NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第1週第3話「ブシムスメ、ウラメシ。」が放送され、SNSでは「不穏すぎる」「第3話なのにもう胃が痛い」との声が殺到しています。武士のプライドから働かなかった父・司之介(岡部たかし)がついに商売を始めますが、その内容は「一羽5円のうさぎが600円になる」という、あまりにも怪しげなもの。束の間の豪華な食卓と家族の笑顔の後、司之介は夜の街へ消え、そのまま帰らぬ人に…。明治の貧困と文明開化の光と影を描く本作、早くも視聴者の心を掴んで離しません。
ばけばけ第1週第3話 あらすじ
武士のプライドから働かずにいた司之介が、かつての部下・金成初右衛門と「うさぎの商売」を始めることに。一羽5円のうさぎが最高600円で売れるという夢のような話に、家族は半信半疑ながらも期待を寄せます。祖父の勘右衛門は刀を振りかざして怒りますが、トキとフミの懸命な説得で渋々了承。司之介の商売は順調に滑り出し、わずか1ヶ月で200円を稼ぎ、松野家の食卓には久しぶりの豪華な料理が並びます。トキのために一気に商売を広げようと意気込む司之介でしたが、その夜、ふらりと家を出たまま帰らず…。家族の不安が募る中、海辺でもたれかかる司之介らしき人物の姿が映し出され、物語は不穏な空気に包まれます。
司之介、ついに動き出す!うさぎ商売という「夢」の始まり
障子の向こうから現れたうさぎの群れ
第3話は、前日から引き続き司之介がうさぎを紹介するシーンから始まります。
「見せたいものがある」
と家族を集めた司之介。フミ(池脇千鶴)は
「うさぎを飼うゆとりなど…」
と心配そうに言いますが、司之介は笑顔で答えます。
「飼おうというわけではないのじゃ」
そして障子が開くと、そこには予想外のうさぎの群れが。この演出は視聴者に「え、何匹いるの!?」という驚きを与えました。コミカルな音楽とともに次々と現れるうさぎたちに、トキ(福地美晴)の目がキラキラと輝きます。
しかし、フミの表情は複雑です。「話がさっぱり」と困惑する彼女の台詞には、「また夫が何か無茶なことを…」という不安が滲んでいます。この時点で視聴者の多くも「これは大丈夫なのか?」と感じ始めるのです。
金成初右衛門が語る「一羽5円が600円」の衝撃
ここで登場するのが、金成初右衛門(田中穂先)です。豪華な馬に乗って現れた彼は、自己紹介から派手です。
「金で成り上がった初めての右衛門と書きまして、金成初右衛門と申します」
この名前の説明自体が、彼のキャラクターを端的に表しています。「金で成り上がった」という直球な表現に、視聴者からは「怪しすぎる」「名前からしてフラグ」との声が。
金成が語るうさぎ商売の概要は、文明開化の波に乗った新しいビジネスです。珍しい毛並みや色のうさぎを増やして高値で売るという商売が大流行しており、その利益は驚異的だと言います。
「例えば、1匹5円じゃったウサギが最高でいくらになったと思うの?600円」
この台詞に、フミが必死に計算を始めます。
「小学校は2カ月で1円だけ、1年で6円、それが600円…百年。ウサギ1羽で小学校百年も通えますよ」
トキも「すごい」と目を丸くしますが、フミの顔は引きつっています。演出上、ここでフミが「少し遠い目をする」描写が挿入されており、彼女の内心の不安が伝わってきます。視聴者の多くもフミと同じ気持ちだったでしょう。「うますぎる話には裏がある」―これは朝ドラの鉄則です。
金成は自身の成功を証明するかのように、立派な身なりを見せつけます。
「このとおり、金で成り上がっちゃうけ」
という台詞は、まさに成金そのもの。しかし、その自信満々な態度が逆に不安を煽ります。
司之介も興奮気味に言います。
「昔から人を見る目だけは確かで」
―この台詞に対し、SNSでは「それ、フラグでは?」「人を見る目があったら、こんな話に乗らないのでは」とのツッコミが相次ぎました。
勘右衛門の怒りと家族の願い―刀を下ろした祖父の葛藤
「武士をやめるのか」刀を振りかざす勘右衛門
