」と表現した花田旅館の居心地の悪さとは比較にならない、本当の貧困を表しています。
勘右衛門は「分かってごしなさい」と理解を示しますが、司之介は「わしだけ言ったように言うな」と弁解。家族の誰もがこの状況を受け入れざるを得ない切なさが伝わってきます。
「泥棒のほうが裕福」勘右衛門のユーモアに滲む哀しみ
食事中、誰かが家の外から松野家を覗いている気配がします。勘右衛門が刀を持って確認に向かうと、司之介がこう言います。
「泥棒でもうちより裕福じゃろう」
このユーモラスな台詞に、松野家の貧困の深刻さが逆説的に表現されています。泥棒が入っても盗むものがない、それどころか泥棒のほうが裕福だろうという自嘲。笑いながらも哀しみが滲む、絶妙な演出でした。
勘右衛門が「何者じゃ」と戸を開けると、そこに立っていたのは錦織でした。泥棒ではなく、トキに重大な依頼をしに来た錦織。この登場の仕方が、次の展開への期待を高めます。
SNSでは「しじみ汁の身なし」に多くの視聴者が心を痛め、「これが本当のジゴク」「ヘブン先生に見せてあげたい」といった声が上がりました。また「泥棒のほうが裕福」という台詞には「笑いながら泣けてきた」「ユーモアで乗り切る強さ」といった反応も見られ、松野家の家族愛の温かさが改めて感じられるシーンでした。
なぜなみさんは選ばれなかったのか?錦織がトキに依頼した理由を考察
「士族の娘がお望み」ヘブン先生の価値観
錦織とトキが二人きりで話すシーン。錦織は緊張した様子で切り出します。
「単刀直入に言おう」
しかし、なかなか本題に入れない錦織。何か言い訳を考えているようにも見えます。そしてついに、
「ヘブン先生の女中になってほしい」
驚くトキ。視聴者も驚きました。なぜなみではなくトキなのか?
SNSでは様々な考察が飛び交いました。最も多かった意見は「士族の娘がお望みだったから」というもの。ヘブン先生が最初に望んでいたのは花田旅館の女中、つまり「きちんとした家柄の女性」でした。
遊女のなみは確かに家事能力が高く、温かい人柄も備えていました。しかし、ヘブン先生の価値観や、県知事が求める「適切な女中」の基準には合わなかった可能性があります。
夜の仕事を拒否した可能性…ラシャメンとは?
もう一つの可能性は、「夜の仕事」を巡る話し合いで決裂したというもの。県知事は「どっちもできる女中」を求めていましたが、なみ自身がラシャメンの過酷さを知っていたからこそ、条件交渉で折り合わなかった可能性があります。
SNSでは「なみさんが『私には愛する人がいる!そんなの望んでない!』って言って決裂したのかも」という考察や、「博多大吉(なみの出身地が博多弁だから)だったからかな」というユーモラスな推測も見られました。
また、「錦織さんの母は妾?」という投稿もあり、錦織自身が「どっちもできる女中」という要求に抵抗を感じ、なみを守るためにトキに声をかけた可能性も考えられます。錦織の複雑な家庭環境(母が妾だったという噂)が、彼の判断に影響を与えたのかもしれません。
いずれにせよ、なみさんの行方と、トキがこの依頼を受けるのかどうかが、第28話以降の大きな焦点となります。月給20円という破格の条件(SNS情報より)が提示されたとすれば、借金に苦しむ松野家にとっては願ってもないチャンスですが、トキ自身の気持ちや、ヘブン先生との関係性がどう展開するのか、目が離せません。
📌【まとめ】第27話の見どころと伏線を整理
今回の第27話は、笑いと涙、そして深い考察を呼ぶ濃密な15分でした。以下、見どころと伏線を箇条書きでまとめます。
- 「どっちもできる女中」発言の衝撃 – 県知事が放った一言は、明治時代の女性差別と遊女制度の残酷さを象徴。現代の視聴者に歴史の重みを突きつける問題提起となった
- なみさんの覚悟と温かさ – 「石投げんでね」という切実な願いと、手作り弁当に込めた優しさ。百姓育ちの長女として培った家事能力と人間性が光った
- しじみ汁の身なし描写 – 「一つ残らず売らないと暮らしていけない」という貧困のリアル。ヘブン先生の「ジゴク」とは次元が違う、本当の地獄を体現
- なみはなぜ選ばれなかったのか? – 士族の娘を望むヘブン先生の価値観か、ラシャメンの条件で決裂したのか。視聴者の考察意欲を掻き立てる謎
- 錦織のトキへの依頼 – 破格の月給20円(推測)で女中を依頼。借金に苦しむ松野家の救世主となるのか、それともトキは拒否するのか
第27話は、時代の残酷さと人間の温かさが交錯する、「ばけばけ」らしい回でした。次回以降、トキの決断となみの行方、そして錦織とヘブン先生の関係がどう動くのか、ますます目が離せません!
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