松江に戻ってきた——その一言だけで、なんだかじんわりと胸が温かくなりました。
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第23週・第112話(2026年3月10日放送)は、熊本での暮らしを経てひと回り大きくなったトキとヘブンが久しぶりに松江を訪れる回。花田旅館の懐かしい顔ぶれ、思いがけない場所での再会、そして手続きの壁として浮かびあがった「銀二郎の戸籍」問題——。
感動と驚きと、ほんの少しの切なさが混在した火曜日。なかでも、円井わん演じるサワと濱正悟演じる庄田多吉の再登場シーンは、SNSで大きな反響を呼びました。そして、吉沢亮演じる錦織友一の姿が示す影……。これは次回も目が離せません。
「ばけばけ」第22週第112話 あらすじ
勘太の誕生を機に、家族として正式に籍を入れるため日本人になることを決めたヘブン。トキとともに司之介・フミを連れ、久しぶりに松江を訪れた一行は、まず懐かしの花田旅館に向かいます。市役所での手続きでは二つの問題が発覚。一つはトキの戸籍にいまだ残る銀二郎の名前、もう一つは前例のない異人の帰化に必要な江藤知事のお墨付き。知事はすでに猛反発しており、トキとヘブンは旧知の人々を頼りに松江中を奔走。その道中、思いがけない場所でサワと庄田が夫婦になっていたことを知り、さらにその日の夜、ヘブンが久々に訪ねた錦織友一のやつれた姿が、視聴者に深い衝撃を与えました。
ばけばけ112話|サワ&庄田、まさかの夫婦姿に視聴者騒然!「半分弱」な二人がついに結ばれた
今話で私が一番「えっ!」と声を出してしまったのが、このシーンです。
江藤知事の説得を求めて庄田多吉を訪ねたトキ。ところが玄関から顔を出したのは——サワでした。
「ご無沙汰しております」
思わずトキも言葉を失う表情で見つめる中、サワとの再会が思いがけない形で実現します。しかも、サワはすでに教員免許を取得し、庄田と正式に夫婦になっていたという、二重のサプライズ。
庄田家に現れたサワ——トキも知らなかった幸せ
トキは産んだ子のことも、自分たちが夫婦になることも、サワに手紙で伝えていなかった。サワもまた、結婚も教員免許取得も知らせていなかった。この「お互いに知らなかった」という構図が、二人の間にある種の距離感と照れ笑いを生み出していて、再会シーンに絶妙な空気感を醸し出していました。
「まさか」 「ねー」
この短いやり取りだけで、長い時間の空白と、それでも変わらない親友同士の温度が伝わってくる。円井わんさんの自然な表情と、サワらしい真っ直ぐな佇まいが光るシーンでした。
「半分弱」を認め合う二人の会話が沁みる
かつて庄田多吉は自分のことを「半分弱」と言っていました。それは弱さの告白であり、サワへの正直な自己紹介でもあった。今回、その言葉がまた登場します。
「あんたってほんと半分じゃってね」
「自分で言うのはいいけど、人には言われたくないの知ってるだろ」
「ええけええけ、無理ちゅうのはこっちだけん」
「半分弱」を言われて少し膨れる庄田、ケロッとしたサワのツッコミ——短いシーンの中に二人の日常が見えてきて、「あ、この二人は今幸せなんだ」と素直に思えました。
濱正悟さんと円井わんさんのテンポ感が絶妙で、SNSでもスピンオフを求める声が相次ぎました。それほどまでに、二人の夫婦像が視聴者の心をつかんだということでしょう。一方で「あれだけ仲が良かったなら結婚くらい手紙で知らせるのでは」という視聴者の声も。ドラマとしてのサプライズ演出と、登場人物たちのリアリティのバランスが議論を呼んでいます。
ばけばけ112話|吉沢亮演じる錦織友一の激ヤセ姿——迫り来る別れの予感に視聴者が息をのむ
今話で最も「切ない」と言わせたのが、ヘブンが久々に訪れた錦織友一の姿でした。
丈の手紙と、立てかけられたまま開かれなかった本
冒頭、友一宛に届いた丈からの手紙。そこにはヘブンとトキの間に子どもが生まれたこと、籍入れの手続きに力を貸してほしいという願いが書かれていました。そして荷物の中にはヘブンの最新著作も。
しかし友一は、その本の表紙をちらりと見るだけで、立てかけるだけで——開かなかった。
吉沢亮さんの表情はカメラに映っていなかったと伝わっていますが、その「開かない」という動作だけで、友一が今いる状況の重さが痛いほど伝わってきます。本を読む体力さえない。それほど友一は追い詰められているのかもしれない、と。
「大盤石」が今、静かに揺れている
ヘブンが久々に訪ねた友一は、病でやせ細った姿で部屋に通します。ヘブンも頼み事を切り出せるか戸惑うほどの変貌ぶり——と、その表情が雄弁に語っていました。
「大盤石」と称された松江随一の秀才英語教師が、今は静かにそこにいる。その落差が視聴者に強い衝撃を与えました。
「錦織さん痩せすぎで泣きそうになったわ」
SNSにはこうした声が多数寄せられました。
史実モデルである人物が明治30年に結核で亡くなっているという情報も流れており、「次週は10年後の明治39年頃」という観測とあわせ、「今週が最後になるのでは」という不安と、「この朝ドラなら希望的な結末を信じたい」という願いが入り交じっています。吉沢亮さんが演じる錦織友一の物語が、どんな形で幕を下ろすのか——次回の放送が、今から心配でなりません。
