
べらぼう第21話では、キャスト陣の演技力が存分に発揮されました。えなりかずきの従来のイメージを覆す悪役ぶり、桐谷健太演じる春町先生の狂態シーン、そして伊藤淳史の一人二役など、話題の演技を詳しく解説。眉毛の形で性格を表現する演出技法や、本職摺師の起用など、制作陣のこだわりも紹介します。
【あらすじ】べらぼう第21話の見どころと重要ポイント
第21話のタイトル「蝦夷桜上野屁音」には、この回が描く二重構造が巧妙に込められています。蝦夷地問題という政治的転換点と、蔦重の商売戦略転換という個人的転換点が、まるで桜の花びらが散るように交錯していく様子が描かれました。
蝦夷地問題の政治的背景
蝦夷地をめぐる政治的駆け引きでは、工藤平助の「赤蝦夷風説考」が重要な役割を果たしています。この書物は1783年(天明3年)に実際に刊行された田沼時代の重要文献で、ロシア(当時の「赤蝦夷」)による北方脅威論を展開し、蝦夷地開発の必要性を説いた歴史的文書です。
ドラマでは松前道寛(えなりかずき)の陰謀の道具として巧妙に使われています。
「北辺に巣食う鬼」
と呼ばれる松前の密貿易(抜荷)実態が暴露される場面では、えなりかずきの悪役ぶりが際立ちます。
蔦重の商売戦略転換
一方、蔦重の転換点を象徴するのが、あの印象的なセリフです。
「そうきたか」
西村屋との競争で完敗した蔦重が、逆転の発想で「南方先生×青本」という新戦略を思いつく瞬間、その表情には諦めではなく希望の光が宿っています。
歌麿との会話では、歌麿の
「屋根があって飯食えて」
という現実的な言葉に対し、蔦重は
「お前を蔦屋史上とびきりの絵師にする、俺がそうしてえんだよ」
と返します。この師弟を超えた絆の描写が、後の歌麿大成功への重要な布石となっています。
【キャスト評価】えなりかずき演じる松前道寛の衝撃的悪役ぶり
えなりかずきの新境地
えなりかずきが演じる松前は、これまでの彼のイメージを完全に覆す悪役ぶりで話題を呼びました。劇中では飲み会の最中に発砲するという極悪非道な行為まで描かれています。
SNSでの反応も驚きの声で溢れました。
「えなりくん飲み会中に発砲とか極悪人すぎて草」
「えなりかずき史上最も邪悪なえなりかずき」
「13人の刺客の殿みたいな暴君😱」
歴史的背景との整合性
松前藩は実際に江戸時代を通じて蝦夷地での独占貿易権を持ち、その利権を巡って幕府との駆け引きを繰り返していた歴史があります。アイヌとの交易で莫大な利益を上げていましたが、その過程で密貿易やアイヌに対する搾取的行為が横行していたのも歴史的事実です。
【演出解説】大文字屋二代目登場の巧妙な演出技法
伊藤淳史の一人二役
第21話で話題を呼んだのが、大文字屋二代目の登場です。伊藤淳史の一人二役というキャスティングに、視聴者は驚きを隠せませんでした。
「大文字屋の旦那が生き返ったと思ったら2代目かい」
「カボチャの旦那生きとった!?と思ったら2世だった」
細部へのこだわり
眉毛による性格表現
特に注目すべきは、眉毛の形で一代目と二代目の性格差を表現した演出技術です。
- 一代目:厳格な太眉
- 二代目:優しげな細眉

視聴者もその違いを敏感に感じ取っています。
「顔は瓜二つだけど2代目は優しげですね。眉も違う!」
「1代目と2代目と、ちょっと眉の形を変えた演出!メイクさん、さすがです✨✨」
本職摺師の起用
また、摺師役に本職の摺師さんを起用したという制作秘話もSNSで大きな話題となりました。江戸時代の浮世絵制作は彫師・摺師・版元の分業制で成り立っており、それぞれに高度な技術が要求されました。
【人間ドラマ】春町先生の狂態シーンが描く創作者の心理
