
朝ドラ「あんぱん」第20週96話「見上げてごらん夜の星を」が8月11日に放送され、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の人生に大きな転換点が訪れました。嵩の漫画「名犬ボン」がボツになる挫折と八木(妻夫木聡)の心温まる励まし、そしてのぶが鉄子(戸田恵子)から解雇を言い渡される衝撃の展開に、視聴者からは感動と驚きの声が続々と上がっています。
朝ドラ『あんぱん』第20週第96話 あらすじ
今回の放送では、のぶが「崇」から「崇さん」へと呼び方を変えたことで夫婦関係の新たな局面を迎え、嵩は独創漫画派での厳しい現実と向き合うことに。一方、鉄子は八木から「権力の方ばっかり向いてる」と痛いところを突かれ、自身の変化を自覚する場面も描かれました。物語の核心である「何があっても逆転しない正義」というテーマが、戦後復興期の混乱の中で夫婦が追い求める信念として鮮明に浮かび上がり、やなせたかし夫妻をモデルにした夫婦の絆と理想への道のりが感動的に描かれています。八木の「大衆なんかに媚びず、お前らしいものを描けばいい」という言葉は、夢を追う全ての人への普遍的なメッセージとして視聴者の心を強く打ちました。
のぶが「崇さん」と呼ぶ理由|夫婦関係の新たなステージへの変化
朝ドラ「あんぱん」第96話の冒頭、のぶが嵩の髪を切りながら何気なく口にした
「何とかなるちゃ…仕事がなかったら…わたしが崇さんを食べさせてやるき…」
という言葉に、嵩は驚きを隠せませんでした。
「ウン…? 今なんて…? 崇さん…?」
と戸惑う嵩に対し、のぶは
「独立を言おうて今日からさん付けで呼ぶことに従い」
「崇さんはこれから有名な漫画家の先生になるのに呼び捨てを失礼だっけ」
と説明します。
この呼び方の変化は、単なる敬語の問題ではありません。のぶが嵩を一人の漫画家として尊敬し、対等なパートナーとして認めていることの表れなのです。これまで「崇」と呼び捨てにしていたのぶが、夫の夢を本気で応援し、その才能を信じている証拠として「崇さん」という呼び方を選んだのです。
視聴者からも「「嵩さん」敬意と変わらぬ親しみが込められてる感◎」という反応が寄せられており、夫婦の関係性が新たなステージに入ったことを多くの人が感じ取っています。戦後の混乱期という厳しい時代の中で、夫婦がお互いを支え合い、尊重し合う姿勢は、現代の視聴者にとっても学ぶべき関係性として映っているのでしょう。
のぶの「わたしが崇さんを食べさせてやるき」という言葉は、経済的な不安を抱えながらも夫の夢を支えようとする妻の強い意志を表しています。この場面で描かれる夫婦の絆は、後にアンパンマンを生み出すやなせたかし夫妻の実際のエピソードを彷彿とさせ、困難な時代を乗り越える夫婦の愛情の深さを感じさせます。
嵩の漫画家としての挫折|「名犬ボン」ボツの衝撃と独創漫画派での現実
嵩が所属する「独創漫画派」では、立川先生が行方不明になり、連載に穴が空きそうになったため、嵩に新しい仕事が回ってきました。しかし、期待を込めて取り組んだ作品は、結局ボツになってしまいます。電話で知らされたその結果に、嵩は大きなショックを受けることになります。
独創漫画派のメンバーたちは、
「編集者、いつもああ言って仕事なんか一度も持ってこねよ」
「あんまり期待しない方がいいですよ」
と現実的な言葉をかけますが、それでも嵩の落ち込みは深刻でした。この場面は、夢を追う漫画家たちの厳しい現実を如実に表しており、視聴者にとっても胸が痛む展開となりました。
特に印象的だったのは、嵩が描いた「名犬ボン」の詩の部分です。
「夜の底に黒い犬がいて、小声で吠える。ボン・ボン・セ・シ・ボン。さみしい人、ボンはあなたの友人です」
という詩は、後のアンパンマンにつながる優しさと温かさに満ちており、ボツになってしまったことが余計に切なく感じられます。
嵩自身も
「ボンは僕です。どこにも載せてもらえないし、僕の漫画大衆受けしないんでしょうね」
