【豊臣兄弟!第9話 ネタバレ感想】「竹中半兵衛という男」|斎藤龍興を追い詰め、小一郎が”万事円満”を誓う瞬間

第8話で直(白石聖)の死という衝撃の幕切れを迎えた「豊臣兄弟!」。第9話では、その喪失の痛みを引きずりながら、ついに竹中半兵衛(菅田将暉)という新たな才能と出会う回となりました。

菅田将暉が演じる竹中半兵衛は、初登場から圧倒的な存在感を放ち、SNSでは「菅田半兵衛」「何用たるや」がトレンド入りするほどの話題を集めました。しかしこの9話が本当に視聴者の心を揺さぶったのは、後半に訪れる直のとと様(大倉孝二)との対面シーン。あの場面の重さは、前回の別れをもう一度、違う角度から受け取り直すような感覚がありました。

喪失と前進、そして新たな仲間との邂逅。「豊臣兄弟!」がいよいよ次のステージへと動き出した、見逃せない一話です。

目次

豊臣兄弟!第9話 あらすじ

直の死から十日。小一郎(仲野太賀)は悲しみを押し殺したまま、藤吉郎(池松壮亮)に連れられて美濃の山奥へ向かいます。目的は軍師・竹中半兵衛(菅田将暉)の調略。猟師に変装した兄弟は半兵衛の居所にたどり着きますが、彼は「三たび礼を尽くして初めて誘いを受け入れる」と言い残し、一筋縄ではいきません。その一方で、斎藤家重臣・安藤守就(田中哲司)が電撃的に織田方へと寝返り、美濃の情勢は一変。信長(小栗旬)が稲葉山城を包囲する中、半兵衛は意外にも龍興(濱田龍臣)のもとに姿を現します。小一郎が三度目の礼をもって半兵衛を仲間に引き入れ、美濃攻略が成就。信長は稲葉山城を「岐阜城」と改名し、上洛へと歩みを進めていきます。

泣かずにいられないラスト|直のとと様との対面シーンの全て

第9話で視聴者が最も涙をこらえられなかったのは、竹中半兵衛の登場でも、稲葉山城の攻略でもなく、美濃攻略が成就した後に訪れた、坂井のとと様(大倉孝二)と小一郎の対面シーンではないでしょうか。

直を失った悲しみを胸に秘めたまま、小一郎は直の父のもとを訪れます。とと様は最初から泣かせにかかってくることはなく、むしろ飄々とした空気で迎えます。「やめい、うっとうしい。今更そんなことを聞きに来たわけではないわ。銭をよこせ。なおと賭けをしたのじゃ」。

その一言で、直がかつて父に話していた「賭け」の内容が明かされていきます。画面の向こうで、直の声と言葉が再現されるような演出は、SNSでも「生の舞台を見ているよう」「後ろ姿だけでここまで感情が伝わるとは」と絶賛されていました。

「その賭け。必ずやなおに勝たせてみせまする。」小一郎の誓い

直が父に語っていた小一郎の姿は、こんなものでした。

「小一郎がそうだから。あの人はいつも皆が満足しないと気が済まないんです。きっと会ったらとと様の話をよう聞いて、どっちも笑える道をきっと見つけてくれる。これで万事円満でござるって得意げに言うの」

「戦だって争い事はなくならないかもしれないけど、無駄な殺し合いはなくすことができるって。とことん話し合って、考えて考えて考え抜けば必ず道はあるって」

とと様は「バカバカしい。そんな世など来るはずなかろう」と笑い飛かしながらも、娘の言葉をちゃんと受け取っていました。「できる方に五百文。私のへそくり全てじゃ。いつも調子のいいことばっかり言って。でも、もしかしたら本当にそういう世にできるんじゃないかって騙されたくなる。それが私の旦那様じゃ」。

