【LOVED ONE 10話】MEJ解散・九条急死・太田検事の暗躍──最終回に向けた伏線を完全整理

捜査権限を失い、仲間を失い、恩師さえも失った。それでも、真澄先生はひとつの確信を手放しませんでした。「遺体が遺した真実だけは曲げられない」。第10話「贖罪」は、権力と冤罪と15年間の沈黙に立ち向かう法医学者が、このドラマでいちばん「人間的な顔」を見せた回でした。

目次

LOVED ONE 10話 あらすじ

MEJの突然の閉鎖宣告から数週間。若手メンバーたちは新しい職場へ移り、桐生麻帆(瀧内公美)も厚生労働省へ戻っていた。そんな中、都内で23歳の女性・森下ゆきえの遺体が発見される。首に絞殺の痕があり、近頃続く連続殺人事件との関連が疑われる。水沢真澄(ディーン・フジオカ)はこれが15年前の冤罪事件「白峯女子連続殺害事件」の真犯人による再犯だと確信するが、捜査権限を失った今、現場にも入れない。

病床の恩師・九条正仁(小木茂光)への訴えも沈黙で返され、その翌日には急変死。渡されるはずだった鑑定資料は行方不明となり、検察は証拠の消滅に動き始める。そして真澄は、15年間弟の冤罪を訴え続けてきた芹沢明子(りょう)と向き合い、水をかけられながらも土下座で誓いを立てる。権力と制度に追い詰められた法医学者の、最後の闘いが幕を開けた回でした。

「必ず真実を明らかにします」──今話最大の感動シーンが生まれるまで

今話のクライマックスといえば、やはりこの一言でした。

MEJのオフィス。テーブルの向こうに座る芹沢明子(りょう)から、古いファイルが差し出される。弁護人を通じて入手した、当時の検察側証拠資料。それを受け取った真澄先生が涙を浮かべながら力強くうなずき、口にします。

「必ず。真実を明らかにします。」

SNSでは「MEJにて明子さんに『必ず 真実を明らかにします』と言ったシーンに泣いた真澄先生の涙を浮かべた顔に贖罪の気持ちと決意を感じて苦しい 今日の真澄先生はずっと感情が表に出ていて、いつものほわほわちいかわじゃなかったツラッ」(@lapin_plume_df)という声をはじめ、多くの共感が集まりました。

クールで飄々としていた真澄先生が、ここまで感情を表に出した回は今作で初めてです。なぜあの「必ず」がこれほど刺さったのか。それは、そこに至るまでの積み重ねがあったからです。現場で追い返され、恩師は急死し、証人には水をかけられ、土下座で頭を下げ続けた末に辿り着いた言葉。「必ず」という二文字が、エピソード全体の痛みと決意を一点に集めていました。

注目すべきは、この決意がMEJという組織の後ろ盾をまったく持たない状態で生まれた点です。捜査権限も、仲間も、制度も、すべて失ったあとに残ったもの。それが「ご遺体と向き合う」という真澄先生の原点そのものであるというのが、今話の最も深い構造でした。

芹沢明子との対決──水をかけられても、それでも頭を下げた

今話の白眉は、りょうが演じる芹沢明子との対決シーンです。

街頭でチラシを配っていた明子を見つけ、真澄が近づきます。一瞬で険しくなる表情。喫茶店で向かい合った明子は、感情を抑えながらも絞り出すように言います。

「この十五年間。あなたと。九条正仁の名前を忘れたことは一度もありませんでした。あなたたちの鑑定のせいで。弟はやってもいない殺人で死刑判決を下されたんです。それなのに?よく会いに来れましたね。」

真澄が「大変申し訳ありませんでした」と頭を下げると、明子の声はさらに鋭くなります。

「謝って済むと思ってるんですか?」

「取り返しのつかないこと。」

「(真一の)人生は元に戻らないんです。両親は?真一の無実を必死で訴えながら。二人とも亡くなりました。どれだけ無念だったか。あなたたちのいい加減な鑑定のせいで。私たち家族の人生めちゃくちゃになったんです。それを今更。何しに来たんですか?」

