【ばけばけ第6週第29回ネタバレ感想】「私を社長にしてください!」三之丞の世間知らずに絶句…物乞いになったタエ様…トキの”恨めしい”決意に涙が止まらない

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第6週第29話が放送され、雨清水家の没落が加速する衝撃的な展開にSNSが騒然となっています。物乞いとなったタエ(北川景子)の姿を目撃したトキ(髙石あかり)、そして牛乳屋で「私を社長にしてください!」と叫ぶ三之丞(板垣李光人)の世間知らずぶり。笑えるのに切ない、朝ドラの常識を覆すヘビーな展開を徹底解説します。

目次

「ばけばけ」第6週第29回|あらすじと物語の流れ

物乞いとなったタエを偶然見かけてしまったトキは、衝撃のあまり声をかけられずその場から逃げ帰ってしまう。その夜、ヘブンの女中探しに焦る錦織(吉沢亮)が再びトキを訪ねてくるが、トキは家族のためと断り続ける。一方、司之介(岡部たかし)が働く牛乳屋に三之丞が突然現れ「私を社長にしてください」と直談判。あまりの世間知らずぶりに社長も呆れ果て追い返される。松野家では雨清水家の様子を心配するが、トキはタエの物乞い姿を見たことを誰にも言えずにいた。そして偶然、芋を買いに出た三之丞とトキが再会する。

トキが見てしまった衝撃の光景…物乞いとなったタエ様

誇り高き士族の妻が頭を下げる姿

第29話の冒頭、トキは街中である光景を目撃してしまいます。それは、かつて雨清水家の妻として気高く生きていたタエが、道端で物乞いをしている姿でした。

ボロボロの家に座り込み、通りすがりの人々から施しを受けるタエ。以前の彼女からは想像もできないものです。トキは思わず足を止めてしまいますが、声をかけることができず、衝撃のあまりその場から走って逃げてしまいます。

このシーンの演出は実に丁寧で、タエの卑屈な表情のコントラストが、静かな絶望を物語っています。かつて傳と共に栄華を誇った雨清水家が、ここまで転落してしまったことの衝撃が、映像全体から伝わってきます。

その夜、松野家で食事をとるトキは、ずっと考え込んでいました。タエの姿が頭から離れないのです。フミ(池脇千鶴)が

「タエ様はご無事なのかね?」

と心配する言葉にも、トキは何も答えることができません。

SNSでは「物乞いのタエに見ておられず、走って逃げて行くトキ」「誇り高かったタエさまが……没落して頭を垂れる母の様に、トキはどれだけ衝撃を受けただろう」という声が多く寄せられています。

さらに衝撃的だったのは、タエが三之丞に10銭を渡し

「何か買ってきておくれ」

と頼むシーンです。この10銭は、物乞いで得たわずかな施しです。息子のために少しでも食べ物を買おうとする母の愛情と、その金の出どころを考えると、胸が締め付けられます。蟻がたかったお供えのおにぎりに手を伸ばしかける三之丞の姿も映され、雨清水家の窮状が容赦なく描かれていました。

「涙が出るレベルで悲しい」「同じ貧乏でもこうも違うのか」という視聴者の声が象徴するように、松野家の明るい貧乏と雨清水家の暗い没落の対比が、この回の大きなテーマとなっています。

「私を社長にしてください!」三之丞の就職活動が斜め上すぎる

牛乳屋での直談判シーンを完全再現

司之介が働く牛乳屋に、突然三之丞が現れます。牛乳の壺を磨いていた司之介が顔を上げると、そこには見覚えのある顔が。

「こちらで働かせていただけないかと思いまして」

三之丞の言葉に、最初は普通の求職かと思われました。しかし、話は思わぬ方向へ転がっていきます。

社長が

「人手不足で雇えんこともないんですが」

と答えると、三之丞は続けます。

「それでしたら、人を使うことでしたら、できます」

「はい?」

「以前、織物工場で父親の代わりに社長をしていた時期がありまして」

「なるほど、それはつまり、うちでも社長をお望みということでしょうか?」

「そういうことです。雨清水三之丞と申します。雨清水といえば、知らぬ者はおらぬ。社長となるにはふさわしい格を備えております」

この一連のやり取りに、社長も司之介も、そして視聴者も絶句です。「初めまして。お宅の会社の社長にしてください」という、植木等でも言わないようなセリフが飛び出したのです。

