朝のトーストを焼くための道具、たった一枚の焼き網——。それがなくなっただけで、あんなにも仲良しだった松野家がギスギスし始めるなんて、思いもしませんでした。第99話を観ながら、思わず笑いつつも、どこかヒヤリとしてしまいます。日高由起刀さん演じる正木清一が突如「名探偵」に変身し、家族一人ひとりの動機を推察する場面は、朝ドラとは思えないミステリー演出で本当に引きつけられました。そして何より衝撃だったのが、クマ(夏目透羽)が女中を辞めたいと打ち明けたラストの展開。笑いと温かさの陰に潜む、松野家の「本当の声」が浮き彫りになった一話でした。
「ばけばけ」第20週第99話 あらすじ
熊本に移り住んだ松野家で、朝食のトーストを焼く焼き網が突然姿を消す。これを受け、書生の正木清一(日高由起刀)が独自の推理を展開。司之介・フミ・トキ・ヘブン・丈・クマ、さらには自分自身にまで動機を見出していく推理劇に、家族一同は苦笑いしながら聞き入る。冗談交じりに始まったはずの「犯人探し」はやがて本物の疑心暗鬼を生み、松野家を本格的なお家騒動へと発展させてしまう。帰宅したヘブン(トミー・バストウ)がハグで仲直りを促すも、クマは買い物の帰り道に喧嘩を目撃しており、心が揺れていた。その夜、丈からトキとヘブンへ告げられた知らせは「クマが女中を辞めたいと言っている」という衝撃の一言だった。
正木探偵、爆誕。「焼き網を盗んだ人が…この中に…いる」
第99話を語るうえで外せないのが、日高由起刀さん演じる正木清一の「推理劇」です。朝のトーストを焼く焼き網が消えたことを受け、正木が家族全員を一人ひとり、動機と状況から推察していく——まさかの横溝ミステリー展開に、思わず笑いが止まりませんでした。
正木推理の始まり
「焼き網を盗んだ人が…この中に…いる。」(正木清一)
この一言が、すべての始まりでした。最初は「探偵小説の読みすぎではないか」と周囲に笑われた正木ですが、
「読んでません。探偵小説など読んだこと一度も。」(正木清一)
この切り返しがまた絶妙で。笑えるのに、妙に説得力がある。そしてフミさんが「でも続けて」と促す流れが、視聴者も「え、続きは?」と引き込まれる絶妙な間でした。
司之介への推理——タンスの金と白いご飯
まず矛先が向かったのは父・司之介(岡部たかし)でした。
「おじさまは、朝にトーストを召し上がりたくない。今朝はトーストが食べられないと聞いて、「よし、白い米が食える!」と、誰よりも喜んでおられた。」(正木清一)
さらに「タンスから金を拝借した」という事実を持ち出し、「ご自身の行いを正当化するため、そしてトーストを避け、白い米を食べるために焼き網を盗んだ」という流れは、論理的に見えてどこかズレているのが笑いを生んでいました。司之介が「いいよ、見ちゃるな」と言いながらも、続きを楽しんでいる様子が微笑ましかったです。
フミとトキへの推理——「おくまちゃんに取られた」嫌がらせ説
続いてフミさん(池脇千鶴)への推理は、
「おばさまは、おくまちゃんに家事をやらせてもらえず退屈されている。落ち込んでもいらっしゃる。でも、おくまちゃんを辞めさせるわけにもいかない。その鬱憤が溜まり、つい出来心から焼き網に手を出してしまった。」(正木清一)
そしてトキ(髙石あかり)にも、
「おくまちゃんに家事を取られて退屈されている。先日、あんた方どこさまで奪われてしまった。ご自身、そしておばさまへの敵討ちとばかりに焼き網を盗んだとしても。」(正木清一)
「あんた方どこさまで奪われた」というのは、クマがトキから童謡「アンタガタドコサ」を取り上げた件を指しているようで、細かいところまで拾っている脚本の丁寧さに感心しました。
ヘブン・丈・クマへの推理、そして自分自身への推理
家族思いのヘブン先生(トミー・バストウ)については「松野の皆さんが朝のトーストを気に入っていないと気づき、揉め事が起きないよう焼き網を盗んだ」という「いいウソ」説。丈(杉田雷麟)にはクマとの仲良し関係からクマを守るために盗んだ可能性。そしてクマには「毎朝6枚焼くのが大変だった」という動機。
極めつけが正木自身への言及です。
「なので、探偵ぶって皆さんに目を向けている裏で。実は犯人でした、なんてこともありえるでしょう。」(正木清一)
自分まで容疑者リストに入れてしまうという徹底ぶり。SNSで「名探偵と迷探偵の間」と表現する声が上がっていましたが、まさにその通りで、この絶妙なキャラクターを体現した日高由起刀さんの演技が光っていました。
「たかが焼き網一枚」が引き起こした家族の本音とギスギス
推理劇が終わった後、物語は一気に緊張感を帯びてきます。クマが買い物から帰宅すると、家の中からフミと司之介の喧嘩が聞こえてくる。
「早く本当の事を話せ」
そこにトキも参戦し、丈と正木まで加わり大騒ぎに。
「おとき、もしお前が盗ったんじゃったら、早く言うんじゃぞ」(司之介)
「娘を疑うって信じられん。これで父上だったら許さんけんね」(トキ)
父と娘の睨み合いに、フミを巻き込んだ三つ巴の喧嘩——笑えない雰囲気になってきたところで帰宅したのがヘブンでした。
「ギスギス、まつんOK?」(ヘブン)
「ちがう。」
ヘブンがハグを促し、家族は戸惑いながらも、「私ら西洋人でないけん」「ちょっと無理だわ」という声が上がるあたりに、文化の違いも交えた温かいユーモアがありました。それでも、一応の和解には至ったわけですが——。
