大河ドラマ「べらぼう」第38話「地本問屋仲間事之始」が放送され、SNSでは「涙が止まらない」「歌麿が辛すぎる」と視聴者の悲鳴が殺到しました。梅毒に侵されたおきよの死、それを受け入れられずに錯乱する歌麿、そして蔦重による残酷な現実直視のシーン。染谷将太さんの狂気と悲痛の演技が「最大級の苦しみ」と絶賛される一方、横浜流星さん演じる蔦重の「ヤクザ化」した戦略も話題に。出版統制という危機に立ち向かう蔦重の物量作戦、京伝との和解、そして長谷川平蔵の登場まで、見どころ満載の38話を徹底解説します。
べらぼう第38話 あらすじ
定信による出版統制の触れが出され、新規の本を作ることが禁じられた江戸。蔦重は奉行所に山のような草稿を持ち込む「物量作戦」で対抗します。一方、歌麿の愛するおきよは梅毒（そう毒）に侵され、病床に。歌麿は筆で想いを伝え続けますが、おきよは静かに息を引き取ります。現実を受け入れられず錯乱する歌麿に、蔦重は厳しくも優しく現実を突きつけます。同じ頃、京伝は菊園と結婚し、蔦重との和解を果たします。蔦重は鶴屋とともに江戸の本屋たちを集め、地本問屋仲間を結成。長谷川平蔵への根回しも功を奏し、ついに定信から株仲間設立の許可を得るのでした。
おきよの死と歌麿の慟哭――梅毒という残酷な現実
第38話の中心となったのは、歌麿とおきよの悲劇的な別れでした。おきよは「そう毒」、つまり梅毒に侵されていました。当時は治療法もなく、独特の長い潜伏期間があり、一見治ったように見えるやっかいな病気。ナレーションでも「分別がつかなくなることがある」と説明され、おきよの錯乱する姿が描かれました。
病床のおきよを前に、歌麿は何度も何度も筆を走らせます。耳の聞こえない彼女に言葉ではなく絵で想いを伝える――このシーンは静かな畳の間に響く筆の音だけが聞こえる、息を呑むような美しさでした。
「おきよと一緒にいたら、俺は何でもできる気がするよ」
と幸せそうに語っていた歌麿。しかし、その終わりはあまりにもあっけなく訪れます。
蔦重が歌麿の元に駆けつけたとき、部屋にはハエの音が響いていました。歌麿はまだおきよの絵を描き続けています。蔦重が
「どうした」
と声をかけても、歌麿は
「おきよはまだ変わってないから、生きてんだよ」
と答えます。現実を受け入れられず、気がおかしくなっている歌麿。この染谷将太さんの演技が、SNSで「最大級の苦しみ」「狂気と悲痛のコントラストがすごい」と絶賛されました。
「俺にはおきよさんしかいねぇの」絶叫に込められた愛
蔦重は覚悟を決めます。歌麿の横に座り、静かに、しかし確実におきよの脈を測らせるのです。
「成仏させてやろう」
と諭す蔦重。しかし歌麿は錯乱し、
「行かないでおきよさん、俺にはおきよさんしかいねぇの」
と絶叫します。
このセリフには、歌麿のすべてが詰まっていました。孤独だった歌麿にとって、耳が聞こえなくても自分だけを見つめてくれたおきよは、唯一無二の存在。「こっち向いてもらえると嬉しい」と語っていた歌麿の過去、母親にいつも男の方ばかり見られていた幼少期の回想も重なります。おきよは歌麿にとって、初めて「自分だけを見てくれた」人だったのです。
蔦重が必死に止める中、歌麿はついに泣き崩れます。このシーンを見た視聴者からは「何度でも泣いてしまう」「涙が止まらない」「辛すぎる」とSNSに投稿が殺到。ある視聴者は「まさに命を写し取ることでおきよさんとずっと一緒にいようとしたのがもうね…」と、歌麿の絵師としての愛の形に心を打たれたと綴っています。
蔦重が歌麿に突きつけた厳しい優しさ