直の五百文という賭け。その賭けを知ったとと様が、「その様子ではわしの勝ちじゃな」と小一郎に言い放つ場面で、小一郎は静かに、しかし力強く返します。

「まだ終わっておりませぬ」

そして、とと様が言うのです。「おぬしが諦めたら。すぐに銭を取りに来るぞ。また逃げるなよ。なおと共に。ずっと見張っておるぞ」。

それを受けて、小一郎がはっきり宣言する。「その賭け。必ずやなおに勝たせてみせまする」。直の言葉、父の言葉、そして小一郎の誓い。三者が交差するこの場面は、第8話からの感情の流れを完全に受け止めた上で届けられるクライマックスでした。

なおの声が聞こえる場面|脚本と演出が生んだ奇跡

この場面で特筆すべきは、直が「架空の人物」でありながら、第9話においてもその存在感が少しも薄れていないことです。とと様との会話の中で浮かび上がる直の姿は、「かつてここにいた人」ではなく、「今でも小一郎の隣にいる人」として描かれています。

「これで万事円満じゃ」と呟く小一郎の表情は、悲しみではなく、覚悟でした。そして遠くから聞こえるような直の声——「私すごいなあ。小一郎ならきっとそう言うと思った」——がかぶさる演出は、涙腺を決壊させるのに十分すぎるものがありました。

直というキャラクターが第8話で退場した意味、そしてその死が物語に与えた意味が、この第9話でようやく完全に輪郭を持ったように感じます。

菅田将暉×竹中半兵衛|「己が恐ろしい」天才軍師の全貌

第9話のもう一つの軸は、何といっても竹中半兵衛(菅田将暉)の登場です。SNSでは放送直後から「菅田半兵衛」「何用たるや」が一気にトレンド入りし、視聴者の期待値の高さがそのまま反響の大きさに直結しました。

美濃の山奥に引きこもり、主君・斎藤龍興との不仲から実質的な蟄居状態にあった半兵衛。藤吉郎と小一郎が猟師に扮してその居所を訪れると、そこには想像をはるかに超えた”変わり者”がいました。

「半兵衛の半は半端者の半じゃ」初登場シーンの衝撃

初対面で「何用たるや」と静かに問うかと思えば、小牧山城の精巧な模型を見せてくる。「城下には足を運んだのですが、さすがに城の中は入れなかったので、出入りする者に話を聞いて作りました。合っておりますか?」という台詞の淡々とした怖さは、菅田将暉ならではの間の取り方でした。

そして自身について語る場面では、こんな言葉を口にします。

「いえ、心中で思い描いておりました。幼き頃より病弱で、戦場に出ることはかなわず、こうして考えることしかできなかったゆえ、侍としては使い物にならない半端者です。半兵衛の半は半端者の半じゃ」

謙遜ではなく、本心でもなく、試しているような言い方。相手の反応を見て、次の一手を読んでいる。その目が怖いほど冴えているのが、菅田将暉の表情から伝わってきました。

さらに半兵衛は自分の本質をこう打ち明けます。

「私は戦が好きなのじゃ。戦場に出ることもないくせに、策を練り、その通りに事が運び、戦に勝つ。それが何事にも代えがたい喜びなのです。戦に勝つためなら、いかなる策も講じる。何かが間違っているような気がして。でも自分の衝動を抑えることはできない。私は己が恐ろしい。だからこの山奥にいるくらいが私にはふさわしいのです」

「己が恐ろしい」という言葉は、この作品の竹中半兵衛を語る上で最も重要なキーワードになりそうです。戦の才能に溺れることへの自覚、それでも抑えられない衝動——天才が抱える矛盾と危うさを、菅田将暉がわずか数分で体現してみせました。

三顧の礼とは何か|三度目の礼がついに成立するまで

半兵衛は二度目の訪問の末に、古い書物を取り出して言います。

「祖父からもらった平安の頃、宋より伝わった書物です。この中に出てくる知略に長けた軍師に惹かれて、このような生き方となってしまった。その治承は三たび礼を尽くして初めて誘いを受け入れまする」