真澄が「裁判資料を見せてほしい」と頼むと、明子は「私があなたの言葉を信用できると思いますか?」と席を立ち、「もう二度と私の前に現れないでください」と去ろうとします。それでも真澄が「待ってください」と弟の名前を呼ぶと、明子はコップの水をかけます。

「弟の名前を気安く呼ばないで。」

「弟の名前を気安く呼ばないで」──りょうの演技が刺す

りょうの演技は、抑制されているからこそ痛い回でした。絶叫することなく、静かな怒りと15年間の蓄積を低い声と鋭い目線で届けてくる。それが「ツラッ」「辛い」という視聴者の言葉を呼んだ理由でしょう。「第10話『贖罪』なかなか辛い回だった」(@sanchan1140125)という声が象徴するように、今話は感情の重さが画面からにじみ出る一話でした。

水をかけられた真澄は立ち上がりません。

「僕も十五年間。白峯事件のことを忘れたことは一度もありませんでした。今度こそ、真実を明らかにさせてください。」

深く土下座をするその姿に、明子の目に涙が浮かぶ。それでも明子は立ち去っていきます。

この場面、真澄先生が頭を下げながら口にした言葉には、単なる謝罪以上の意味があります。15年間逃げ続けた後悔、そして「もう逃げない」という決意の両方が込められた土下座でした。

桐生麻帆の「独断」が芹沢明子を動かした

転機は、桐生麻帆(瀧内公美)の「独断」でした。

明子のアパートに突然訪ねてきた桐生さん。手にしていたのは、真澄先生がMEJでこれまでに解剖したご遺体の鑑定書。「私の独断で持ってきました」という言葉から始まる桐生の話が、明子の何かを動かします。

「真澄先生は。ご遺体お一人お一人の人生と。真剣に向き合ってきたんです。そのおかげで。見過ごされていた真実が明らかになって。生きてる方を救うことも。亡くなった方の声を届けることもできたんです。真澄先生は。どんなわずかな違和感も。決して曖昧なままにはしなかった。必ず真実を明らかにする。それは。ご遺体のためでもあり。今を生きてる人のためでもあるからです。」

センター長としてではなく、一個人として動いた瀧内公美演じる桐生麻帆のシーン。「堂島、麻帆、芹沢明子…覚悟を決めた女性たちがカッコいい!」(SNS)という声が相次いだのも、この場面の説得力があったからでしょう。

白峯事件の闇──DNA捏造と検察圧力の全構造

今話では、これまで断片的にしか語られてこなかった白峯事件の構造が、初めて明確に言語化されました。

MEJのオフィスで、真澄が井川と堂島に語ります。

「DNA鑑定を行うことができなかった」のに「一致した」と書いた

「ご遺体から犯人のものと思われる皮膚片が見つかったのですが、その量が足りず、DNA鑑定を行うことができなかったんです。にもかかわらず。先生が検察に提出した鑑定書には、芹沢さんのDNA型と一致したと書かれてました。」

白峯女子連続殺害事件は15年前、西東京市の白峯町で起きた連続殺人です。被害者三名はいずれも二十代の女性で、死因はベルトのような何かで首を絞められたことによる窒息死。被害者の一人と同じ勤務先だった芹沢真一さんが逮捕され、DNAの一致と死亡推定時刻のアリバイがないことを根拠に有罪・死刑が確定していました。

しかし、その「DNA一致」は捏造だったかもしれない。真澄は当時この鑑定に助手として参加しており、結果の矛盾に気づいて告発を試みたものの研究室を追い出され、十分な証拠を集めることができませんでした。

「九条先生が鑑定結果を捏造するなんて。余程の圧力があったのだと思います。当時の僕は(捏造に)気づいて。先生を告発しようとしました。ですが。研究室から追い出されてしまい。十分な証拠は集めることができませんでした。」

そして続けた一言が、1話から続いていた「なぜ真澄先生はアメリカへ渡ったのか」という謎への答えでした。

「自分が関わった鑑定が(誤りだったという)事実を受け入れることができなくて。僕は日本を離れました。」

贖罪。タイトルが示すのは、冤罪の被害者だけでなく、真澄先生自身の15年間でもあったのです(LOVED ONE 伏線・考察まとめ)。

目撃情報もでっち上げだったのか──堂島が明かした噂

さらに衝撃だったのが、堂島穂乃果(山口紗弥加)が口にした情報です。

「当時、なかなか容疑者が特定できず、捜査本部に焦りが生まれていく中で、芹沢の目撃情報が不自然なタイミングで出たって話を聞いたことがある。」

井川が「目撃情報をでっち上げたってことですか?」と聞くと、堂島は「ただの噂だと思ってたけど」と続けます。もしこれが事実なら、DNA鑑定書の捏造に加えて証言工作まで行われたことになります。

