『冬のなんかさ、春のなんかね』第1話 | ミッシェルから始まる不思議な出会い!今泉ワールド全開の会話劇に賛否両論

2025年1月14日、日本テレビ系でスタートした『冬のなんかさ、春のなんかね』。今泉力哉監督×杉咲花主演という注目の組み合わせが生み出す本作は、初回から「映画のようなドラマ」「会話劇が凄すぎる」とSNSで大反響を呼びました。冒頭のコインランドリーで流れるミッシェル・ガン・エレファントから始まる、美容師・ゆきお(成田凌)との運命的な出会い。そして「好きにならない人を好きになる」という文菜の哲学。複数の男性との微妙な関係を繊細な会話劇で描く第1話は、視聴者の心を強く掴みました。この記事では、印象的なセリフの数々を引用しながら、話題のシーンや文菜の心理、そしてSNSでの評価を徹底解説します。

目次

『冬のなんかさ、春のなんかね』第1話 あらすじ

小説家の土田文菜(杉咲花)は、ある冬の夜、近所のコインランドリーで美容師の佐伯ゆきお(成田凌)と偶然出会います。文菜のイヤフォンから漏れていたミッシェル・ガン・エレファントの曲をきっかけに会話が始まり、その夜、二人はゆきおの部屋で過ごすことに。翌朝、あっさりと交際がスタートします。しかし文菜には、バイト先の先輩・早瀬小太郎(岡山天音)との親密な関係も。さらに、先輩小説家の山田線(内堀太郎)とも特別な時間を過ごしています。「好きにならない人を好きになる」と語る文菜。複数の男性との関係、そして彼女の内面に秘められた孤独と葛藤が、BGMのない繊細な会話劇を通じて浮かび上がります。

冒頭5分で心を掴む!コインランドリーで始まる奇跡の出会い

ミッシェル・ガン・エレファントの音漏れから始まる会話

『冬のなんかさ、春のなんかね』第1話は、冬の夜のコインランドリーから始まります。洗濯物を待つ文菜(杉咲花)のイヤフォンから音が漏れていることに気づいたゆきお(成田凌)が声をかけます。

文菜「音?」
ゆきお「音が漏れてて」
文菜「あ、すいません」
ゆきお「あ、いや。ミッシェル好きなんですか?」

このさりげないやり取りが、二人の運命を変える瞬間でした。文菜が聴いていたのは、ミッシェル・ガン・エレファント。1990年代から2000年代にかけて活動した伝説的ロックバンドです。

ゆきおも同じバンドが好きだと知り、会話が弾みます。

ゆきお「俺も好きで」
文菜「あ、本当ですか?」
ゆきお「はい。詩集も持ってます。ちなみに」
文菜「詩集?」
ゆきお「歌詞が載った本」
文菜「そんなんあるんですね。それはだいぶ好きですね」

「詩集も持ってる」というゆきおの発言から、彼がただのファンではなく、深くミッシェルを愛していることが伝わります。この共通の音楽の趣味が、見知らぬ二人を急速に近づけていくきっかけとなりました。

SNSでは「冒頭いきなりミッシェル出てきてテンション上がったー!」という声が多数。音楽ファンにとって、このチョイスは胸熱な演出でした。

さらにゆきおは、音漏れに気づいたことをわざわざ伝えに来た理由を説明します。

ゆきお「度々すいません」
文菜「まだ漏れてました?」
ゆきお「あ、いや、違くて。音漏れしなくなって気づいたんですけど」
文菜「はい」
ゆきお「コインランドリーってベースノイズ高いから、ボリューム絞ったら他の音混ざりますよね。乾燥機とか洗濯機の音とか」
文菜「あー」
ゆきお「いや、あの、さっき音漏れしてますよって伝えたけど、それは漏れるかと思って」

このやり取りが絶妙です。ゆきおは、音漏れを指摘したせいで文菜がボリュームを下げてしまい、せっかくの音楽を楽しめなくなったことを気にしているのです。相手への細やかな配慮が感じられる、優しいシーンでした。