金成が豪華な馬で去った後、司之介は満足そうに見送ります。しかし、背後には祖父の勘右衛門(小日向文世)が立っていました。司之介は「罰が悪そうに」去ろうとしますが、勘右衛門の怒りは収まりません。
勘右衛門は刀を司之介に向け、
「武士をやめるのか」
と詰問します。この場面の緊張感は凄まじく、まさに時代劇そのものです。武士のプライドを何よりも重んじる勘右衛門にとって、商売を始めることは「武士の誇りを捨てる行為」に等しいのです。
司之介は説明しようとしますが、言葉が出てきません。このもどかしさが、岡部たかしの演技によって痛いほど伝わってきます。家族を養わなければならない現実と、武士としての誇りとの間で引き裂かれる司之介の苦悩が、無言の演技に凝縮されています。
勘右衛門がさらに刀を振りかざそうとしたとき、トキが割って入ります。
トキの懸命な説得が生んだ和解
「どうかお願いでございます」
トキが必死に頭を下げお願いします。幼いながらも家族を守ろうとする健気さに溢れています。この場面で視聴者の多くが涙したのではないでしょうか。
勘右衛門は渋々刀を下ろします。
「お嬢に免じてぞ」
孫娘の願いを無碍にはできなかったのでしょう。司之介は「お礼を言う」と、ホッとした表情を見せます。トキと司之介が二人で「安心したと気が抜ける」描写があり、緊張から解放された様子が微笑ましくもあります。
しかし、この和解は本当の意味での理解ではありません。勘右衛門の表情には、まだ複雑な思いが残っています。明治という時代の大きな変化に、武士階級がどう向き合うべきか―この葛藤は、勘右衛門だけでなく、当時の多くの武士たちが抱えていた問題でした。
SNSでは「勘右衛門の気持ちも分かる」「時代に取り残される恐怖が伝わってくる」との共感の声が多く見られました。この場面は単なる家族の言い争いではなく、「明治維新という激動の時代に翻弄される武士階級の象徴」として描かれているのです。
束の間の繁栄―1ヶ月で200円、松野家の食卓に笑顔が戻る
「うさぎ長者になるぞ!」司之介の高揚感
季節は春へと移り変わります。司之介がお客を見送る姿が映し出され、商売が順調であることが分かります。
「またごひいきに!」
明るい声で客を送り出す司之介。そして驚くべき成果が語られます。
「もうかりました。まさにうさぎの上り、1カ月で200円もうけたゲー」
金成も嬉しそうに言います。
「小学校に百年通うのも夢じゃございませんな」
―先ほどフミが計算した通りの大儲けです。
司之介の夢は膨らみます。
「わしは松井一のうさぎ長者になるぞ!」
この台詞には、長年の貧困から解放される喜びと、トキに良い教育を受けさせたいという父親の願いが込められています。
実際、司之介はこう語ります。
「おトキのためにも、先立つものは必要じゃ。相場が良いうちに」
―トキが「先生になりたい」と言っていたことを覚えており、そのためにお金を稼ごうとする父親の姿勢は、非常に愛情深いものです。
勘右衛門とトキがうさぎでままごとのようなことをしている描写も挿入され、家族全体が明るい雰囲気に包まれていることが伝わってきます。
豪勢な食事の中のシジミ―貧困の影が残る演出
そして、松野家の食卓には豪勢な食事が配られます。これまでになかった贅沢な料理の数々に、家族は歓声を上げます。
トキはうさぎに向かって
「ありがとう存じます」
とお礼を言い、ご飯を食べ始めます。この純粋な感謝の気持ちが、視聴者の心を打ちました。
しかし、ここで重要な演出があります。フミが
「こんなにあるのにシジミからですか?」
と言うと、司之介が
「いや、そりゃそうじゃろ」
と返します。そしてカメラがシジミのお椀をクローズアップするのです。
豪華な料理が並んでいても、まずはシジミから食べる―この描写は、松野家がまだ完全に貧困から脱したわけではないことを暗示しています。急な成功に浮かれる司之介とは対照的に、フミの堅実な姿勢が際立ちます。
ナレーションが入ります。
「明治維新とともに武士の家に生まれた。家族みんなが、心から笑っていられる時間を過ごすのは、初めてだったかもしれません」
この言葉は、逆説的に「この幸せは長く続かない」ことを予感させます。視聴者の多くも、この束の間の平和に不安を感じていました。SNSでは「シジミの描写が不穏」「この笑顔が続くはずがない」との声が相次ぎました。