「たかが焼き網一枚、されど焼き網一枚」とSNSで表現されていましたが、本当にそうなんです。些細なことがきっかけで、ふだん誰も口にしない本音や不満がじわじわと滲み出てくる。仲良し家族のはずの松野家に入った、静かで深い亀裂——そのリアルさが、視聴者の心に刺さったんだと思います。
ヘブン「私には書く力ない」——熊本で詰まる滞在記と孤独
家族騒動の一方で、熊本第五高等中学校ではヘブンが別の悩みを抱えていました。同僚のロバート(ジョー・トレメイン)に滞在記を読んでいると告げられ、
「Unlike Matsue, Kumamoto doesn’t inspire my creativity. It’s just, well, it’s not Japan.」(ヘブン)
「ここは日本じゃないみたいだ」「松江にいた頃は書けたのに」——熊本の地で創作意欲が湧かないと打ち明けるヘブン。ロバートが「Is that Kumamoto’s fault, or?」と問い返すと「Not my fault(私のせいじゃない)」と苦笑い。この交流が、ヘブンが自分の内側と向き合うきっかけになっていく気がしました。
その後ヘブンはトキを熊本の町が一望できる丘へ連れていきます。トキが「この場所のこと、書くできないですか」と聞くと——
「この場所、分厚い本、書くできる。なんぼ素晴らしいでしょう。でも、そのう、力、私ない。残念。」(ヘブン)
素晴らしい風景が目の前にあっても、書く力が湧いてこない。作家とは不思議な生き物で、外の美しさより内側の何かが動かないと筆が動かない——そういうことなのかもしれません。SNSで「書けないのは熊本のせいなのかい?が浮き彫りにする、不在の存在感」と語る視聴者がいましたが、まさにヘブンの創作の源が松江にあったのだ、という事実が、この丘のシーンで静かに伝わってきました。
おクマ辞職宣言の衝撃——「そんなつもりじゃ」に隠れた真実
第99話で最も驚いたのが、ラストの展開です。帰宅したトキとヘブンに、丈が告げます。
「おくまちゃんが。女中をやめるって言ってまして。」(丈)
「やめる?え?」(ヘブン)
登場してまだ日が浅いクマ(夏目透羽)が、突然の辞職宣言——。視聴者に感情移入が根付く前に退場の危機を迎えるこの展開は、確かに脚本の意外性として機能していました。
思い返すと、正木の推理中にクマが漏らした言葉が気になっていました。
「そんなつもりじゃ」(クマ)
「こんなに大事になるとは思っていなかった」という意味にも取れますが、もしかしたらクマ自身が何らかの形で焼き網の件に関わっていたのかもしれない——という読み方もできます。孤児として生きてきたクマが、松野家という「家族」の中で何かを試したかった。いたずらを通して、家族の絆を確かめようとしたのかも。
だとすれば、その小さな行為が家族を混乱に陥れてしまったことへの罪悪感と、疑われることへのショックが重なって、「辞める」という言葉につながった可能性があります。必死に得た仕事を、自分で手放そうとするクマの表情が脳裏に浮かんで、胸が痛くなりました。
第100話への伏線と考察——犯人は誰?おクマの行方は?
焼き網の真犯人は、最後まで明かされませんでした。正木の推理では全員に動機があるという結論(?)になっていますが、現時点で最も濃厚なのはクマか丈のどちらかではないかという見方が多いようです。
丈が焼き網を研究用に使っていないのであれば、クマが動機・機会ともに揃っている。孤児として家族の温かさを知らないクマが、少しだけ「家族のいたずら」をしてみたかったとしたら——そう考えると、辞職宣言もその罪悪感から来ているような気がして、切なくなります。
一方で、ヘブンとトキはこの一件を通じてそれぞれ気づきを得ています。トキは丈との会話から、ヘブンは同僚ロバートとの対話から。「家族しか見えていなかった」松野家が外の世界に目を向け始めるきっかけとして、焼き網事件は機能しているのかもしれません。
残り25回ほどとなった「ばけばけ」で、この騒動がどう収束し、トキとヘブンの一代記へとつながっていくのか——第100話が楽しみです。
まとめ:第99話の見どころと伏線
- 日高由起刀演じる正木清一が「正木探偵」として全員に動機を突きつける爆笑ミステリー演出が話題に。
- 「そんなつもりじゃ」というクマの一言が、彼女が焼き網に関与していた可能性を示唆する重要な伏線。
- 司之介・フミ・トキの三つ巴の喧嘩は「たかが焼き網一枚」が引き起こした松野家の潜在的な亀裂のリアルな描写。
- ヘブンが「熊本では書けない、松江にいた頃は書けたのに」と語るシーンは、滞在記執筆の行方を暗示する重要な伏線。
- クマが「女中を辞めたい」と告げるラストで第100話への緊張感が一気に高まる。孤児であるクマの背景が今後深堀りされる可能性大。
- 残り25回で主人公トキの一代記がどう収束するか——焼き網事件が熊本編の転換点になる予感。
次回第100話では焼き網の真相とクマの辞職の行方が明かされるのか、引き続き目が離せません。
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連続テレビ小説「ばけばけ」は毎週月〜土 NHK総合 午前8:00〜放送中
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