「もし間違ってたら言ってくださいね」運命が動いた一言

そして、物語のターニングポイントとなる台詞が登場します。

文菜「もし間違ってたら言ってくださいね。でも多分合ってると思うんですけど。あの、もしよかったらイヤホン取ってかけてもいいですか?」
ゆきお「あ、全然ぜひ」
文菜「あ、よかった。合ってた」
ゆきお「あ、ごめんなさい。そのアイデアを持ってたわけじゃないです、俺」
文菜「え?あ、あ、じゃあ合ってたわけじゃないのか」

文菜は、ゆきおが「一緒に音楽を聴きたい」と思っているのではないかと察し、イヤフォンを外してスピーカーで流すことを提案します。しかしゆきおは「そこまでは考えてなかった」と正直に答えます。このズレが、二人の会話を微笑ましく、そしてリアルに見せています。

続く会話も秀逸です。

文菜「あー、そっちか。え、どっちがいいですか?ボリューム戻すのと爆音と」
ゆきお「爆音なの?空間に流すなら爆音?あなたなんか極端でおもろいですね」
文菜「いや、せっかく流すなら爆音でしょ」
ゆきお「空間のノイズ高いしね。いや、てかまあまあ夜中、夜中」

「せっかく流すなら爆音でしょ」という文菜のゼロイチ思考が、彼女のキャラクターを象徴しています。中途半端が嫌いで、やるなら徹底的にやる。この性格が、後の展開にも繋がっていきます。

SNSでは「この言葉で潮目がハッキリ変わった」「冒頭のコインランドリーにおける会話から素晴らしくて」という投稿が多数見られました。長回しの撮影と、BGMのない演出が、まるで映画のワンシーンを見ているような没入感を生み出しています。

初対面なのに家へ?危うい距離感が生む緊張感

「人って百歳くらいまでしか生きれない」文菜の哲学

コインランドリーでの会話の後、二人はゆきおが働く美容室へ向かいます。この展開自体が非常に大胆ですが、それを自然に見せるのが今泉監督の手腕です。

美容室で、文菜はゆきおが洗濯物を干す景色について語ります。

ゆきお「これ面白いですか、見てて?」
文菜「面白いです。普段見ることのできない景色だから」
ゆきお「景色。あまりにも日常すぎて、これを景色と捉えたことがなかった。そっか。誰かにとってはこれが景色なのか」

ゆきおにとっての「日常」が、文菜にとっては「景色」。この視点の違いが、二人の関係性を象徴しています。

そして文菜は、人生観について語り始めます。

文菜「なんか、人って長くても百歳くらいまでしか生きれないじゃないですか。ってことは、見ることのできない風景とか、出会えない人の方が多いわけですよね。で、死んでいく」
ゆきお「ですね」
文菜「でも実は、特別旅行とかしなくても、近くにあるわけですよね。こういう非日常って。それに気づくか気づかないかってだけで。だからすっごく贅沢な時を過ごしてます、今」

この台詞から、文菜の価値観が見えてきます。彼女にとって、今この瞬間が特別なのです。限られた人生の中で出会える人や風景は限られている。だからこそ、目の前の出来事を大切にしたい。そんな哲学が感じられます。

しかしゆきおは、少し戸惑った様子で返します。

ゆきお「あ、疲れません?そんなこと普段から考えて生きてるんですか?」
文菜「いや、普段からは考えてないですけど。まあ、でも人より考えがちかも」

文菜の思考の深さに、ゆきおは少し圧倒されているようです。このやり取りから、二人の性格の違いが浮き彫りになります。

さらに文菜は、コインランドリーについても独特の感性を見せます。

文菜「なんか寂しくて。ちゃんとした人こなそうじゃないですか」
ゆきお「え、どういうこと?」
文菜「だって洗濯機あるでしょ。大抵の人の家には」
ゆきお「えー、まあ」
文菜「必要としない人の方が多い場所っていうか。そういう場所が好きなんですよね」

