【朝ドラ『あんぱん』第8週第38話 感想・考察・ネタバレ】豪の戦死に蘭子が叫ぶ「うそっぱちや!」──名誉と本音がぶつかる涙の15分


朝ドラ『あんぱん』第8週第38話 感想・考察・ネタバレ

朝ドラあんぱん相関図
引用元:NHK

『あんぱん』第38話は、戦争が登場人物たちの心を深く揺さぶる回となりました。
豪の戦死を受けて静かに泣き崩れる浅田家──中でも蘭子の苦悩は、視聴者に強く響きました。

冒頭でのぶが子どもたちに敬礼されながら歩くシーンは、“愛国の先生”としての評価の裏にある矛盾や葛藤を象徴しています。
豪を失った現実が、彼女たちの信じていた価値観にどう影響を与えていくのか──。
第38話は、戦時下の“誇り”と“喪失”を丁寧に描いた重厚な回でした。

目次

1. 第38話のあらすじ詳細

1-1. のぶの帰宅と、戦死の知らせ

物語はのぶが道を歩き、子どもたちから「敬礼!」と声をかけられるシーンから始まります。
「愛国の先生」として尊敬されるのぶの姿と、背後に広がる戦時体制が象徴されます。

帰宅すると、蘭子は言葉もなく座り込んでおり、空気は重苦しい。
羽田子が静かに語りかけます。

「豪ちゃんが戦死したがよ」

団子屋も続けます。

「豪はお国のために命を惜しまず戦った」

のぶは涙を浮かべながら語ります。

「豪ちゃんは、、、立派にご奉公したがです」

この一言に、のぶが“立派な死”を信じるよう自分を納得させようとしている気配が滲みます。


1-2. 蘭子の沈黙とヤムおじさんの本音

夜、のぶとメイコは同じ布団にいるが、蘭子の姿はない。
蘭子は豪の服に向かって手を合わせ、こう語ります。

「豪ちゃん、お腹空いたね」

その言葉を聞くヤムおじさん。
そこへのぶが現れヤムおじさんが静かに語ります。

「一度だけ、豪と釣りにいった。出征する前に合っておきたい人はいないのか?・・・毎日会ってますって豪は言った。お国のために死ねて喜んでいるのか?立派だったって言わないといけないのか?“愛国の先生”」

この台詞は、国が押しつける「名誉」と、残された者の本音とのズレを鋭く突くものでした。


2. 蘭子とのぶの対話と慟哭

2-1. 子どもたちの無垢な言葉

葬儀に訪れた子どもたちは無邪気に語ります。

「兵隊さんになって、ご奉公したいです」

その言葉に蘭子は席を外し、のぶは複雑な顔でその背を見送ります。


2-2. 過去の回想──豪とのひと夏の記憶

虫の声が響く中、蘭子の回想が挿入されます。
下駄の鼻緒が外れたとき、黙って直してくれた豪の姿──
それは平和で穏やかな、二人にとってのかけがえのない記憶です。


2-3. 激突するふたりの本音

現実に戻り、のぶは「豪ちゃんは立派だった」と語りますが、蘭子は叫びます。

「どこが、立派ながね!なんべんも聞くたびに、悔しくてたまらん!」

「うちは、、、豪ちゃんのお嫁さんになるがやき、絶対に戻ってきてって言うたがよ!」

「どこが立派がかね!うそっぱちや!皆、うそっぱちや!」

彼女の叫びは、戦時の公式見解に対する個人の怒りであり、愛する者を失った現実に対する拒絶でした。


2-4. 羽田子の抱擁と「泣きなさい」

すべてを吐き出した蘭子に対し、羽田子はただ抱きしめて言います。

「泣きなさい、思いっきり泣いたらいい」

のぶもまた、抑えていた涙を流します。


3. 見どころと演出

3-1. 「愛国の鏡」としてのぶの立場

のぶは学校で「愛国の鏡」と賞賛される存在。
その立場が、蘭子との間に感情の溝を生み、のぶ自身も苦しんでいる様子が描かれました。


3-2. 回想演出の美しさ

虫の鳴く音、静かな夏の夕暮れ。
それは戦前の平穏な日々を象徴しており、現実の冷たさをより際立たせる効果を担っています。


4. SNSの反応と演技評価

  • 「“うそっぱちや!”に涙が止まらなかった」
  • 「蘭子の怒りと悲しみ、演技がリアルすぎる」
  • 「あの一言で“名誉の死”という言葉が嫌いになった」

蘭子役の河合優美さんの熱演、のぶの抑えた感情表現、羽田子の包容力──
それぞれの演技が視聴者の感情に深く刺さりました。


5. 次回への展開予想

  • 蘭子とのぶはこのまま対立したままか?
  • 戦時下での教育者としてののぶの葛藤はどう描かれるのか?
  • ヤムおじさんの過去が語られる日は近い?

まとめ

『あんぱん』第38話は、「お国のために死ぬことは本当に“立派”なのか?」という根源的な問いを視聴者に突きつける回でした。
戦争がすべてを奪っていく中で、何を信じ、どう生きるべきか。
その問いの前に立たされた登場人物たちの姿は、朝ドラ史に残る名シーンと言えるでしょう。

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