これが「三顧の礼」——三国志における劉備が諸葛亮孔明を三度訪れてようやく仕官を得たという故事への言及です。半兵衛がこの作法を大切にしていることが、彼の「知略を尊ぶ生き方」を象徴しています。

一度目は追い払われ、二度目は安藤守就の家来に捕まりかけ、それでも小一郎は諦めません。稲葉山城に秘密の抜け道を見つけ出し、城内に乗り込んで三度目の礼を果たします。

「竹中殿。これが3度目じゃ。わしらの仲間になってちょうだい。この通りじゃ」

頭を下げた藤吉郎と小一郎に、半兵衛は言います。

「まことに強いと思える相手とは、お味方になるよりも戦ってみたかった。参りました。これよりは織田家のために尽くしまする」

「参りました」の一言に、半兵衛という人物の清潔さが滲んでいました。勝ち負けではなく、「まことに強いと思える相手」と出会えたことへの喜びが、彼を動かしたのだと思います。

直の死と小一郎の喪失|第9話冒頭の痛みを読み解く

第9話は直の死から十日後という設定で幕を開けます。弥助(蜂須賀小六)は「わしなんぞ死んだ方がいいのじゃ」と塞ぎ込み、食事もとれない状態。とも(宮澤エマ)が「また食べとらんの?このままじゃあんたまで死んでまうよ」と叱りつけますが、弥助の落ち込みは深刻です。

一方の小一郎はどうか。「そんなことより出立じゃ」と静かに前へ進もうとしています。しかしその淡々とした様子をともは見抜いており、「あんたはなんで怒らんの?あの人のことを責めたらいいじゃない」と揺さぶります。

小一郎の返答は短く、しかし重い。「そんなことをして何になるんじゃ。なおはもう戻ってこん」。

「わしは大丈夫じゃ」に滲む藤吉郎の兄心

ともの目に涙が浮かんでいる前で、小一郎が続けます。

「わしは大丈夫じゃ。兄者が次から次へと無理難題を押し付けてくるもんだで。気落ちしてる暇などないわ」

このセリフをそのまま信じてはいけない、と視聴者は直感的に気づきます。なぜなら同じ場面で、藤吉郎が蜂須賀に本音を打ち明けているからです。

「わしにはあやつの悲鳴しか聞こえぬ。何かをしていなければ立っていられんのじゃ。だから時をかけて構わぬ。無理難題を押し付けて生きる張り合いを与えるのじゃ。そんなことしかできねえ。情けない兄じゃ」

小一郎が「大丈夫」と言い、藤吉郎が「悲鳴しか聞こえない」と言う。兄弟の間でこれだけの温度差があるのに、それを直接ぶつけることなく、藤吉郎はただ「仕事」という形で弟を支え続ける。この兄弟の在り方が、回を重ねるごとに深く刺さってきます。

SNSでも「藤吉郎の弟への解像度の高さに安心した」「この弟がいつか兄より先に逝くと思うと…」という声が多く見られ、この先の展開への予感を呼び起こす場面でもありました。

美濃三人衆の寝返りと斎藤龍興の末路

第9話では竹中半兵衛と並んで重要な動きが、斎藤家重臣・安藤守就(田中哲司)率いる西美濃三人衆の寝返りです。

龍興(濱田龍臣)に「半兵衛を殺せ」と命じられた安藤は、むしろ木下兄弟と接触します。縄で捕まえておきながら「手荒な真似をしてすまぬ。どこに龍興様の忍びの目があるか分からんのでな。我らはずっと迷うておったのだ」と打ち明け、こう続けます。

