NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第2週第6話が2025年10月6日に放送されました。八重垣神社の恋占いで悲惨な結果だったトキ(髙石あかり)。貧乏脱出のための婿探しに、松野家が総出で奔走します。「怪談好きな働き者」という独特の条件を掲げるトキと、「士族の小豆洗い」を提案する家族のやりとりに、朝から笑いが止まりません。一方、友人せんの電撃結婚を知ったトキが見せた”怖い笑顔”は、SNSで「表情演技が凄すぎる」と大反響。笑いの裏に潜む切なさと、雨清水家との関係性に新たな伏線が…!
ばけばけ第2週第6話 あらすじ
恋占いの結果が悲惨だったトキを励ますため、司之介(岡部たかし)とフミ(池脇千鶴)は婿探しを開始。松野家では「怪談好きで働き者」というトキの希望に、勘右衛門(小日向文世)が「士族の小豆洗い」を提案する一幕も。司之介は牛乳配達のついでに県知事宅へ縁談を持ちかけて叱られ、フミはタエ(北川景子)に相談するも、すでに先走って動いていたことが判明する。工場では友人せんの結婚が決まり、占い通りの展開に焦るトキ。祝福の笑顔を浮かべながらも、背を向けた瞬間に見せた恨めしい表情が、視聴者の心を掴んだ第6話。
恋占いの結果に落ち込むトキ…松野家の温かい励まし
八重垣神社で沈んだトキの船が示す意味
第6話は、前回の八重垣神社での恋占いの続きから始まります。友人のチヨとせんの船があっという間に沈んだのに対し、トキの船だけがなかなか沈まない…。
「それからウソみたいに長い時が流れ、おときちゃんの船は、向こう岸でようやく沈んでいきました。」
「ということは、お相手が見つかるのは、ずっと先になりそうね」
ナレーションが容赦なく現実を突きつけます。長い時間をかけてようやく沈んだトキの船は、結婚相手が見つかるのが「ずっと先」であることを示唆しています。せんは
「でも、いつまでも沈まない人もいちょるみたいだし」
と慰めますが、貧乏脱出を急ぐトキにとっては悠長なことを言っていられません。
船が沈む様子を無表情で見つめるトキの横顔には、諦めと焦りが入り混じった複雑な感情が滲んでいました。友人たちが慰めに近寄っても、トキは「うらめし〜」という顔。このシーンでの高石あかりさんの表情は、まさに妖怪そのもの。朝ドラのヒロインとは思えない豊かな表情演技に、視聴者は早くも釘付けになります。
家族の「嘘つき」会話に笑いと温もり
松野家に戻ったトキを、家族全員で励まします。夕食の席で、司之介は力強く宣言します。
「わしもじゃ、わしものときのために良き見合い相手を探してきてやるけん。本当に。今までこのわしが嘘をついたことがあるか」
すると、それまで沈んでいたトキとフミが、笑顔から一転、真顔に。そして娘と母が声を揃えて即答します。
「ある」
さらに司之介が
「あるじゃろ、一応」
と自ら認めてしまう展開に、視聴者は朝から爆笑。SNSでは「5回ぐらい見た」という声が続出しました。
このやりとりは単なるコメディシーンではありません。貧困という厳しい状況下でも、家族が笑い合える関係性を丁寧に描いています。司之介の不器用ながらも娘を思う気持ち、それを理解しながらツッコミを入れる母娘の絆。深刻になりすぎない軽やかさが、この朝ドラの魅力です。
フミは続けて
「でもでも大丈夫よ。今、見合い相手を探しての真っ最中だけ。必ず何とかするけん」
と、現実的でありながらも温かい言葉でトキを包み込みます。
借金で苦しい生活を強いられながらも、笑顔を絶やさない松野家。視聴者からは「貧乏なのに悲壮感がない。自分が同じ状況になったら笑って暮らせるだろうか」という声も上がっています。
「士族の小豆洗い」を探せ!ユニーク過ぎる婿探しが始動
キが望む「怪談好きな働き者」の真意
婿探しの相談が本格化すると、司之介がトキに希望を尋ねます。
「のぞみは?」
「よく働いてお金稼いでくれる人だが」
トキの第一条件は極めて現実的。借金返済のためという目的がはっきりしているからこそ、働き者であることが最優先です。しかし、トキは続けてこう言います。