ばけばけ112話|梶谷のメモを破るシーン——物語が積み重ねてきた”贖罪”の一瞬
知事説得のために旧知の人々をあたるトキ。その道中、梶谷吾郎と出会い、ヘブンに関する情報を取材しようとしていた梶谷がメモを取り始めます。しかし、「子どものことは書かないでほしい」というトキの願いを聞いて——
「今日わし休みだけ。ああ、つい癖で」
そう言ってメモをさらりと破り捨てる梶谷。その時の「詫びるような微笑み」が、視聴者の心に刺さりました。
かつて梶谷は食い逃げ事件をすっぱ抜いたことで県庁出入り禁止になっています。今回、そのエピソードが「だから知事に頼めない」という形で自然に出てきて、物語の積み重ねを実感させます。
「覚えてるかわかりませんが、食い逃げ事件いうのがあって。あれすっぱ抜いて以来、県庁出入り禁止だがね」
軽い口調ながら、確かに後悔が滲む。人情派の記者が、少しだけ”普通の人”に戻る瞬間。物語終盤ならではの、静かに心に刺さるやり取りでした。
ばけばけ112話|銀二郎の戸籍が壁に!帰化手続きをめぐる2つの難関
松江市役所での手続きが始まると、すぐに問題が浮上します。職員から告げられた内容はこうでした。
「まず、松野さんの戸籍を見てごしなさい」
松野トキの戸籍に残っていた名前
トキが松野家に養女として入り、銀二郎と結婚していることは視聴者も知っています。しかし銀二郎が出奔したまま、籍の手続きが放置されていた——。
「銀次郎さんという方がおり、この方がおる限りヘブン先生が松野家に入ることはできません」
トキの反応が胸に刺さります。
「銀二郎さん、籍外れちょると思っちょりましたが、そっか。出奔してそのままだったけん手続きしちょらんかった。いや、もちろん今は何の関わりもないですけん。だけん、だけん。すいません」
複雑な心情が言葉の断片に詰まっていて、髙石あかりさんの繊細な演技が光ります。
解決策として職員が提示したのは2つ。
- 銀二郎に籍を抜いてもらう
- トキが雨清水家の戸籍に戻り、そこにヘブンが入籍する
どちらも一筋縄ではいかない選択肢です。
「まだ一つ目」
というトキの呟きが苦笑を誘いつつも、現実の厳しさを象徴していました。
江藤知事の壁と、助けを求めて走るトキ
2つ目の問題は「前例がない」こと。外国人が日本の戸籍に入るのは島根では初。そのためには江藤知事のお墨付きが必要で、あらかじめ問い合わせた職員への返答は——
「いけん。なして島根を捨てたもんにお墨付きを与えないけんかいね」
知事は猛反発。「松江を捨てた者」という言い方が、ヘブンへの感情的な不満をまざまざと見せています。「大人げない」という声がSNSに溢れたのも無理はありません。しかしこれまでの描かれ方から見れば、江藤知事というキャラクターとして一貫している。物語の積み重ねを感じさせる台詞でした。
梶谷は県庁出入り禁止、庄田は校長との立場差から断らざるを得ない。
「下手に刃向かったら校長の職を失いかねないよ」
そして錦織友一のもとへ——そこで目にした姿が冒頭で触れた”激ヤセ”の錦織でした。窮地の中で頼れる人が一人一人消えていく、終盤の苦しさが凝縮された回でもあります。
ばけばけ112話|久しぶりの松江、花田旅館での再会——ゴロゴロできなくなった最高の理由
帰化手続きのため松江に戻ったトキとヘブン一行が最初に向かったのは、懐かしの花田旅館。ちょうどその日はお泊まり客がゼロで、ツルが足をなげだしてゴロゴロしようとしていた矢先のことです。
「ゴロゴロはできんけど、嬉しいがな」
このツルの一言が、今回の再会シーン全体の空気を表していると思いました。「来てほしくなかった」のではなく、「来てくれた嬉しさが勝る」。旅館の人々の人情が、この一文に凝縮されています。
ヘブンが勘太を紹介し、平太が「わしの平太から取ったか」と喜ぶと——
「それだけは、違う。」
「わかっちょるわい」
このやり取りも笑えて温かい。熊本でのヘブンの成長が、こうしたユーモアの余裕にも滲み出ていて、松江との再接続がスムーズに感じられる演出でした。
まとめ:ばけばけ112話の見どころ&伏線整理
- 円井わんと濱正悟のサプライズ婚:サワと庄田が夫婦になっていた衝撃。教員免許取得という「自力で這い上がった」サワの成長も描かれ、感動と驚きが入り交じるシーンに
- 銀二郎の戸籍問題が浮上:トキの松野家の籍にいまだ残る「銀二郎」の名前。出奔から手続きが放置されていた現実が、ヘブンとの正式な家族化を阻む
- 江藤知事の猛反発:「島根を捨てた者にお墨付きはやれない」という感情的な拒否。知事説得が最大の難関として立ちはだかる
- 梶谷のメモを破るシーン:記者としての本能より、後悔と誠意を選んだ瞬間。物語の積み重ねが効いた、終盤ならではの切ない名シーン
- 吉沢亮・錦織友一の激ヤセ姿:丈から届いた手紙と著書を前に、立てかけるだけで開けなかった錦織。史実モデルの存在と重なり、視聴者に深刻な不安を残す
- 錦織への協力依頼は叶うか:第113話はヘブンと錦織の直接対面へ。断られる理由、タエとの再会、そして帰化問題の行方——次回はさらに感情を揺さぶる展開が待っています
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