桐谷健太の渾身の演技
春町先生の狂態シーンは、創作者の抱える複雑な感情を浮き彫りにしています。正信(山田正次郎)への嫉妬から叫ぶ場面。
「俺たちは屁だ〜!屁!屁!屁!」
表面的にはコメディですが、その裏には深刻な自己否定の感情が潜んでいます。
視聴者の反応
「春町先生からしたらうざい以外ないだろうけども、オタクからしたらなんてかわいいんだ!」
「春町先生ブチギレの一連のシーン、まぁさん、歌麿、蔦重あたりの表情に注目しながら3〜4回は見返して楽しめるわ」
「デリカシーない陽キャの中でがんばったね、春町先生…」
口の中で舌をグリグリする細かい演技も含めて、創作者の屈折した心理を見事に表現しています。
【歴史解説】田沼時代の政治的背景と工藤平助の役割
田沼政権の特徴
田沼政権期(1767-1786年)は商業政策重視で経済成長を図った一方、金権政治の弊害も指摘された複雑な時代でした。蝦夷地開発をめぐる政治的駆け引きは、表面上は国防問題ですが、実際は幕府財政再建と各派閥の利権争いが絡んでいます。
工藤平助と「赤蝦夷風説考」
工藤平助の人物像
- 生年:1734-1800年
- 職業:医師・蘭学者・海防論者
- 主張:ロシア脅威論と蝦夷地開発の必要性
「赤蝦夷風説考」は現代の外交・経済問題にも通じる構造を持っており、単なる時代劇を超えた普遍性があります。
一橋治済との対立構造
田沼意次と一橋治済(白天狗)の権力闘争も重要な要素です。視聴者も今後の政治的展開に不穏さを感じています。
「一橋治済は次に上様(徳川家治)を暗殺するのではないかと感じた」
「田沼意知の暗殺はひょっとして系図のせいではなくて蝦夷がらみで一橋に嵌められるんじゃないだろうか」
田沼意知の暗殺事件(1784年3月24日)は実際に起こった歴史的事件で、田沼政権失脚の大きな要因となりました。
【今後の展開予想】第21話が示す物語への影響
蔦重の成長と新戦略
蔦重の挫折と学習のプロセスが、今後の成功への重要な布石となっています。実際の蔦屋重三郎も、初期は失敗を重ねながら独自の出版戦略を確立していきました。
- 取扱ジャンル:黄表紙から洒落本、浮世絵まで幅広く
- 特徴:時代の文化的ニーズを的確に把握する能力
歌麿との関係発展
歌麿の
「屋根があって飯食えて、それで十分だ」
という言葉は、江戸時代の絵師たちの現実を表しています。多くが版元との契約関係にあり、安定した収入と創作環境の確保が重要な課題でした。
視聴者の期待
「歌麿が幸せそうならなんでもいいや!!!」
「この2人の今後の歩みが楽しみ😚」
「信じるものを手放さず、笑って泣いて、転んでもまた立ち上がる…なんか、みんな応援したくなるー」
【まとめ】第21話の評価と次回への期待
多層的な物語構造の成功
第21話は、政治ドラマと人間ドラマの融合、挫折と希望が交錯する複雑さが際立った回です。視聴者が細かな演出や登場人物の心理に注目していることがSNSの反応からも分かります。
視聴者の高い評価
「今期の大河ドラマ、本当に良い!」
SNSでの反響を見ても、視聴者がこのドラマの奥深さを十分に理解し、楽しんでいることがよくわかります。
次回以降への期待要素
- 蔦重の新戦略が生み出す作品
- 松前問題の政治的帰結
- 歌麿の才能開花への道筋
- 春町先生の復活可能性
- たが袖の身請けはどちらに!?
転換点としての第21話の意義は、単に物語の中間地点ということではありません。すべての要素が今後の展開への期待感を高めており、視聴者に深い余韻と次回への期待感を醸成した点で大成功を収めたと言えるでしょう。