「怪談がお好きな方が」
この独特すぎる希望に、司之介は
「なるほど、つまりカッパみたいな相手ということじゃな」
と珍解釈。トキも
「それでも悪くないけど、カッパとか天狗とか小豆洗いとか」
と妖怪ネタで盛り上がります。
怪談好きという条件は、トキ自身が怪談を愛し、後に怪談作家・小泉八雲の妻となる人生を暗示しています。単なる趣味の話ではなく、自分らしさを大切にしたいというトキの意思表示でもあるのです。
「働き者の小豆洗い」というフミの言葉に、視聴者は「まさにトキ自身のことでは?」と反応。小豆洗いは小豆を洗う音を立てる妖怪ですが、働き者の象徴として描かれています。貧困の中で必死に働くトキの姿と重なり、ユーモラスながらも切ないセリフになっているのです。
勘右衛門の「士族の小豆洗い」提案に爆笑
話し合いは混沌としてきますが、ここで勘右衛門(小日向文世)が満を持して提案します。
「士族の小豆洗いはどうじゃい!」
この絶妙なミックス提案に、家族も視聴者も大爆笑。士族という身分と小豆洗いという妖怪を組み合わせた、なんともシュールな婿像です。しかし、これは単なるギャグではありません。
没落士族である松野家にとって、同じく困窮している士族との縁組は現実的な選択肢でした。身分制度が崩壊した明治時代、士族の多くは貧困に喘いでいました。「士族の小豆洗い」とは、プライドだけは高いが実際には貧しく働き者でなければならない、当時の士族の現実を風刺した言葉なのです。
勘右衛門自身も刀の稽古を続ける元士族。「お侍はもうおらんよ」と子供たちに言われても、気にせず修行を続ける姿は、時代に取り残された士族の姿そのもの。笑いの裏には、時代の変化についていけない人々の切なさが描かれています。
ナレーションは
「よく分からないけど、前向きに、松野家総出の婿探しが始まりました」
と、この混乱した会議を総括。深刻なテーマをユーモアで包み込む、朝ドラ「ばけばけ」らしい演出です。
松野家総出の縁談作戦…それぞれの奮闘と失敗
司之介、県知事宅への無謀な縁談申し込み
翌日、司之介は牛乳配達のついでに、なんと県知事・江藤家へトキの縁談を持ちかけます。
「江藤様には県民の大きな期待がかけられております。ゆえ、辞をつけていただけたらと」
一見、牛乳の取引拡大の話のように見せかけながら、実は娘の縁談を申し込むという大胆不敵な作戦。しかし当然、上司に見つかって大目玉を食らいます。
「配達しながら、お客に娘の縁談を申し込むとは、どげな神経してるんじゃ!」
「ついでに…県知事のお宅にはいかんじゃろう。ことと次第によっちゃ、うちがつぶされても、文句言えんのじゃぞ」」
上司の怒りは当然です。しかし同時に、この叱責からは当時の階級社会の厳しさも見えてきます。
「昔ならいざ知らず、今の貧しい松野家と釣り合う家など、ましてや県知事の息子が長屋に住むわけなかろうか」
この言葉が示すのは、明治時代の新しい身分格差。武士と平民の区別は無くなったものの、貧富の差による新たな階級が生まれていました。牛乳は当時、高級品。司之介の職場の客は「みんな金持ち」であり、貧困に喘ぐ松野家とは住む世界が違うのです。
司之介の無謀な挑戦は失敗に終わりましたが、娘のためなら何でもする父親の姿が、コミカルに、しかし愛おしく描かれています。岡部たかしさんの演技は、ダメ親父でありながら憎めない魅力にあふれ、視聴者からは「クズ親父だけど憎めない」という声も。
フミとタエの微妙な関係性が浮き彫りに
一方、フミは雨清水家のタエ(北川景子)に縁談の相談に向かいます。丁寧に事情を説明するフミでしたが、タエから返ってきた言葉は予想外のものでした。
「それなら、そのことで、おトキが気落ちしていると傳から聞きました。ですので、すでに私のほうでよきお相手を探し始めております」
「すでに」という言葉に、フミの表情が曇ります。
「すでに。いえ。それならそうと、あの子の母親としましては…」