社長は当然怒り出します。

「それはそれは大変なご無礼を。ただ、もし雨清水様が社長となりますと、社長をやっている私はどうすれば?」

「それは、後々…」

「はい。ですから」

「まずはどうか、お引き取りください」

しかし三之丞は引き下がりません。社長に外へつまみ出されながらも、

「待ってください!お願いします!私を社長にしてください!社長にしてください!」

と叫び続けるのです。

世間知らずの坊ちゃんに見る明治の士族没落

このシーンは、コントのようなコミカルさと、深刻な悲壮感が同居する、非常に巧みな演出でした。笑えるのに笑えない。そんな複雑な感情を視聴者に抱かせます。

SNSでは「三之丞が牛乳屋に働かせて、と来るのは分かるが格がある私を社長にしてくれ?? 世間知らずのお坊ちゃんだからとしても司之介より頭イカれてるw」「コントのつかみなら楽しみだけど、これがリアルなので誰も笑わない」という声が相次ぎました。

三之丞の行動は、明治維新後の士族の「プライド」と「現実」のギャップを象徴しています。生まれながらにして「雨清水」という名前の重みを背負い、人に使われたことのない彼にとって、「雇われる」という概念自体が理解できないのです。

「人を使うことならできる」

という発言は、決してふざけているわけではありません。本気でそう思っているからこそ、悲劇的なのです。司之介が松野家で

「社長も怒りに怒って、その場で帰れ言って追い返して」

と報告するシーンでも、その異常性が浮き彫りになります。

フミが

「でも、あまりにめちゃくちゃじゃない?」

と言うのも当然です。しかし勘右衛門(小日向文世)は「三之丞坊ちゃんの事情が気になる」と心配します。怒りよりも、彼らには雨清水家の窮状への同情があるのです。

「あほさ加減にはあきれ果てます」という厳しい視聴者の声もありますが、多くの人は「三之丞〜〜〜…… 世間知らずっぷりと、過去の名声にしがみついてる感じがおいたわしすぎる」と、笑いの裏にある悲劇性を感じ取っています。

錦織の再訪とトキの葛藤「家族のために、お断りします」

女中になることの重み

タエの物乞い姿を見た夜、松野家に錦織が再び訪ねてきます。扉越しに

「申し訳ございませんが、おときさんはいらっしゃいませんでしょうか?」

と声をかける錦織。

トキは仕方なく戸を開け、外で二人きりで話すことになります。

錦織は遊郭を歩きながら言います。

「何度も足を運んでいるうちに、だんだんとこの場所にも慣れてきた。意外と——意外とと言ったら失礼だが、案外、悪くない町だな」

しかしトキは話を遮るように言います。

「もうお断りしたはずですが」

「ただ、こちらもなり手が見つからず、もし心変わりがあればと」

「変わりません」

「そうだよな」

錦織も理解しているのです。トキの立場を、家族を思う気持ちを。

「失礼を承知だったが——」

「私は家族が好きです。家族のために、お断りします」

トキのこの言葉は、とても重いものです。ヘブンの女中になることが、どれだけの覚悟を必要とし、どれだけの差別や偏見にさらされるものなのか。それを知っているからこその拒絶です。

そこへ勘右衛門と司之介がやってきて

「お嬢、大丈夫か?」

と心配してくれます。家族が自分を守ってくれている。その温かさが、トキの決意を支えていました。

SNSでは

「朝ドラなら『異人さんの女中さんになっちゃった⭐︎ドタバタラブコメディー!』までできただろうに、その『女中になる』ことが、どれだけ残酷で、差別され、覚悟がいることだったのか、これほどにまで見せつけられて、地獄に垂れる蜘蛛の糸のようだった」

という指摘がありました。

まさにその通りで、「ばけばけ」は安易な展開に逃げず、女中になることの重さを正面から描いています。

松野家と雨清水家の対比が切ない…同じ貧乏でもこうも違う

司之介が三之丞の出来事を報告するシーンで、松野家の家族の様子が描かれます。牛乳の壺を「せっせと楽しそうに磨く司之介」の姿には、貧乏でも前向きに生きる明るさがあります。

フミは

「タエ様はご無事なのかね?」

と案じます。自分たちも決して裕福ではないのに、他人を思いやる余裕がある。それが松野家の温かさです。

しかしトキは、タエの物乞い姿を見たことを誰にも言えません。言えば家族が心配する。言えば自分も改めて現実を突きつけられる。その葛藤の中で、トキは黙って考え込むしかありませんでした。