蔦重の対応は、一見冷たくも見えました。しかし、これこそが蔦重の優しさでした。歌麿を現実に引き戻さなければ、彼は二度と筆を持てなくなってしまう。「生き残って命かくんだ」――この言葉は後に京伝が蔦重に言うセリフですが、蔦重自身も同じ覚悟で歌麿と向き合っていたのです。
おきよの死因が梅毒だったことも、江戸時代の残酷さを象徴しています。SNSでも「史実要素が加わり、江戸の残酷さを象徴」と指摘されているように、疫病との戦いは当時の人々にとって避けられない現実でした。「べらぼう38話感想 梅毒ね。病気は嫌だよな」というSNS投稿にもあるように、視聴者も改めて当時の厳しさを実感したようです。
蔦重のヤクザ化と出版統制への反撃――物量作戦の真意
おきよの死という悲劇と並行して描かれたのが、蔦重の出版統制への反撃でした。定信による「新規の仕立ては無用」という触れが出され、江戸の本屋たちは窮地に立たされます。さらに上方の本屋・大和田安兵衛が江戸に進出してきたことで、蔦重は「昔の自分をつぶすように」大和田をつぶしてほしいと鶴屋に相談します。
しかし、蔦重の本領はここから。彼は江戸中の地本問屋を集め、ある作戦を提案します。
「ここは一つ、触れを変えさせようと考えております」
――この言葉に、本屋たちは驚愕します。
「山のような草稿」で奉行所を困らせる戦略
蔦重の作戦は単純明快でした。触れには「新規の仕立ては無用。けど、どうしても作りたい場合は、指図を受けろ」とあります。
「だったら、江戸中の地本問屋が指図を受けに行きゃどうかと。山のように草稿を抱えて」
と蔦重。
この「物量作戦」は、まさにヤクザ的な発想です。奉行所に大量の草稿を持ち込んで困らせ、「指図は受けずともいい」と言わせる。しかし問題は、その「山のような草稿」をどうやって用意するか。本屋たちからは
「できるわけねぇだろう」
「そんな早くかけるやついるわけねぇだろう」
と反発の声が上がります。
蔦重は頭を下げます。
「皆様の力をお貸しください」
――この言葉に、かつて対立していた京伝も心を動かされます。京伝は蔦重との確執を思い出しながらも、
「俺たち役に立てっかな」
と草稿作成に協力を申し出ます。
「べらぼうな案だね」
という言葉には、蔦重への皮肉と称賛が込められていました。
SNSでは「蔦重のヤクザ化でアツい」「物量作戦が面白い」と、この戦略が話題に。横浜流星さんの迫力ある演技も「頼もしい」「成長を感じる」と好評でした。
京伝との和解「それが俺たちの天命なんだよ」
蔦重と京伝の和解シーンも、第38話の重要なポイントでした。鶴屋の計らいで再会した二人。京伝は菊園との結婚を報告し、自分の人生を振り返ります。
「俺、モテるから黄表紙やら始めたんですよ。ありがたいことに向いてて、向いていることするのは楽しくて、面白い人たちに囲まれて、何よりモテて、どこ行ってもモテて本当、楽しかった」
しかし、京伝は続けます。
「けど正直なとこ、世にあらがうとか柄じゃねぇ。俺はずっとふらふら生きてるんですよ。浮雲みてえに」
――この言葉に、蔦重は怒鳴りながら駆け寄ります。
「てめえだけでいいのか。てめえがその生き方できたのは、先にその道を生きてきたやつがいるから。今こそ、てめえが踏ん張る番じゃねぇのか」
京伝は言い返します。
「しくじったのは蔦屋さんじゃないですか。これ以上俺に乗っけないでくださいよ」
――この応酬の後、京伝は苦い顔をします。しかし最終的に、京伝は草稿を書くことを決意。
そして、おきよの死後、錯乱する歌麿を止める蔦重の言葉が
「生き残って命かくんだ。それが俺たちの天命なんだよ」