と自己評価を下げてしまいますが、この苦悩こそが後に多くの人に愛されるキャラクターを生み出す原動力となることを、視聴者は知っているからこそ、より一層感情移入してしまうのです。
視聴者からは
「朝ドラあんぱん96回 のぶの崇から崇さんに呼び方変えたのが新鮮。独立した嵩が入った独創漫画派という集団の得体かまだ分からぬがそこで割り振られた仕事をこなす崇が編集者に裏切られたりと大変そう」
という声が上がっており、嵩の置かれた厳しい状況に多くの人が同情を寄せています。
八木の励ましが視聴者の心を打つ|「大衆に媚びず、お前らしいものを」の真意
嵩が落ち込んでいる時、九州コットンセンターで雇われ店長をしている八木信之介(妻夫木聡)が、温かい励ましの言葉をかけます。
「大衆なんかに媚びず、お前らしいものを描けばいいんだよ」
という八木の言葉は、今回の放送で最も視聴者の心を打った名言として話題になりました。
この場面の八木は、これまで見せていた厳しい表情とは打って変わって、優しい笑顔で嵩を見つめています。孤児院の子供たちが手作りのカードを持って八木に会いに来るシーンでも、八木の人間的な温かさが描かれており、彼が単なる商売人ではなく、人の心を理解できる人物であることが伝わってきます。
「僕らしいってなんでしょう」と問いかける嵩に対し、八木は明確な答えを与えるのではなく、嵩自身が見つけ出すべきものだということを示唆します。この励まし方は、上から目線ではなく、同じ目線に立って寄り添う姿勢が感じられ、視聴者からも高く評価されています。
「八木さんこんなに柔らかい笑顔見せるようになって…のぶの次くらいに嵩の才能信じてくれてるよな☺️」
という視聴者の声からも分かるように、八木の変化と嵩への信頼が伝わってきます。また、八木が後のサンリオ創業者のモデルということもあり、この励ましが単なる慰めではなく、実際に成功を収めた人物からの重みのある言葉として受け取られています。
八木の「大衆に媚びない」という哲学は、後にやなせたかしが「アンパンマン」を通じて表現する「本当に困っている人を助ける」という普遍的な正義観につながっており、この場面が物語全体の重要な転換点となっていることが感じられます。
のぶ解雇の衝撃|鉄子との決別と「逆転しない正義」への道のり
今回の放送で最も衝撃的だったのは、のぶが鉄子から事実上の解雇を言い渡される場面でした。のぶが勝手に予定を変更し、施設関係者と鉄子の面談を設定したことに対し、鉄子は激怒します。「のぶさんは勝手に予定かえんとっても」という鉄子の言葉からは、政治家としての立場を重視する現在の彼女の価値観が見て取れます。
のぶは
「先日、先生はやめてとおっしゃいましたが、ここで働かせてください。お願いします」
と必死に頼み込みますが、鉄子の心は既に決まっていました。
「探しちゅうものがあるがです」
と訴えるのぶに対し、鉄子は
「それを見つけることがあなたのしたいことか。それはここにいたら見つかるもんか」
と問いかけます。
この会話の中で明らかになるのは、のぶが探しているものが「何があっても逆転しない正義」だということです。戦争中に「逆転した正義に流されて、子供たちを導いてしまった」ことへの負い目を今も感じているのぶにとって、真の正義を見つけることは人生をかけた使命なのです。
鉄子との関係が悪化していく背景には、彼女自身の変化があります。かつて「ガード下の女王」として民衆の側に立っていた鉄子が、今では「権力の方ばっかり向いてる」状況になっていることを、八木から指摘される場面もありました。この変化は、のぶが求める「逆転しない正義」とは相反するものであり、二人の決別は避けられない運命だったのかもしれません。
視聴者からも
「のぶと鉄子も決別しそう。いよいよお別れの時かな?正義を見つける旅に出よう!」
という声が上がっており、この展開が物語の大きな転換点であることが感じられます。
鉄子の複雑な心境|「痛いところを突かれた」ガード下の女王の変化
鉄子(戸田恵子)の人物描写が今回の放送で特に光っていました。施設関係者との面談で涙を流す鉄子を見た中山秘書が