司之介とトキが楽しそうに街を歩く場面も挿入されます。父娘の幸せそうな姿に、視聴者は「今のうちに幸せでいてほしい」と願わずにはいられません。
不穏な夜―司之介が帰らない、金成さん連行の意味
街で目撃した女性の連行シーン
司之介とトキが街を歩いていると、突然女性が逃げるように走ってきます。男性たちに追われ、そのまま連れて行かれる女性。この場面の描写は非常にリアルで、明治時代の暗部を容赦なく映し出しています。
公式あらすじには明記されていませんが、情景描写から、この女性が「遊郭」に関連していることが強く示唆されています。「金成さんが簀巻きにされて遊郭へ連行される」との分析があり、視聴者の多くもこの場面と金成の失踪を結び付けて考察しています。
SNSでは「朝ドラで人身売買を描く覚悟がすごい」「大河ドラマでもここまでは…」との驚きの声が上がりました。実際、投稿の一つには
との感想があります。
この場面を目撃した司之介がどう感じたのか、台詞では明確に語られません。しかし、その後の展開を考えると、彼の中で何かが動いたことは間違いないでしょう。
海辺でもたれかかる司之介の背中が意味するもの
夜、トキは勉強をしています。
「勉強するときは、だって楽しいけ」
と無邪気に言うトキ。しかしフミは心配そうです。
「ちょっと出るってどこ行ったん?酔っ払っていらしたけん?お堀に落ちてないといいけど」
フミとトキは司之介が帰ってこないことを心配します。
「父上すぐお堀に落ちるん?」
とトキが聞くと、フミは
「きっと前世はカエルだったんでしょう」
とユーモアで返しますが、その表情は硬いままです。
そして最後の場面―海辺に、疲れたようにもたれかかる司之介に似た人物が映し出されます。顔ははっきりと映りませんが、その背中には深い疲労と絶望が滲んでいます。
ナレーションが告げます。
「ですが、その日、司之介は帰ってきませんでした」
この締めくくりに、視聴者は一斉に不安を募らせました。SNSでは「え、どういうこと!?」「まさか騙された?」「金成さんも連れて行かれたし、司之介も…」との推測が飛び交いました。
海辺の場面は、司之介が「立ち尽くす」人であることを再び思い出させます。第1話から繰り返し描かれる「立ち尽くす」描写は、時代の変化に順応できず、行き場を失った武士階級の象徴です。商売に挑戦したものの、結局は何か大きな問題に直面し、再び立ち尽くすしかない―そんな司之介の苦悩が、この背中に凝縮されているのです。
視聴者が注目した伏線と考察ポイント
史実の「うさぎバブル」と朝ドラの描き方
視聴者の多くが指摘しているのが、史実に存在した「うさぎバブル」です。明治時代、実際に珍しいうさぎの売買が大流行し、異常な高値で取引されたことがありました。しかし、このブームは長く続かず、やがてバブルは崩壊。多くの人々が損失を被ったと言われています。
SNSでは「史実のうさぎバブルを朝ドラで描くなんて」「これは確実に崩壊する展開」との考察が相次ぎました。「史実のうさぎバブルを基にしたリアリティ」が話題性の理由として挙げられています。
金成が語った「一羽5円が600円」という数字も、決して誇張ではなく、実際の記録に近いものです。それゆえに、視聴者は「これは確実に詐欺か、バブル崩壊のどちらかだ」と確信しているのです。
また、金成の「金で成り上がった」という設定自体が、成金の脆さを示唆しています。急速に財を成した者は、急速に転落する―これは古今東西、変わらぬ教訓です。
金成初右衛門の運命と遊郭描写の覚悟
金成が簀巻きにされて連れて行かれ、街で目撃した女性の連行シーンは、明らかに関連しています。つまり、金成も何らかの理由で借金を負い、遊郭関係者に捕まった可能性が高いのです。
視聴者からは「金成さんも被害者だったのでは?」「それとも最初から詐欺師だった?」との議論が巻き起こっています。いずれにせよ、うさぎ商売が何らかの形で破綻し、関係者が次々と巻き込まれていく展開は避けられないでしょう。