「必要としない人の方が多い場所が好き」。これは、文菜自身が「必要とされない場所」「主流ではない場所」に惹かれる性格を表しているのかもしれません。後に明かされる、複数の男性との関係も、この感性と繋がっているように思えます。

「私があなたを殺してる可能性もある」衝撃の発言

ゆきおの部屋に行っても、二人の会話は続きます。そして、文菜が衝撃的な発言をします。

文菜「てかついてきすぎ?」
ゆきお「ついてきすぎですね。確実に」
文菜「いや、受け入れすぎでしょ」
ゆきお「俺が悪いのこれ?」
文菜「いや、私があなたを殺してる可能性もありますからね。これ」
ゆきお「こわ。ちょっとすぐ帰ってもらっていいですか?」

冗談めかして言っているものの、この台詞には重みがあります。初対面の男性の家に来ることのリスクを、文菜自身が理解している。でも同時に、「殺される側」ではなく「殺す側」である可能性も示唆することで、自分が決して「被害者」ではないことを主張しているのです。

この発言の後、ゆきおは少し怖がりながらも、文菜を受け入れ続けます。

「好き?俺のこと。も、もう好きなの?」戸惑うゆきお

洗濯物を干す話から、泊まる・泊まらないの話題へ。そしてゆきおが、文菜の気持ちを確認しようとします。

ゆきお「これはー、泊まる感じ?」
文菜「いや、帰れますけど」
ゆきお「じゃ、干さないでしょ」
文菜「いや、明日取りに来るけど」
ゆきお「明日も来んの?」
文菜「迷惑そう」
ゆきお「いや、迷惑っていうか怖いなんか」
文菜「怖い?」
ゆきお「うん」
文菜「なんで?」
ゆきお「なんか距離近いし早いし。え、好き?俺のこと。も、もう好きなの?」
文菜「なんでよ」

ゆきおの混乱が伝わってくるシーンです。初対面なのに、あまりにも距離が近い。そして展開が早い。「もう好きなの?」という問いかけに、視聴者も同じ疑問を抱いたのではないでしょうか。

そしてゆきおは、文菜について知るために質問しようとします。

ゆきお「いくつか質問してもいいですか?あなたのことをあまりに知らなすぎるので」
文菜「知ってどうするんですか?」
ゆきお「知って、知ってどうするとかはないけど、まあ安心、安心するかな」
文菜「安心してどうするんですか?」
ゆきお「安心してどうするんだろう。それは安心してから考える」

この会話が素晴らしいのは、文菜の問いかけが本質的だからです。「知ってどうするのか」「安心してどうするのか」。普通なら考えもしない問いを、文菜は投げかけます。ゆきおも、その問いに対して正直に「わからない」と答える。この誠実さが、二人の関係を進展させていきます。

そして文菜は、挑発的な提案をします。

文菜「彼氏がいないって知って、名前を知って、そしたら安心するのか」
ゆきお「そりゃするでしょ。今よりは」
文菜「ふーん。で、どうするんですか?安心して。キスでもする?」
ゆきお「それはわからないし、しないのでは」
文菜「それはなぜ?知らないから?」
ゆきお「知らないからもあるし、初対面だし、付き合ってないし」
文菜「うーん、じゃあ安心して初対面じゃなくなって、付き合ったらキスするのか」
ゆきお「するかも。ちょっと怖い。やっぱ」

文菜「じゃあ一回帰るね」

文菜の論理的な問いかけに、ゆきおはついていけなくなります。そして「一回帰る」と言い出す文菜。しかし文菜は、その場を一旦リセットして、再び部屋に入ります。

文菜「はい。こんにちは。はい。邪魔します。私の名前は土田文菜です。彼氏はいません」
ゆきお「土田文菜さん」
文菜「はい。これでも初対面じゃないです。この部屋に訪れたのも二度目です」