「さすがですね、涙を流してみせるなんて。それも次の選挙のためですか」
と皮肉を込めて言うと、鉄子は
「本当の涙や。同情するし、法律の問題もわかっちゃう」
と反論します。
この場面は、鉄子の複雑な心境を巧妙に表現しています。政治家として演技をしているのではなく、本当に心を動かされながらも、政治的な立場上、限界があることを自覚している鉄子の苦悩が描かれているのです。その後、「冷めないうちに出前の鰻」を食べる場面は、かつての「ガード下の女王」からは考えられない優雅な生活を象徴しており、視聴者にも強い印象を与えました。
八木から「権力の方ばっかり向いてる」と指摘された時の鉄子の反応も印象的でした。反論することなく、むしろその指摘を受け入れるような表情を見せる鉄子からは、自分自身の変化を自覚している様子が伺えます。最後に八木が言った「痛いところを突かれたな」という言葉は、まさに鉄子の心境を代弁するものでした。
「薪鉄子(戸田恵子)の人物造形が面白くなってきた ガード下の女王と呼ばれ、孤児たちを助けてきた彼女が、国会議員としてさまざまな矛盾にぶつかり、本心半分演技半分で施設の人の訴えに涙を流したあとにうなぎを食べ、孤児が作ったカードを買いに行く ひとりの人間が宿す複数の顔」
という視聴者の分析は的確で、鉄子という人物の複雑さと人間らしさを表現しています。
鉄子が孤児院の子供たちが作ったカードを買いに九州コットンセンターに来る場面も象徴的でした。政治家として多忙な日々を送りながらも、子供たちへの愛情は変わらず持ち続けている鉄子の姿は、彼女の根本的な優しさを表しており、視聴者にとっても憎めないキャラクターとして映っています。
今後の展開への期待|アンパンマン誕生への伏線と夫婦の絆
今回の放送では、嵩の「名犬ボン」の詩が特に注目を集めました。
「夜の底に黒い犬がいて、小声で吠える。ボン・ボン・セ・シ・ボン。さみしい人、ボンはあなたの友人です」
という詩は、後にアンパンマンが表現する「困っている人を助ける」という理念の原型とも言える内容になっています。
「名犬ボン」がボツになったことで落ち込む嵩ですが、この挫折こそが後の大きな成功への布石となることを視聴者は知っています。八木の「お前らしいものを描けばいい」という励ましも、嵩が自分自身の信念に基づいた作品を作り続けることの大切さを示唆しており、アンパンマン誕生への道筋が見えてきます。
のぶと鉄子の決別も、物語の重要な転換点となっています。「逆転しない正義」を探し続けるのぶが、政治の世界を離れることで、より純粋な形で自分の信念を追求できるようになるのかもしれません。夫婦が共に「正義」を探求する旅に出ることで、後のアンパンマンという普遍的な正義の象徴が生まれることになるのでしょう。
八木信之介というキャラクターの存在も今後の展開に大きな影響を与えそうです。実際のサンリオ創業者をモデルにしたこの人物が、嵩とのぶの人生にどのような変化をもたらすのか、視聴者の期待は高まるばかりです。
「八木信之介の存在が、嵩とのぶの人生にどんな影響を与えるのか、#妻夫木聡 の演技に期待が高まる」
という声からも、今後の展開への関心の高さが伺えます。
まとめ
今回の見どころと伏線
- のぶの「崇さん」呼びは夫婦関係の新たなステージを表現し、お互いを尊重し合う姿勢を示している
- 嵩の「名犬ボン」の詩はアンパンマン誕生への重要な伏線となっており、「さみしい人の友人」という概念が後の作品につながる
- 八木の「大衆に媚びず、お前らしいものを」という励ましは、やなせたかし氏の創作哲学の原点を示している
- のぶと鉄子の決別は「逆転しない正義」探求への本格的な旅立ちを意味し、物語の大きな転換点となっている
- 鉄子の「痛いところを突かれた」発言は、ガード下の女王から政治家への変化に対する自己認識を表している
- 八木信之介の優しい表情と励ましは、後のサンリオ創業者としての人格形成を示唆し、嵩との友情の深まりを予感させている