でした。この「天命」というセリフには、自分の生き方を受け入れ、与えられた才能を全うする覚悟が込められています。SNSでは「京伝先生の言葉で蔦重が正気を取り戻し」「天命の台詞で余白が語る」と考察が盛り上がりました。
地本問屋仲間の結成と長谷川平蔵の暗躍
蔦重の作戦は、物量作戦だけではありませんでした。彼は長谷川平蔵への根回しも周到に行います。吉原の女将たちを総動員し、長谷川を接待。そこで蔦重が明かしたのは、おきよを救った「花の井」の過去でした。
吉原の根回しと「もう一度吉原を救ってください」
長谷川が吉原に招かれたシーン。女将たちは金を返すだけでなく、利息まで支払います。
「ご返金にございます」
という言葉に、長谷川は驚愕。蔦重は説明します。
「長谷川様が貸してくださった50両があったから、吉原は食いつなぐことができました」
さらに蔦重は、花の井の話を持ち出します。
「非常に気の強い花魁でしたが、吉原を捨てておけなかったんでしょう」
――この言葉に、長谷川は
「花の井、さすが俺の金蔵を空にした女だぜ」
と笑います。蔦重の巧みな話術で、長谷川の心は完全に吉原に傾きました。
女将たちは訴えます。
「もう一度吉原を救ってくださいませんでしょうか。倹約と遊郭潰しで吉原は大変なことになってます」
――長谷川は
「もう分かった。何をすればよいのだ」
と、ついに協力を約束します。
定信を動かした長谷川の手腕
長谷川は定信に会い、
「本屋どもが奉行所の指図を仰ぎに来ている」
ことを報告します。定信は「浅知恵」と一蹴しますが、長谷川は巧みに話を進めます。
「上方の本屋が江戸に店を出してきている。江戸で新しい本が出せぬとなれば、上方が待ってましたとばかり、黄表紙も錦絵も作るようになる」
この言葉に、定信の表情が変わります。
「黄表紙も錦絵は江戸の誇り。渡してなるものかと躍起になっている」
という長谷川の説明に、定信は
「将軍家の威信にかかわる」
と納得。最終的に
「書物のごとき株仲間を作り、行司を立て、改めを行い、行司の差配で触れに触らぬ本を出すこととせよ」
と命じます。
この一連のやり取りは、蔦重と長谷川の見事な連携でした。SNSでは「長谷川様好き」「ナイスアシスト」と、長谷川の活躍が称賛されました。また、次回予告では「火付盗賊改方長谷川平蔵である♪」というセリフが登場し、「カッコよすぎる」「テンション爆上がり」と話題になっています。
大和田安兵衛との和解と未来への布石
地本問屋仲間が無事に結成され、蔦重は次の一手を考えます。それが大和田安兵衛との和解でした。
「昔のおめえさんみたいなやつ」が意味するもの
大和田安兵衛は、上方から江戸に進出してきた本屋です。当初、蔦重は大和田を「昔の自分のように潰そう」と考えていました。しかし、京伝の言葉や出版統制という危機を経て、蔦重の考えは変わります。
鶴屋とともに大和田を訪ね、蔦重は提案します。
「仲間に加わっていただけないかと」
――大和田は驚きますが、蔦重は続けます。
「言い伝え、面白いもんを何でもかんでも、心のままに放り込む。だから皆夢中になった。読む方も、出す方をはじくなんて、春町先生に草葉の陰から叱られるとこだった」
この言葉には、春町先生への思いが込められています。面白いものを作ることこそが、江戸の本屋の矜持。大和田を排除するのではなく、仲間に加えることで、江戸の本の力を守る――これが蔦重の結論でした。
大和田は
「版元をやらない代わり、少しばかり安い仕入れをさせてもらえるか」
と提案。彼は江戸での販売に専念し、偽版を鎮める役割を担うことになります。SNSでは「同じ日本でも西と東が別の国のように分かれてた時代の空気感を感じた」という投稿があり、地域対立の時代背景も注目されました。
書物の株を買う蔦重の野望