この演出が秀逸です。一度リセットすることで、「初対面じゃない」という状態を作り出す。形式的なルールを守りながら、実質的には前に進む。この柔軟さが、文菜らしさでもあります。

「本当にごめんなさい。俺もう好きかも」あっさり始まる交際

「付き合う?付き合わない?」置き手紙の可愛さ

そしてゆきおは、文菜への気持ちを正直に伝えます。

ゆきお「本当にごめんなさい。俺もう好きかも」
文菜「ヤバ、佐伯さん私じゃなかったら殺されてますよ」
ゆきお「いや、本当にごめん、本当にごめんなんだけど、キスとかは無理。泊まってもいいけど、そういうのはちゃんとしたい」
文菜「でも私もOK前提なのよ」

ゆきおの「もう好きかも」という告白に、文菜は「私じゃなかったら殺されてますよ」と冷静に返します。この客観性が、文菜の怖さでもあり、魅力でもあります。

そしてゆきおは、「泊まってもいいけど、そういう接触はなし」とルールを設定します。真面目で誠実なゆきおの性格が表れています。

翌朝、目覚めた文菜が見つけたのは、ゆきおの置き手紙でした。

「昨日はどうも。楽しい夜でした。鍵は開けっ放しで帰って大丈夫です。あの、本当に付き合いますか?それならまずはお食事からで。付き合う?付き合わない?」

そして文菜は、その紙に返事を書きます。

「付き合う。まる。お食事行きましょう。土田菜。090-1834…」

「まる」という書き方が、なんとも可愛らしい。このシンプルなやり取りで、二人は交際をスタートさせます。普通の恋愛ドラマなら、もっとドラマチックに描かれるはずの「交際開始」が、あっさりと、でも確かに成立する。この余白の残し方が、今泉監督らしい演出です。

翌日には彼氏に!スピード展開の裏側

そして場面は変わり、文菜がバイト先の古着屋にいるシーンへ。そこに早瀬(岡山天音)が手紙を持って現れます。

早瀬「知り合ってからこれだけ長い時が経ち、今更手紙というのも変だとは思うのだけど、彩菜さんに今恋人がいないと知り、この手紙を書いています」

早瀬は、文菜に恋人がいないことを知り、手紙で想いを伝えようとしていました。しかし文菜は、早瀬に衝撃の事実を告げます。

早瀬「文菜今彼氏いないんだよね」
文菜「え、いるけど」
早瀬「え?あ、え?いないでしょ。え、昨日はいなかったんだよね、彼氏。いないって言ってたよね」
文菜「うん、昨日はいなかった」
早瀬「で、今日」
文菜「いる」
早瀬「えっと、昨日いなくて、今日いるってどういうこと?」
文菜「いや、昨日の夜できた」

このスピード感に、早瀬も視聴者も驚愕します。昨日の夜に知り合って、今日にはもう恋人。このあまりにもあっさりとした展開が、逆にリアルな不思議さを持っています。

SNSでは「女性が深夜のコインランドリーでその日初めて出会った男の家にノコノコついて行って泊まって即日付き合うというトンデモ展開なのに、杉咲花の愛嬌と生っぽい会話劇によって最後まで微笑ましく観れてしまった」という投稿が注目を集めました。

「好きにならない人を好きになる」文菜の恋愛哲学を深掘り

複数の男性との関係が明らかに

早瀬とのやり取りの後、文菜のモノローグが流れます。このシーンで、文菜の恋愛観の核心が語られます。

文菜(モノローグ)「あまり知らない人と付き合う。付き合うと知ってしまう。知ってしまったら、知らなかった時には戻れない。知った方がいいこと、知らない方がいいこと。始まったら終わる。付き合ったら別れる。だから本当はもう誰とも付き合いたくなんてないのに」

このモノローグから、文菜の深い傷が見えてきます。恋愛には必ず終わりがある。別れがある。だから本当は、誰とも付き合いたくない。でも、それでも人を好きになってしまう。