そして、朝ドラでここまで露骨に「遊郭」や「人身売買」を描くことへの驚きの声も多くあります。通常、朝の時間帯に放送されるドラマでは、こうした暗部は避けられるか、間接的に示唆される程度です。しかし『ばけばけ』は、明治時代の貧困と格差を正面から描く覚悟を見せています。
SNSの投稿「制作陣の覚悟がキマりすぎだろ。大河か?」という言葉が、視聴者の驚きを端的に表しています。この作品は、単なる朝ドラの枠を超えて、社会派ドラマとしての側面を持っているのです。
岡部たかしの「安定のダメ父」演技に称賛の声
過去作との比較で見える深み
岡部たかしは、朝ドラやNHKドラマで「ダメな父親」役を演じることが多い俳優です。視聴者の間では「安定の岡部たかし」との愛称で親しまれており、今回の司之介役も期待通りの名演でした。
SNSには「安定の岡部たかし的展開。凄い役者さんやなぁ」「司之介が不憫すぎる…」との感想が溢れています。特に注目されているのが、過去作『虎と翼』との比較です。『虎と翼』でもダメな父親を演じた岡部ですが、今回の司之介には「武士のプライド」という新たな要素が加わっています。
単に怠け者なのではなく、時代の変化に適応できない武士階級の苦悩を背負っている―この設定が、司之介というキャラクターに深みを与えています。働きたくても働けない、プライドが邪魔をする、でも家族のためには何とかしなければ―そんな葛藤が、岡部の演技を通じて痛いほど伝わってきます。
情けなさの中に光る家族愛
司之介の魅力は、ダメな部分だけでなく、家族への深い愛情にあります。トキのために「先生になれるように」とお金を稼ごうとする姿勢、フミを気遣おうと肩に腕を掛けようとする場面(照れられてしまいますが)など、随所に優しさが見えます。
「おトキのためにも、先立つものは必要じゃ」
という台詞には、父親としての真摯な思いが込められています。商売に失敗する可能性が高いとしても、その動機自体は純粋なのです。
視聴者からは「かわいいのに不憫」「笑えるけど応援したくなる」との声が相次ぎました。これこそが岡部たかしの演技の真骨頂でしょう。情けない姿で笑いを誘いながらも、どこか憎めない、応援したくなる―そんな父親像を見事に体現しています。
家族思いの優しさと弱さが明治の武士のジレンマを体現し、視聴者の共感を呼ぶのではないでしょうか。また「子役との掛け合いが可愛らしく、シリアスな時代劇要素とのギャップで『かわいいのに不憫』との感想が多かった」との指摘も的確です。
福地美晴演じるトキとの掛け合いも絶妙です。
「武士でいてごしなさい(ペコリ)」
と言うトキの可愛らしさと、それに応えようとする司之介の姿が、視聴者の心を温めます。この父娘の関係性が、今後の物語の核になっていくことは間違いありません。
まとめ
『ばけばけ』第1週第2話「ブシムスメ、ウラメシ。」の見どころと伏線をまとめます。
- うさぎ商売の詐欺フラグ:「一羽5円が600円」という史実のうさぎバブルをベースにした儲け話が、早くも崩壊の予兆を見せています。金成初右衛門の連行と司之介の失踪は、次回以降の大きな波乱を予感させます。
- 明治時代の貧困と格差の描写:遊郭への女性の連行シーンなど、朝ドラとは思えないほどの社会派描写が話題に。制作陣の「攻めた姿勢」が視聴者の心を掴んでいます。
- 勘右衛門の葛藤:武士のプライドと現実の狭間で苦しむ祖父の姿は、時代に取り残される人々の象徴です。刀を下ろした後の複雑な表情が、今後の展開への伏線となっています。
- 束の間の幸せの脆さ:豪勢な食卓の中のシジミ、家族の笑顔、楽しい街歩き―これらすべてが「長く続かない幸せ」であることを暗示しています。視聴者の不安は的中するのでしょうか。
- 司之介の「立ち尽くす」姿:海辺でもたれかかる背中は、第1話から繰り返される「立ち尽くす武士」のモチーフです。時代の変化に適応できない苦悩が、今後どう描かれるかが注目されます。
- 岡部たかしの名演技:「安定のダメ父」でありながら、家族への愛情が滲む演技が視聴者の共感を呼んでいます。情けなくても憎めない父親像が、物語に温かさを与えています。
次回以降、司之介の身に何が起こるのか、松野家の運命はどうなるのか―『ばけばけ』から目が離せません!