そして蔦重は、さらに大きな野望を語ります。
「実はもう一つ考えてることがあって、書物問屋の株を買おうと思ってんです」
書物の株があれば、諸国からの買い付けだけに頼らず、書物の流れを使って資本をどんどん流すことができる。つまり、江戸だけでなく全国へ、さらには「異国」にも黄表紙の火をともそうという壮大な計画です。
おていは
「それは春町先生もどれほどお喜びになられるか」
と涙ぐみます。この夫婦のやり取りに、つよは「べらぼうな夫婦だね」と笑いました。
この「異国」という言葉は、蔦重の視野の広さを示しています。江戸の本を世界に――これは当時としては革命的な発想でした。SNSでは「蔦重の野望がすごい」「グローバル展開の先駆け」と考察が盛り上がりました。
SNSの反応と次回予告への期待
第38話のSNS反応は、圧倒的に「号泣」「感動」が多数を占めました。特に歌麿とおきよのシーンについては「涙が止まらない」「何度でも泣いてしまう」という投稿が相次ぎました。
ある視聴者は「『べらぼう』38話、歌麿の慟哭に何度でも泣いてしまう。『行かないでおきよさん、俺にはおきよさんしかいねぇの』。蔦重のヤクザ化、京伝と菊園の結婚など、今回もたっぷり感想・考察記事書きました」と投稿。染谷将太さんの演技が「最大級の苦しみ」と絶賛されました。
一方で、視聴率は8.9%と低調。「視聴率が伸びないね。トホホ」という投稿もありましたが、多くのファンは「重いテーマゆえの深み」と好意的に受け止めています。また、配信の遅れについて「NHKオンデマンドにべらぼうの38話が出てこない」という不満の声もありました。
次回予告では、蔦重が牢屋敷に連行されるシーンが登場。「蔦重に書けって！」と訴える京伝、憔悴する歌麿を抱きしめるつよ、そして長谷川平蔵の「火付盗賊改方長谷川平蔵である♪」というセリフが話題に。SNSでは「次回予告めちゃくちゃ格好良い！大興奮！」「待ちきれない」と期待の声が高まっています。
また、鱗形屋など懐かしい面々も久しぶりに登場し、「お久しぶりに懐かしい面々も登場」「同窓会感がある」と喜びの声も。川西賢志郎さんの激変した姿には「若手イケメン俳優かと」「川西さん?」と驚きの反応が相次ぎました。
6. まとめ：第38話の見どころと伏線
今回の見どころ・伏線
- 歌麿とおきよの死別：梅毒という残酷な病が奪った愛。「俺にはおきよさんしかいねぇの」というセリフに込められた歌麿の孤独と愛情。染谷将太さんの狂気の演技が圧巻でした。
- 蔦重の物量作戦：出版統制に対抗する「山のような草稿」作戦。江戸の本屋たちを結束させ、定信をも動かした蔦重の戦略眼が光りました。
- 京伝との和解と「天命」：「生き残って命かくんだ。それが俺たちの天命なんだよ」というセリフは、自分の才能を受け入れ全うする覚悟の表れ。京伝の成長が感じられました。
- 長谷川平蔵の暗躍：吉原の根回しから定信への進言まで、長谷川の手腕が光りました。次回予告での「火付盗賊改方」としての活躍にも期待が高まります。
- 大和田安兵衛との和解：敵対から協力へ。江戸と上方の対立を超え、「面白いものを作る」という共通の目的で結束した蔦重たちの姿が印象的でした。
- 蔦重の「異国」への野望：書物の株を買い、全国、さらには異国にも黄表紙を広めようという壮大な計画。蔦重の視野の広さと野心が垣間見えました。
次回第39話「白河の清きに魚住みかね身上半減」では、蔦重の牢屋敷連行、歌麿の憔悴、そして長谷川平蔵の本格登場が予告されています。「白河の清きに魚住かねて」という川柳が示す通り、定信の清廉すぎる政治が招く混乱がどう描かれるのか、目が離せません！