そして、最も重要な台詞が続きます。

文菜(モノローグ)「相手のすべてを知ってしまっても、好きで居続けることはできるのだろうか。そんなことを考えながら、私はまた人を好きになる。失うことを恐れながら。だから私は好きにならない人を好きになる」

「好きにならない人を好きになる」。この一言に、文菜の恋愛戦略が凝縮されています。本当に好きな人を好きになってしまったら、失う恐怖に耐えられない。だから、あえて「好きにならない人」を選ぶことで、自分の心を守っている。

SNSでは「『だから私は、好きにならない人を好きになる』。今泉力哉監督・脚本のたまらない世界。1本の映画を観たよう」という投稿が多くの共感を呼びました。この哲学的な台詞が、視聴者の心を強く揺さぶったのです。

早瀬との会話で見せる文菜の別の顔

文菜には、ゆきお以外にも親密な関係の男性がいます。それが、バイト先の先輩・早瀬です。二人が一緒に過ごすシーンでは、文菜はゆきおといるときとは少し違った雰囲気を見せます。

早瀬は文菜に想いを寄せていますが、それを押し付けることなく、ただ一緒にいる時間を大切にしています。岡山天音の繊細な演技が、早瀬の優しさと切なさを見事に表現していました。

失うことへの恐怖と自己防衛

文菜の行動の根底にあるのは、「失うことへの恐怖」です。本当に好きな人ができたら、その人を失う痛みに耐えられない。だから、最初から「好きにならない人」を選ぶことで、自分を守っている。

この自己防衛のメカニズムは、一見すると冷たく見えるかもしれません。しかし同時に、それは深い傷つきやすさの裏返しでもあります。本当は、誰よりも傷つきやすい。だからこそ、距離を保とうとする。

SNSでは「文菜が複雑な主人公で、この役の持つ『寂しさ』『孤独』『可愛さ』そして『嫌らしさ』をすべて並立させて演じられるのはさすがの杉咲花さんだなあと」という投稿がありました。杉咲花の演技が、この複雑な心理を見事に表現しています。

山田線との関係が示す文菜の本音

「惹かれてます」告白されても変わらない距離感

文菜には、もう一人重要な男性がいます。それが、先輩小説家の山田線(内堀太郎)です。二人は居酒屋で会い、その後ホテルへ向かいます。

居酒屋での会話で、山田線は小説を書く際の「トラウマ」の扱いについて語ります。

山田線「土田さんは、トラウマとかってどう扱ってる?小説書く時。まあまあ使う?意識する?」
文菜「うーん、どうだろう。避けようとは思わないかな。避けてますよ」
山田線「ふーん。俺は結構疑ってるかも」

この会話から、二人が同じ小説家として、深い部分で通じ合っていることがわかります。トラウマという重いテーマについて、自然に語り合える関係性。

そして山田線は、文菜への想いを打ち明けます。

山田線「俺が、いや、俺に、あなたへの好意があるかどうかってことを話す場ってことでいいのかな?」
文菜「うん」
山田線「え、いいのね」
文菜「うん」
山田線「言うよ」
文菜「うん」
山田線「え?後悔しない?いいの?」
文菜「うん」
山田線「まあ。じゃあ言うけどね。あるよ。ある。あります好意。俺は、つちださんに惹かれてます。もう、とっくにバレてたとは思うけど」

山田線の告白に対して、文菜は「うん」としか答えません。この「うん」の連続が、実は非常に重要なシーンです。

「うん」という返事に込められた真実

山田線が想いを語る間、文菜はほとんど「うん」としか言いません。しかしその「うん」には、多くの意味が込められています。

山田線「でも、お互い恋人がいるし。何て言うの?どうすることもできないのはできないじゃんか」
文菜「うーん」
山田線「あと、なんか、そういう真剣な好き、みたいなのいらないって前に言ってたし」
文菜「うん」
山田線「だから、そう、好き、とか、そういうことは言わずにいたし」