フミの言葉は途切れ、複雑な感情が表情に現れます。タエの好意は疑いようがないのですが、松野家に相談なく先走ってしまったことに、フミは戸惑いを隠せません。
このシーンは、二人の関係性に微妙な亀裂があることを示唆しています。10年前から変わらない関係だとナレーションにありましたが、その「変わらなさ」が必ずしも良い意味だけではないことが伺えます。
SNSでは「フミのあの発言は、タエとの関係性を考えるとらしからぬもの」「トキはフミの実の娘ではないのでは?雨清水家の子を預かっている?」という考察も飛び交っています。タエが先走って動く理由、フミの微妙な反応。この二人の間には、何か語られていない過去がありそうです。
せんの電撃結婚とトキの”怖い笑顔”が話題沸騰
占い通りの展開に焦りを隠せないトキ
工場でのシーン。トキが仕事の準備をしていると、同僚たちが盛り上がっています。
「うちの2軒隣に住んでる人で、今金持ちじゃないけど、よう働く3男坊で」
「おめでとう!」
せんの婿取りが決まったというのです。それも八重垣神社の占い通りの展開。チヨも喜びを隠せません。
「おせんちゃん祝言決まったんだって」
「えらい、占い通りだが。おめでとう。これで暮らすのも楽になるねん」
トキは必死に笑顔を作り、明るい声で言います。
「おめでとう」
しかし、その笑顔は不自然なまでに引きつっています。一緒に占いをした友人の結婚が決まる中、自分だけが取り残される焦り。「ずっと先」と言われた自分の運命。借金に苦しむ家族を救いたいという思い。様々な感情が複雑に絡み合った表情です。
友人たちが去った後、トキは振り返ります。その瞬間の表情変化が、この回最大の見どころ。作り笑いから一転、恨めしい視線、鬼のような険しい表情へ。まるで本物の妖怪のような形相です。
高石あかりの表情演技「顔力」が凄すぎる
このトキの表情変化は、SNSで大反響を呼びました。
「高石あかりの顔力炸裂!ダンビラムーチョの蛾の顔みたいな表情筋の使い方してる」
視聴者が注目したのは、高石あかりさんの「顔力」。一瞬で表情を変え、内面の複雑な感情を表現する演技力です。朝ドラのヒロインとしては異例とも言える、コミカルで大胆な表情演技。
しかし、この表情は単なる笑いのためだけではありません。友人の幸せを心から喜べない自分への嫌悪、占いを信じてしまう自分への苛立ち、家族を救えない焦燥感。複雑な感情を、一つの表情で表現しているのです。
この評価が示すように、高石あかりさんの演技は、重いテーマを扱う朝ドラに明るさをもたらしています。笑えるけれど切ない、その絶妙なバランスを、彼女の表情演技が支えているのです。
同僚から「笑顔が怖い!」と言われてしまうトキ。この一言が、視聴者の気持ちを代弁しています。笑っているのに怖い、でもどこか愛おしい。そんな不思議な魅力を持つヒロイン像が、ここに確立されました。
三之丞の切ない視線と雨清水家の謎
商売に関われない三男坊の立場
工場でのシーンでは、もう一人、印象的な人物が登場します。雨清水家の三男・三之丞(板垣李光人)です。せんの結婚を祝福する場面で、三之丞は優しく微笑んでいます。
「三之丞様もおやりになったことあるから」
「怖くてできなくて」
恋占いの話題になると、三之丞は照れたように笑います。気品がありながらも親しみやすい、良家の息子らしい雰囲気。短いシーンながら、視聴者の心を掴みました。
しかし、場面が変わると三之丞の表情は一変します。
「ここはお前が来る場所じゃないと言ってるだろう」
「父上に見つかる前に早く行け!」
兄上に叱責される三之丞。雨清水家の跡取りではない三男坊として、商売に関わることを許されていない立場が垣間見えます。
「三之丞が商売には関われないの不憫」
「三之丞と父親との関係性にしても何かあると仄かに感じさせて、しっかり続きが気になる作りになっていて見事」
この短いシーンから、雨清水家の複雑な家庭事情が見えてきます。裕福で立派な家でありながら、三男坊としての疎外感、商売に関われない苦しさ。父親との関係性も、決して良好とは言えない様子です。
フミとタエの因縁は何を示す?