真澄が続けます。

「だから。僕が九条先生や芹沢さんに会ったことを知った検察が。厚労省に圧力をかけ、MEJを閉鎖に追い込んだのだと思います。」

それを聞いて堂島が続けます。

「自分たちの過去の失態を隠すためにね。」

MEJ閉鎖の真相。それは試験運用終了という建前の裏に、15年前の冤罪事件の蓋を閉じ続けるための組織的な圧力があった可能性を示していました。「冤罪。本人にとっても家族にとっても地獄でしかない。犯人が捕まらないから無実の人を犯人に仕立てるって、検察の誰の指示なんだろうか」(SNS)という視聴者の言葉が、ドラマの問いかけと正面から響き合う場面でした。

九条正仁の急死と消えた資料

今話で最も「タイミングが残酷だった」シーンが、九条正仁(小木茂光)の急変死です。

ホスピスの病室を訪ねた真澄は、恩師に白峯事件の真実を問い続けます。

「十五年間、ずーっと苦しんできた人たちがいるんです。それに、これ以上犠牲者を出すわけにはいかない。先生は一体、何を守っているんですか?」

九条は沈黙を貫きます。それでも真澄は、恩師が母の解剖を担当し「これはただの死体じゃない。かつて誰かを愛し。誰かに愛されていた証なんだと」と教えてくれた恩人であることを語り、最後にこう告げて部屋を後にします。

「先生を。信じています。」

その翌日、九条先生は急変し、朝亡くなっていました。娘の九条京子から知らせを受けた真澄が絶句する。

「渡そうと思ってた資料も。どこにあるのかわからなくなってしまって。」

実は九条先生は死の直前、京子に「私のデスクの一番下の引き出しに古い封筒がある。真澄くんに渡すよ。これは私の意思だ。このまま死ぬわけにはいかないんだ」と語っていました。しかし急変によって、その資料の行方は不明のまま。

さらに事態を複雑にしたのが、太田検事(笠松将)の動きです。公園で京子に近づいた太田検事は「九条先生が持っていた鑑定資料をこちらに渡していただけませんか?」と迫ります。京子は「そんな資料はありません」と拒否しますが——。

検察内部では、こんな会話が交わされていました。

「法医学者の九条正仁が亡くなったそうだ。じゃあ、余計なことを喋られる心配はなくなりましたか?ただ。家族がまだ、鑑定書類の原本を持ってるかもしれない。念には念を入れて。わずかな火種も消しておけ。」

「火種を消す」という冷たい言葉。九条先生の死を「好都合」として処理する組織の論理が、今話で最もクリアに描かれた瞬間でした。

MEJ解散後──居酒屋で語られた「一体感」の喪失

閉鎖から数週間後。若手メンバーたちの様子を、居酒屋のシーンが温かく、そして少し切なく映し出します。

「忙しすぎてアドレナリン出る感じ。徹夜もしたし、勘弁してくれよって思ったけど。だんだん楽しくなってきてたんだよね。」

「せっかく一体感出てきてたのにね。いや、でもやっぱりおかしくない?急に閉鎖になるなんて。絶対おかしいです。」

新しい職場で充実している様子を語りながら、MEJへの未練を隠せないメンバーたち。「たった数ヶ月で潰すなんて絶対なんか変だって。何か別の理由があるんじゃないかな」という言葉は、視聴者が感じていた疑問を代弁するものでした。

一方、桐生麻帆は厚労省に戻り、以前から取り組みたかった若年者貧困支援プロジェクトを担当することに。「期待してるよ」と上司に声をかけられる場面は明るいはずなのに、どこか複雑な桐生さんの表情がそのまま視聴者の胸の内を映しているようでした。