文菜は以前、山田線に「真剣な好きはいらない」と言っていたようです。これは、文菜の恋愛哲学と一致しています。真剣に好きになると、失う恐怖が大きくなる。だから、軽い関係の方が楽なのです。

そして山田線は、文菜の気持ちを確認します。

山田線「そっちはどうなの?つちださんは、少しは俺に惹かれてる?」
文菜「うん」
山田線「え?本当に?」
文菜「うん」
山田線「あ、そっか。それはそうだよね。じゃなきゃこんな会わないか」
文菜「うん」
山田線「てかさ、あなただいぶ前からずっとうんしか言ってなくない?」
文菜「うん」

このやり取りが、妙にユーモラスで、同時に切ないシーンです。文菜の「うん」は、肯定でもあり、でも深い感情表現でもある。言葉にしないことで、逆に多くを語っています。

そして文菜のモノローグが入ります。

文菜(モノローグ)「あなたの口から発されたいくつものうんは、一番嘘のない音に感じた。それは、好き、という言葉よりも、惹かれている、という言葉よりも、もっともっと多くの美しさを含んでいる気がした」

「うん」という単純な返事が、「好き」という言葉よりも美しい。これは、言葉にしきれない感情の豊かさを表しています。言語化された「好き」よりも、言葉にならない「うん」の方が、真実を含んでいる。そんな価値観が、文菜にはあるのです。

「あなたはしてきてくれた。ずるくないんだ」キスの意味

二人はホテルの部屋に移り、会話を続けます。そこで山田線が、過去のキスについて語ります。

山田線「この前さ、したでしょ、キス」
文菜「したね」
山田線「でさ」
文菜「うん」
山田線「あの時さ、俺からじゃなくてそっちからしてきたでしょ」
文菜「え?」
山田線「今までの人はしてこなかったの。みんなされるの待ち」

山田線は、文菜以外の女性たちが「キスをされる」のを待っていたと語ります。顔を近づけて、目を瞑って、でも自分からはしてこない。そして、山田線がキスをしたら「あ、したー、いけないんだー」と言う。

山田線「でもあなたはしてきてくれたでしょ。なんか嬉しかったんだよね。あ、この人はずるくないんだって思った」
文菜「なんで」
山田線「だって彼女への言い訳を用意してくれてるわけでしょ。最悪バレてもされたっていう事実を残してくれてるっていうか」
文菜「何それ」
山田線「いや、かっこいいなって思って」
文菜「でもそんなこと考えてないし、いちいち」
山田線「まあ、そうだろうけどさ」
文菜「別にしたいからしただけだし」

この会話が示すのは、文菜の「ずるくなさ」です。彼女は計算せず、したいからする。その誠実さ、あるいは無邪気さが、山田線の心を掴んでいるのです。

「楽しすぎると、いけないことになる」罪悪感と幸福感

ホテルでの会話が描く二人の関係性

ホテルの部屋で、二人はじゃれ合いながら会話を続けます。この場面が非常に自然で、親密で、でもどこか切ない雰囲気を持っています。

文菜は山田線の頬をつねり、二人は笑い合います。そして山田線が、ふと問いかけます。

山田線「何考えてんの?」
文菜「今?」
山田線「うん」
文菜「うん。なんだろうね。二つ考えてた」
山田線「二つ。何と何?」
文菜「いい。ううん、いいよ。え。別に大丈夫だよ、なんでも。彼女のこと」
山田線「そうね、一つはそう」
文菜「罪悪感とか?」
山田線「うん。それも」
文菜「そう?」
山田線「うん。なんか、楽しすぎて」
文菜「え?」
山田線「楽しいなって思った。さっきの謎の攻防」
文菜「確かに。楽しかった。謎に」
山田線「謎にね。そう。楽しすぎるとさ、なんか、なんかいけないことになる」

「楽しすぎると、いけないことになる」。この台詞が、山田線の罪悪感を表しています。彼には恋人がいる。でも、文菜といる時間があまりにも楽しい。その楽しさが、罪悪感を増幅させるのです。