雨清水家とのやりとりでは、もう一つ気になるポイントがあります。傳から話を聞いてトキの縁談相手を探し始めていたタエですが、このことについてフミは複雑な表情を見せました。
「それならそうと、あの子の母親としましては…」
この言葉の裏には、何か言いたいことがあるように感じられます。10年前から変わらない関係だというフミとタエ。しかし、今回のやりとりでは、二人の間に微妙な距離感があることが明らかになりました。
SNSでは「トキはフミの実の娘ではないのでは?」という考察が飛び交っています。
「雨清水邸で、タエにフミが苦言をするシーン。これを見て、主人公トキはフミの実の娘ではないのではないか?と思った。トキの年齢に対してフミさんがちょっと老けて見えるような気がするのも関係あるかも」
「松野家に断りなくトキの縁談相手を探し始める雨清水夫妻、いくら何でも酷い、と批判されてるけれどそれ完全に史実ルート(トキは雨清水の子でした)のフラグなんじゃ」
史実では、小泉八雲の妻・小泉セツ(トキのモデル)の出自には諸説あります。もしトキが雨清水家と何らかの血縁関係にあるとしたら、タエが先走って動いた理由も説明がつきます。
また、勘右衛門が引用した「八雲立つ」の和歌も気になります。
「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」
これは古事記に載る日本最古の和歌ですが、「八雲」という言葉は、後に小泉八雲のペンネーム「ラフカディオ・ハーン」の日本名となります。このタイミングでこの和歌を出すということは、物語の重要な伏線である可能性が高いのです。
まとめ|第6話の見どころと次回への伏線
「ばけばけ」第2週第6話は、笑いとユーモアに満ちながらも、深い人間ドラマが描かれた回でした。
今回の見どころと伏線
- 高石あかりの表情演技「顔力」: 作り笑いから恨めしい表情への一瞬の変化。喜劇と悲劇を同時に表現する、朝ドラヒロインとしては異例の演技力が光った
- 「士族の小豆洗い」が象徴する時代の変化: ユーモラスな婿探しの裏に、没落士族の悲哀と明治時代の階級社会の現実が隠されている。笑いの中に社会風刺を織り込む脚本の妙
- 松野家の「嘘つき」会話に見る家族愛: 貧困という厳しい状況でも笑い合える家族の絆。司之介の不器用な愛情と、それを理解する母娘の関係性が温かい
- フミとタエの微妙な距離感: 10年前から変わらない関係の裏に隠された何か。トキの出自に関する重要な伏線の可能性。雨清水家が先走って縁談相手を探す理由とは?
- 三之丞の切ない立場: 商売に関われない三男坊としての疎外感。父親との関係性に何か問題がありそうで、今後トキとの関わりが気になる展開
- 「八雲立つ」の和歌が示す未来: 勘右衛門が引用した古事記の和歌。「八雲」という言葉は、小泉八雲のペンネームに直結する重要なキーワード
次回以降、トキの縁談はどう展開するのか。雨清水家との関係性は明らかになるのか。笑いの裏に潜む切なさと、丁寧に張られた伏線に注目しながら、「ばけばけ」の物語を追いかけていきたいですね。