「今の美濃は我らが守るべき国であろうか。道三様や義龍様が目指した強く新しき国であろうかと。迷うておる時言われた。織田信長様なら」

安藤守就が動いた理由|小一郎の言葉が刺さった

安藤が「棘のように刺さった」と語ったのは、小一郎がかつて窮地で放った言葉でした。史実でも「西美濃三人衆の離反」は美濃攻略の大きな転換点として知られていますが、このドラマではその引き金を小一郎の一言に帰する構成になっており、主人公の行動が歴史を動かすという描き方が鮮やかでした。

安藤の決断は、仲間の稲葉・氏家両家も巻き込む大きな寝返りとなり、斎藤龍興の足元は一気に崩れていきます。

龍興の前に現れた半兵衛|策士の本領発揮

信長に包囲された稲葉山城で、龍興が「城中の兵をすべて集めよ。信長のいる本陣に攻め込むのじゃ。信長と刺し違えてまいれ」と叫ぶ場面は、追い詰められた者の悲痛さが滲んでいました。そこへ現れるのが半兵衛です。

「助けは参りまする」

「手強い相手を見つけまして」

龍興の窮地に現れておきながら、その言葉はどこか飄々としていて、視聴者を煙に巻きます。「朝倉と六角に援軍の書状を送った」という半兵衛の言葉で龍興は持ちこたえようとしますが、それは陽動に過ぎませんでした。半兵衛は最初から、小一郎との「三度目の礼」を待っていたのです。

岐阜城誕生と上洛へ|第10話への伏線を読む

稲葉山城が落ちた後、信長はこの地を「岐阜」と改名します。

「これよりこの地を岐阜と改める。この城は岐阜城じゃ」

「義と不縁嬉の四字を揃えましたな」と小一郎が指摘し、藤吉郎は「岐阜じゃ、岐阜じゃ」と嬉しそうに繰り返します。しかし小一郎がその名を噛みしめた後に言う言葉には、ここまで来た道の重さが詰まっていました。

「なお、わしは兄者とともにもっと強なる。強なって、お前の見たかった世を作ってみせる」

直への誓いです。「無駄な殺し合いはなくすことができる」という直の信念を受け継ぐ形で、小一郎は次のステージへと歩み出します。

そして次回予告では、いよいよ上洛と「天下布武」、さらに明智光秀(要潤)の登場が示唆されています。半兵衛が織田家の一員となり、小一郎が直の遺志を背負い、信長が天下へと動き出す——「豊臣兄弟!」はここから大きく加速していきそうです。

まとめ|今回の見どころと伏線まとめ

  • 直のとと様との対面シーン:「なおと賭けをしたのじゃ」から始まる父娘の記憶と、小一郎の誓いが重なる感動のクライマックス。直が架空の人物でありながら、第9話でもその存在感は消えず、むしろ強まった。
  • 菅田将暉×竹中半兵衛の登場:「私は己が恐ろしい」という自己分析ができる天才軍師というキャラクター設定が新鮮。「三顧の礼」という古典的な様式を経て仲間となる展開は、史実ファンにも見応えがあった。
  • 藤吉郎の兄心:「わしにはあやつの悲鳴しか聞こえぬ」という独白は、表面上は飄々とした藤吉郎の深い愛情を示す名台詞。「情けない兄じゃ」の言葉に滲む兄弟愛が切ない。
  • 西美濃三人衆の離反:安藤守就の寝返りの理由として「小一郎の言葉が棘のように刺さった」という伏線が回収。主人公の行動が歴史の分岐点を動かすという構成が鮮やか。
  • 岐阜城の誕生と直への誓い:「なお、わしは兄者とともにもっと強なる」という小一郎のセリフは、この先の物語全体を貫く誓いとして機能している。
  • 次回・明智光秀登場への期待:上洛と天下布武という歴史の大転換を前に、要潤演じる明智光秀がどう絡んでくるのか。半兵衛と光秀の共演も楽しみな予告内容だった。

大河ドラマ「豊臣兄弟!」第9話「竹中半兵衛という男」は2026年3月9日(日)午後8時放送。NHK総合・NHKプラスにて配信中。

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