堂島の覚悟と太田検事の暗躍

捜査権限のない真澄が遺体発見現場に現れたとき、追い返そうとした堂島穂乃果(山口紗弥加)。しかし「この連続殺人は過去の殺人事件と関係があるかもしれないんです」という一言が、その足を止めます。

白峯事件の詳細を聞いた堂島は、自分が持つ捜査資料を渡す決断をします。

「バレたら首が飛ぶけど。これがあれば。真澄先生は真犯人にたどり着けるかもしれないでしょう。」

「もう六人も殺されてる。なんとしてでも真犯人を確保したい。そのためにはできることはする。」

捜査権限を超えた、首をかけた行動。「堂島、麻帆、芹沢明子…覚悟を決めた女性たちがカッコいい!」(SNS)という反応が溢れたのは、この3人それぞれが「失うものを承知で動いた」からでしょう。今話においていちばん静かに、しかしいちばん深く刺さったシーンのひとつでした。

一方、太田検事の動きも見逃せません。今話では京子への接触に加え、検察内部の「火種を消しておけ」という指示との連動が示唆されています。組織的隠蔽の実行役なのか、それとも自らも何かに操られているのか。最終回での開示が待たれます。

今話の伏線・考察まとめ

  • 白峯事件のDNA捏造が初めて明言された【縦軸・今話で開示】 「皮膚片の量が足りずDNA鑑定不可だったにもかかわらず、鑑定書には一致と記載された」という事実が真澄の口から語られました。九条正仁という権威が圧力によって捏造に加担した可能性が高く、最終回での証明が最大の焦点です。
  • MEJ閉鎖の黒幕は検察の圧力だった【縦軸・今話で開示】 「検察が厚労省に圧力をかけ、MEJを閉鎖に追い込んだ」という構造が示されました。試験運用終了という建前の裏に組織的な隠蔽があったとすれば、最終回で誰かが追及される展開が予想されます。
  • 九条正仁の急死と鑑定資料の消失【縦軸・今話で進展】 真澄に渡すつもりだった資料を渡せないまま急変死した九条先生。原本の行方が最終回の鍵になります。太田検事も資料回収に動いていることが明らかになりました。
  • 芹沢明子が証拠資料を提供【縦軸・今話で進展】 弁護人経由で入手していた当時の検察側証拠資料が、ついに真澄の手に渡りました。これが再審請求の根拠になり得るかが最終回の焦点です。
  • 真澄のアメリカ行きの理由が判明【未回収→今話で回収】 鑑定捏造に気づき告発を試みたが研究室を追い出され、「事実を受け入れることができず」日本を離れたことが明かされました。第1話から引き継がれてきた謎がついて回収されました。
  • 太田検事と黒幕の関係【縦軸・未回収】 資料回収を命じる組織の声、京子への接触、MEJ閉鎖への関与——太田検事が隠蔽の実行役なのか、それとも自らも別の標的を追っているのか。最終回での回収が待たれる最重要ピースです。

最終回予告考察──「我々が決めたことが正義」の意味

いよいよ次回は最終回。予告から届いた一言が、今作のテーマを圧縮しています。

「我々が決めたことが正義。」

「検察が有罪と決めた以上、それが正義であり、覆す余地はない」という権力の論理の体現です。再審は「開かずの扉」と言われるほど高いハードルで、過去の検察判断を否定することへの組織的抵抗は現実の司法でも根深い問題です。

「我々が決めたことが正義 検察にとって都合の悪い真実が封印され 作り変えられる 司法の崩壊 闇が深すぎる」(SNS)という声が示すように、この台詞はドラマの構造と現実の問題意識が交差する一言でもあります。

芹沢明子が証拠資料を渡したことで、真澄先生たちは「鑑定書の捏造を証明する」という最後の闘いに挑みます。MEJが再集結するのか、黒幕の正体は誰か、芹沢真一の冤罪は晴れるのか——すべての問いへの答えが最終回を待っています。

「次回最終回めちゃくちゃ寂しいです 必ずみんなでピースを揃えて、真実を解き明かすところ楽しみにしています」(SNS)という声が示すように、第10話でここまで積み上げてきたからこそ、最終回への期待は最高潮です。

来週の最終回まとめ記事はこちら(準備中)

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