文菜「楽しくなければ浮気にならない?」
山田線「うん。わかんない。でもそうじゃん」
文菜「まあね」

文菜の問いかけが、また本質を突いています。楽しくなければ浮気にならないのか。楽しさと罪の関係。この問いに、山田線も明確な答えを出せません。

「どうしてあなたみたいな人が」山田線の想い

そして山田線は、もう一つ考えていたことを打ち明けます。

文菜「もう一つは?何考えてたの?あ、嘘はなしね。優しい嘘とか、優しいふりとかいらないから」
山田線「スピッツだ」
文菜「逆スピッツね。スピッツいらない、今」
山田線「いや。もう一つはね」
文菜「うん」
山田線「どうしてあなたみたいな人が、俺と一緒にいてくれるのかなってこと」
文菜「ふーん。確かに」
山田線「おい」

「どうしてあなたみたいな人が、俺と一緒にいてくれるのか」。この問いに、文菜は「確かに」と答えます。この返しが、なんとも文菜らしい。山田線を肯定するわけでもなく、でも否定するわけでもなく、ただ「確かに」と返す。

このやり取りから、二人の関係性が見えてきます。お互いに惹かれ合いながらも、それぞれに恋人がいる。だから深入りはできない。でも、一緒にいる時間は楽しい。そんな危うい関係が、繊細に描かれています。

ラストシーンに隠された伏線

「冬の光の中で、考えてもわからないことを考え続けている」

ホテルから帰る文菜を見送った後、場面は再び日常へ戻ります。文菜はゆきおのマンションで洗濯物を干しています。

そしてラストシーン。文菜のモノローグが流れます。

文菜(モノローグ)「結局、山田さんの洗濯物は無事に乾いたのだろうか。そんなことをぼんやりと思いながら、私はユキオの洗濯物を干す」

この台詞が、非常に象徴的です。山田線の洗濯物を気にかけながら、ゆきおの洗濯物を干す。複数の男性を同時に思う文菜の心情が、この一文に凝縮されています。

ゆきお「ありがとう。洗濯」
文菜「ううん、私のも少しあるし」
ゆきお「今日夜は?」
文菜「今日夜、自分ち帰る」
ゆきお「うん。じゃあ、いってきます」
文菜「いってらっしゃい」

そして、最後のモノローグ。

文菜(モノローグ)「冬の光の中で、私は考えてもわからないことをずっと考え続けている」

「考えてもわからないこと」。それは、恋愛のこと、人を好きになることの意味、そして自分自身のこと。答えの出ない問いを、文菜は抱え続けています。

この終わり方が、非常に今泉監督らしい。明確な結論を出さず、余韻を残して終わる。視聴者に、考える余地を残す演出です。

洗濯物というモチーフが繋ぐ物語

このドラマでは、「洗濯物」が重要なモチーフとして繰り返し登場します。コインランドリーでの出会い、ゆきおのタオル、山田線の洗濯物、そして文菜がゆきおの洗濯物を干すラストシーン。

洗濯物は、日常の象徴であり、同時に誰かの生活に触れることの象徴でもあります。文菜は、複数の男性の「洗濯物」に関わることで、それぞれの生活に触れている。でも、本当の意味で誰かの生活の一部になることはない。そんな距離感が、このモチーフに込められているように感じます。

SNSでの評価は?賛否両論の声を分析

「ニヤニヤが止まらない」圧倒的ポジティブ反応

第1話の放送後、SNSでは圧倒的にポジティブな反応が目立ちました。

「とても楽しみにしていました。第一話素晴らしかったですね。会話劇のなかで沈黙や相槌、仕草に心の動きが現れているようで、ここで杉咲花さんは何考えてるんだろう、ここはきっとそうだよねって瞬間が深くて苦しくて、ずっと観ていたかったです。連ドラで毎週観れるのが堪りません」