一方の雨清水家は、ボロボロの家で、施しの10銭でふかし芋を買うのがやっとの生活です。三之丞は

「雨清水といえば、知らぬ者はおらぬ」

と言いますが、もはやその名前に価値はありません。プライドだけが残り、それが逆に彼らの首を絞めています。

SNSでは

「ばけばけ。第29話。武士の魂はどこへやら。せっせと楽しそうに牛乳壺を磨く司之介。貧乏で辛くとも明るさがあれば乗り越えられると思わせてくれる一方、雨清水家の没落っぷりの対比。同じ貧乏でもこうも違うのか」

という声がありました。

「雨清水家の没落っぷりが涙が出るレベルで悲しい。なんかこうなってくると早い段階で商売がコケて貧乏生活を強いられた松野家がマシに見えてくる…気がする」

という意見も。

この対比は、明治という時代の残酷さを浮き彫りにします。変化に適応できた者と、過去にしがみついた者。その差は、時間が経つほど大きくなっていくのです。

トキと三之丞の再会…物語が動き出す予感

高石あかりの表情演技が圧巻

タエから施しの10銭を渡された三之丞は、芋を買いに出かけます。そこでたまたま、トキと鉢合わせするのです。

「久しぶり」

三之丞はにこやかに声をかけ、駆け寄ります。

「少し痩せたな」

「とき殿は——」

「なんとか。相変わらず」

「仕事の帰り?」

「はい」

「三之丞様は、松江に戻られたんですね」

「では、急ぐのでまた元気で」

短い会話ですが、トキの心の中では激しい葛藤があったはずです。目の前にいる三之丞の母親が、物乞いをしている姿を見てしまった。そのことを伝えるべきか、伝えないべきか。

そしてトキは決意します。

「おばさま」

この呼びかけに込められた意味。三之丞に、タエの物乞い姿を見たことを告げようとしているのです。

このシーンでの高石あかりさんの表情演技が、SNSで大絶賛されています。

「施しを受けたおタエ様が頭を下げた姿を目撃したおトキ。おトキの受けた衝撃が顔の細かい震えから伝わってきた」

台詞ではなく、表情で語る。「ばけばけ」は15分という短い枠の中で、たっぷりと「間」を使う大胆な演出を見せています。

「はぁ…すごい朝ドラだ…15分しかないのに、たっぷりと台詞の無い『間』を使う大胆さ。だけど台詞の何百倍もの感情を伝えてくれる」

という視聴者の声が示すように、この回の演出と演技は朝ドラの枠を超えた完成度でした。

トキの決意、三之丞の窮状、タエの絶望。それらすべてが交錯する第29話のラストは、次回への期待を大きく膨らませるものでした。


6. まとめ:第29話の見どころと今後の展開考察

第29話の重要ポイントをまとめます。

  • 三之丞の「私を社長にしてください」発言:明治の士族没落をコミカルかつ痛烈に描く。世間知らずの坊ちゃんが、過去の名声にしがみつく姿は笑えるが切ない。プライドと現実のギャップが、雨清水家の悲劇を象徴している。
  • タエの物乞い姿とトキの衝撃:誇り高き士族の妻が頭を下げて施しを受ける姿は、時代の残酷さを体現。トキが見てしまったことで、物語は新たな局面へ。10銭でふかし芋を買う生活の惨めさが、リアルに描かれた。
  • 高石あかりの表情演技が圧巻:台詞なしで感情の推移を表現。困惑→ショック→絶望→諦め→覚悟へと移り変わる表情が、15分の枠を超えた重厚さを生んだ。SNSで「鳥肌」「言葉を失った」と絶賛の嵐。
  • 松野家と雨清水家の対比:同じ貧乏でも、明るく前向きな松野家と、プライドに縛られて暗く沈む雨清水家。この対比が、適応力の重要性を浮き彫りに。「貧乏で辛くとも明るさがあれば乗り越えられる」というメッセージ。
  • 「地獄」へ向かう伏線:第6週のタイトル「ドコ、モ、ジゴク。」が示すように、トキは女中になる決意を固めつつある。錦織との会話で見せた「家族のために、お断りします」という言葉が、次回以降どう変わるのか。
  • 三之丞とトキの再会シーン:トキが三之丞に「おばさま」と呼びかけたところで終わる絶妙なカット。タエの物乞い姿を告げるのか、それとも?次回への期待が高まる引きの巧さ。

第29話は、朝ドラの枠を超えた重厚な人間ドラマとして、SNSで大きな反響を呼びました。「すごい朝ドラを我々は目撃している」という声が示すように、「ばけばけ」は視聴者の予想を超える展開を見せ続けています。

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