「冒頭5分で心掴まれたなぁ。なんなんだ、これは。ビシビシ刺さる台詞。杉咲花さんと成田凌さんの演技合戦。すごいもの見せてもらった」

「説明できない気持ちの動きを無理に名前をつけたりしないでそのまんま見せてくれるこういうドラマが好きだよ。時折心の隅っこに何かが引っかかる今泉節が心地よい」

特に多かったのが、「ニヤニヤが止まらない」「悶える」「心掴まれた」といった感想です。会話劇の細かなニュアンス、杉咲花の演技、そして「考えてもわからない」感情の描き方が、多くの視聴者の共感を呼びました。

「地味」「現実味がない」批判的な声も

一方で、批判的な意見も存在します。「地味すぎてつまらない」「現実味がない」「テンポがゆったりすぎる」といった声です。

特に、初対面の男性の家に行く展開については「非現実的」という指摘がありました。また、劇伴のない会話劇のスタイルが「退屈」と感じる視聴者もいたようです。

ただし、こうした批判的な意見は全体の2割程度。多くの視聴者は、この挑戦的なスタイルを新鮮に受け止めています。

「かなり挑戦的な1話だった…!文菜が複雑な主人公で、まだ掴みどころがなく今後の展開次第で印象も大きく変わりそうな予感」という投稿が示すように、評価はこれからの展開次第で変わっていく可能性があります。

H2:次回第2話への期待と見どころ

第1話では、文菜と3人の男性(ゆきお、早瀬、山田線)との関係が描かれました。しかし、まだ多くの謎が残されています。

  • 文菜は本当に誰も「好きになっていない」のか
  • ゆきおとの関係はどう変化するのか
  • 早瀬や山田線との関係は続くのか
  • 文菜が抱える「考えてもわからないこと」の正体は

第1話の放送後、予告がなかったことで視聴者の期待は高まりました。「冬のなんかさ、春のなんかね、次回予告無い感じ好き」「次回予告とかないんだ。小説を読んでるみたいなドラマだね」という声が上がり、視聴者は自由に次回の展開を想像しています。

後日公開された第2話のあらすじによると、「ある冬の晴れた日」から物語が続くようです。日常の中で、文菜の選択と葛藤がどう描かれるのか。そして、高校時代の恋人・柴咲秀(倉悠貴)など、他のキャラクターも登場してくるはずです。

「今泉力哉作品すぎるーー。ミニシアターでやってるような映像/会話がなぜかテレビから流れてくる謎。1話は雰囲気先行すぎて物語が見えなさすぎたけど、次の展開に期待」という投稿もあり、第2話以降の物語の具体的な方向性に注目が集まっています。

6. まとめ:第1話の見どころと伏線

『冬のなんかさ、春のなんかね』第1話は、今泉力哉監督らしい繊細な会話劇と、杉咲花の圧倒的な演技力が光る作品でした。以下、今回の見どころと今後に繋がる伏線をまとめます。

  • 「もし間違ってたら言ってくださいね」の積極性:文菜の大胆さと相手への配慮が共存する名台詞。運命を自ら動かす文菜の性格を象徴
  • 「好きにならない人を好きになる」の真意:失うことへの恐怖から、あえて深く好きにならない相手を選ぶ文菜の自己防衛メカニズム。今後この哲学が崩れる可能性も
  • 「うん」という返事の美しさ:言葉にしきれない感情を「うん」という音で表現。山田線との関係性を象徴する重要なシーン
  • 複数の男性との関係性:ゆきお、早瀬、山田線。それぞれに異なる距離感で接する文菜。この関係はどう変化するのか
  • 洗濯物というモチーフ:日常と非日常を繋ぐ象徴。コインランドリーから始まり、ラストシーンでも登場する重要なアイテム
  • 「考えてもわからないこと」の正体:文菜が抱え続ける答えのない問い。恋愛の意味、人を好きになることの本質について

第2話は1月21日(水)午後10時から放送予定。文菜の物語はどこへ向かうのか、目が離せない展開が続きそうです。TVerでの無料配信も行われているので、見逃した方はぜひチェックしてください!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次